2020年07月02日 10:02 弁護士ドットコム
ジャニーズ事務所を退所した元NEWSの手越祐也さんが、SNS上に自身になりすました偽アカウントがあるとして、注意を呼びかけた。Instagramにある偽アカウントの中には、フォロワー数が15万以上のものもある。
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手越さんは6月30日、ツイッターで「えーん みんな聞いてー!!なんか、TwitterでもInstagramでも俺の偽アカウントが出てて、騙されてる人が多くて、困るからみんな騙されないように!」とつぶやいた。
この影響からか、Instagramの偽アカウントは、フォロワー数が少し減っている。とはいえ、有名人のなりすましアカウントはこれまでも問題になっている。法的にはどのような問題があるのだろうか。清水陽平弁護士に聞いた。
「刑事上の問題と民事上の問題が考えられます。
まず、なりすまし行為自体は、刑法が『なりすまし罪』のような犯罪を定めているわけではないので、刑法上問題であるということはできません。
ただし、なりすましたうえで、なりすまされた本人の評判を落とすようなことをして、あたかも本人が問題行動をとったかのように装う場合には、名誉毀損罪などの問題が生じることになります」
「民事上は、なりすまし行為は、本人の氏名権やプライバシー権、肖像権、アイデンティティ権などを侵害することになります。
プライバシー権はわかると思いますが、氏名権とは氏名を冒用(承諾なく名称等を用いること)されないことなどを内容とする人格権です。
肖像権はみだりに他人から写真を撮影されたり、それを公表されたりしないよう主張できる人格権です。アイデンティティ権は"他者との関係において人格的同一性を保持する利益"を指すものです(大阪地裁判決・平成28年2月8日)。
今回のなりすましアカウントでは、本人の氏名のほか、写真を使っているので、氏名権や肖像権、アイデンティティ権を侵害しているといえると思います。
権利侵害を受けている人は、これらの権利侵害を理由に削除を求めることができるほか、発信者情報開示請求をして相手を特定していく余地もあるといえます。
なりすまし行為をしていた人物を特定できれば、損害賠償請求をしていくことができます」
【取材協力弁護士】
清水 陽平(しみず・ようへい)弁護士
インターネット上で行われる誹謗中傷の削除、投稿者の特定について注力しており、Twitter、Facebookに対する開示請求でともに日本第1号事案を担当し、2018年3月、Instagramに対する開示請求の日本第1号事案も担当。2020年1月14日には、「サイト別ネット中傷・炎上対応マニュアル第3版(弘文堂)」が出版されている。
事務所名:法律事務所アルシエン
事務所URL:http://www.alcien.jp