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後藤輝樹氏が「政見放送」で過激発言を連発、何を言っても許されるの? 都知事選

2020年06月26日 22:02  弁護士ドットコム

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6月26日未明、TOKYO MXで放送された東京都知事選の「政見放送」で、候補者の後藤輝樹氏の音声が一部消されて放送された。性的な表現が多くあったとみられる。


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この政見放送が話題になり、同氏の名前がツイッタートレンド入りした。



同日夜にはNHKでも政見放送があった。男性器名などを連呼する内容だったが、声はさえぎられることなくノーカットで放送された。



後藤氏は、4年前の都知事選にも立候補。当時のNHKの政見放送では、音声の一部が消去され、裁判にも発展していた。



●「壁があったら……で壊す」無音は21カ所

放送を確認してみよう。MXでは候補者名が示されたのに続き、「公職選挙法第150条の2の規定をふまえて音声を一部削除しています」とテロップが流れた。



ここから後藤氏が姿を見せたわずか15秒後、「この一発に命をかけろ。ちきちき○○(放送では無音)対決。私が握った○○はトランプ大統領ではございません」という発言の音声が早速消されていた。



消されたのは確認しただけで少なくとも21カ所あった。主に消されていたのは、男性器や排泄物を意味する名称だったようだ(例:「意地が支えの○○主義。壁があったら○○で壊す。道がなければ○○で作る」など)。



ただ、「しごく」「射精」「セックス」などはそのまま放送されている。



●選管は収録に関与しない立場

政見放送は公職選挙法150条によって、「録音し若しくは録画した政見をそのまま放送しなければならない」と定められており、原則として、内容の編集や消去が禁じられている。



東京都選挙管理委員会によると、政見放送の収録はNHK、民放、ラジオが独自に行う。ラジオの放送はテレビ局の素材が使われることもあるようだ。



選管が収録に関与することはない。「収録の受付や場所も各放送局で実施され、収録に選管が立ち会うこともありません。選管から口を出すのは事前検閲という形になる」。そのため、収録への修正について、最終的な判断は「放送局の責任で行われる」という。



ただし、局側から相談が持ちかけられた際は、過去の判例などを示すことはあるそうだ。



取材に対し、MXは「さまざまな要素を考慮し、総合的に判断を致しました」と回答した。



●4年前はNHKと裁判に

6月26日午後10時半からはNHKでも後藤氏が出演する政見放送があり、男性器などに言及する内容がノーカットで放送された。



一方、4年前のNHKの政見放送では、性的な発言に音声が被されていた。



政見放送の編集について、NHKは「公選法に基づいてケースバイケースで判断している」とする。



「選挙は『表現の自由』ともかかわっているので、『公選法にこういう風に書かれています』と説明した上で『もう一回撮影されますか』という確認の仕方をしています。音声を被せる際はもちろん、事前に相手に伝えています」



「こういう風に」というのは、「品位保持」について書かれた公選法150条の2のこと。4年前はこの規定によって音声を被せた。この対応をめぐって、後藤氏がNHKを相手に裁判を起こしているが、NHK勝訴で確定している。



●後藤氏は修正の基準がわからないと嘆く

後藤氏はMXの放送後、自身のYouTubeで政見放送の裏事情を明かしている。放送前にMXから連絡があり、無音修正がされることを告げられたという。しかし、カットされる言葉の選択の「基準がわからない」と嘆いていた。



【編注】NHKが放映した政見放送について内容を更新しました(2020年6月27日午前0時25分)