2021年からWRC世界ラリー選手権のトップカテゴリ“ラリー1”で単独タイヤサプライヤーを務めるピレリは、7月にイタリア・サルデーニャで開発テストを行うことを発表。ドライバーにアンドレアス・ミケルセンを起用し、テストではシトロエンC3 WRCを使うとアナウンスした。
WRCでは2022年からのハイブリッドを含む新車両規定を見据え、コスト削減策として2021年からコントロールタイヤが導入され、そのサプライヤーをピレリが務める。
ピレリのタイヤ開発は新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大の影響で一時中断を余儀なくされていたが、ヨーロッパ圏でのロックダウンがおおむね解除されたことを受けて、近日中に再開されるとみられていた。
一部では開発ドライバー候補には元トヨタのクリス・ミークなどの名前も挙がっていたとも報じられていたが、今回ピレリは2019年までヒュンダイのワークスドライバーを務めていたミケルセンを選出した。
開発テストに使用されるC3 WRCは、2019年までWRCにワークス参戦していたシトロエンのWRカー。2021年までの車両規則に合致した車両であり、現在シリーズを戦うトヨタ、ヒュンダイ、Mスポーツ・フォードのいずれにも“肩入れ”しない選択肢でもある。
ピレリによる走行テストは7月中旬に地中海に浮かぶサルデーニャ島のグラベル(未舗装路)とターマック(舗装路)で行われる予定。開発テストで使用されるC3 WRCはピレリカラーをまとう予定だ。
ピレリでラリー・アクティブ・マネージャーを務めるテレンツィオ・テストーニは、グラベルとターマックの両コンディションで可能な限りデータを収集するため、サルデーニャ島をテスト開催地に選んだと語っている。
「新型コロナウイルスの影響でロックダウンを余儀なくされていた間も、研究所では開発を続けてきた。その進捗状況を判断するためにベストなマシンとドライバーの組み合わせを選出した」とテストーニ。
「2020年のWRCを戦っていないC3 WRCという車両は、パフォーマンス面での信頼性は十分であり、この車両で2021年用タイヤを開発することで、どのチームも公平に扱うことができる。単独サプライヤーにとって公平性はなによりも重視しなくてはならないものだからね」
「アンドレアスは経験豊富なドライバーであり、彼のプロフェッショナルリズムとタイヤの状況を感じ取る力は誰もが知っている。C3 WRCとアンドレアスならば、ラリー競技でもっとも重要である速さと信頼性の両立を達成できる」