2020年06月24日 13:21 弁護士ドットコム
人気若手お笑い芸人「霜降り明星」のせいやさんが、SNSで知り合った女性にZoomで下半身を見せるなどの行為をしていたと文春オンラインが報じた。
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文春オンライン(6月18日)によると、せいやさんは女性とのZoom中、局部をアップにして女性に見せた。せいやさんは「誘われました」「同意でやりました」と話しているようだ。
記事では、当時のせいやさんの写真も掲載されていた。ツイッターでは「リベンジポルノじゃん。許されていいのか」、「女性がアウトになるやつでは」と波紋をよんでいる。
今回のZoomは1対1でおこなわれたようだが、せいやさんの行動に法的な問題はあるのだろうか。また、当時のスクリーンショットを文春オンラインに提供した女性の行為は、どう考えられるのか。奥村徹弁護士に聞いた。
ーーせいやさんの行為は、法的にどう考えられますか。
「公然」ですので、密室で特定人と1対1であれば、公然わいせつ罪にはなりません。今回のケースは、相手方の背後に数人いるということもないようなので、「公然」ではないと思われます。
もっとも、「ファンの1人」ということで関係性が薄い相手に露出している場合には、密室における特定人に対する性器露出行為についても、こちらで1人に性器露出し、あちらでも1人に性器露出するといったように反復しておこなうと「公然」に当たるという見解もありうるところです。
その点については、高裁判決(東京高裁平成23年3月2日)は、「反復継続して行う意図の下にわいせつ行為がなされたとしても、行為者において、個室において1人を相手にするなど不特定又は多数の者が認識することができない状況を確保した上で当該行為を行う場合には、公然性が否定されるものと解するのが相当である」と判示して、公然性を否定しています。
ーー女性の行為は、法的にどう考えられますか。
今回は、タレント側は、相手方に撮影され公表されることを予想していなかったと思われます。
そのような画像は、3号リベンジポルノ(私事性的画像記録の提供等による被害の防止に関する法律2条1項3号)に該当します。
そのため、そのような画像を撮影対象者が特定できるような方法で、公表した者は公表罪(同法3条1項)、公表目的で他者に提供した者は提供罪(同法3条3項)に問われるおそれがあります。
ーー公表目的での提供行為は、公表する前段階の行為ですが、処罰対象になるのですか。
公表させる目的で提供した場合には、提供を受けた者による公表行為が行われ、撮影対象者に重大かつ回復困難な被害が生ずる可能性が高いことなどから、処罰対象とされています。
吉本興業は、弁護士ドットコムニュースの取材に「時期や手段など内容は公表する方向性はないが、今後法的措置をとる姿勢でいる」と回答。
文春オンライン編集部は、弁護士ドットコムニュースの取材に「当事者間で解決すべき事案ではありますが、記事には十分自信を持っています。個別のご質問については、今後必要と判断した場合に限ってお答えします」とコメントした。
【取材協力弁護士】
奥村 徹(おくむら・とおる)弁護士
大阪弁護士会。大阪弁護士会刑事弁護委員。日本刑法学会、法とコンピューター学会、情報ネットワーク法学会、安心ネットづくり促進協議会特別会員。
事務所名:奥村&田中法律事務所
事務所URL:http://okumuraosaka.hatenadiary.jp/