2020年06月23日 10:41 弁護士ドットコム
6月19日にジャニーズ事務所を退所した元「NEWS」の手越祐也さんが、6月23日の午後8時からYouTubeで会見を生配信することが話題だ。
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ジャニーズ事務所は公式サイトで「この度、当社は、手越祐也との間で専属契約の終了について話し合い、本日をもって専属契約を合意解除することになりました」と公表していた。
ところで、ネット上では手越さんの「専属契約の終了」「合意解除」という辞め方について、様々な憶測が飛び交っている。芸能人が所属芸能事務所を辞める時には、合意解除、契約の終了、解雇、円満退社など、様々な表現が使われてきている。
こうした辞め方に法的な違いはあるのだろうか。芸能人の契約ルールに詳しい河西邦剛弁護士に聞いた。
ーー芸能人が独立する際には、様々な表現で報告がありますが、法的にはどのように違うのでしょうか
まず、芸能人と所属芸能事務所との間では専属契約を結びます。この専属契約には多くの場合、2~3年の契約期間があり、借家契約のように自動更新という内容になっているものがほとんどです。
そして所属事務所からの独立は、所属事務所とタレントとの契約を終了させるという意味では法律的には同じです。
しかし、所属事務所の辞め方やタレントのその後の活動(独立・移籍)との関係で違いが生じることになります。
ーーそれぞれについて詳しく教えてください
まず「解雇」というのは、タレントが犯罪行為や不祥事があったなどに、タレントの契約違反を理由に一方的に契約を終了させる場合に用いられます。
これは会社員の場合とあまり変わりません。会社員だと懲戒解雇の場合には退職金がでませんが、そもそも芸能人の場合に退職金というのはほとんど聞いたことがありません。
次に、「合意解除」というのは、法律的には、契約期間中であるものの、互いの納得で契約を終了させた場合をいいます。
ただ、合意解除するにあたり条件が付くことがあります。
例えば、契約期間中の秘密保持義務から始まり、中には一定期間の芸能活動休止、芸名の継続使用禁止等々の制限がかされることがあります。
ここは近年、公正取引委員会も注視しているところで、あまりに一方的内容だと独占禁止法上の問題が生じこの制限自体が無効になる可能性もあります。
ーー最近では、元AKB48でタレント・女優の渡辺麻友さんが引退するにあたり、所属事務所が「契約を終了」という表現を使っていました。
「契約終了」という場合は、単純に契約期間が満了した場合に用いられることが多い傾向があります。タレントの結婚、進学などを始め、芸能界から引退する場合に用いられる傾向があります。
「円満退社」とは、とりわけ芸能事務所が辞めたタレントを後押しするという意味が含まれています。
それまでタレントを売出した芸能事務所がタレントの移籍や独立を積極的に応援する場合に用いられることが多い傾向です。
円満退社の場合には、テレビ出演を始め辞める前の仕事もそのまま引き続けるケースもあります。もちろん円満退社にあたり一定の条件がつくこともありますが、移籍や独立を前提にしている以上あまり強い制約でないことが多いです。
いずれにしても、使われ方はケースバイケースです。厳密な法的用語ではなく、業界用語という側面が強いですね。
【取材協力弁護士】
河西 邦剛(かさい・くにたか)弁護士
「レイ法律事務所」、芸能・エンターテイメント分野の統括パートナー。多数の芸能トラブル案件を扱うとともに著作権、商標権等の知的財産分野に詳しい。日本エンターテイナーライツ協会(ERA)共同代表理事。アイドルグループ『Revival:I(リバイバルアイ)』のプロデューサー。
事務所名:レイ法律事務所
事務所URL:http://rei-law.com/