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WTCR:2020年シーズン再開に向けルールを一部変更。BoPの重量制度変更もアナウンス

2020年06月22日 17:11  AUTOSPORT web

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WMSCで2020年再開に向けたスポーティングレギュレーションの細部見直しが承認された
6月19日に開催されたFIAワールド・モータースポーツ・カウンシル(WMSC)で、WTCR世界ツーリングカー・カップの2020年シーズン再開に向けたスポーティングレギュレーションの細部見直しが承認され、予選や決勝フォーマットの確定にコスト削減策など、多くの変更点が確認された。また、TCR規定ツーリングカーを統括するWSCグループは、新たなBoP(バランス・オブ・パフォーマンス/性能調整)の枠組みをアナウンスしている。

 今回のWMSCで承認されたのは、すでに発表済みの2020年改訂版カレンダーでもアナウンスされていたように、週末のヒート数で一部3レース実施を認めるもの。当初予定では2020年からコスト面を睨んで全ラウンドとも2ヒート制で争われることが決定していたものの、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延による開幕の遅延によりレース数の確保を優先する判断が下された。

 一方、予選フォーマットに関しては1セッションに集約し、その枠内でQ1~Q3に分割。全車出走20分間のQ1は上位5名に5-4-3-2-1ポイントが付与され、上位12名がQ2に進出する。その10分間の争いで5名にまで絞られたのち、最後のQ3の結果によりレース3のグリッドが確定。このセッションでも上位から5-4-3-2-1ポイントが加算される。

 また、ドイツ・ニュルブルクリンク北コースを使用するノルドシュライフェでの1戦のみ、予選も特別フォーマットとして60分間中断なしの計時予選を実施することが確定した。

 この予選方式に対応した3レース開催イベントの場合、グリッド位置はQ1結果でレース1グリッドを確定し、レース2はQ1とQ2合算の上でトップ10がリバースに。そしてレース3はQ3トップ5がそのままポールポジションから上位に並び、その背後はQ2、Q1のタイム順となる。

 一方、2レース制イベントではレース1の上位10台が予選合算タイムのリバースグリッドとなり、11番、12番グリッドはQ2タイムから、それ以降はQ1タイム順が適用される。続くレース2はQ3での上位5名が最前列から並び、6~12番グリッドはQ2タイム、それ以後はQ1タイム順という変則的スターティングオーダーとなる。

 既報のとおり、全10戦から欧州域内限定の全6戦へと縮小された2020年カレンダーでは追加のコスト削減策も承認され、1名のドライバー、1名のマシンにつき年間で使用が許されるターボチャージャーは最大4基までに。

 一度に車両の整備作業ができる人員も最大5名までと規定され、ドライバーが参加する最初のイベントではグッドイヤーのドライタイヤは上限16本(4セット)、2戦目は最大22本で、うち新品は12本。3戦目は同26本で新品16本との最大供給数の枠組みが設けられた。

 さらにWSCグループの技術部門は今季TCR全シリーズに適用する新たなBoPを発表し、さまざまな登録車種間で規定最低重量を達成できないマシンがデメリットを被らないよう、車両重量の性能調整レンジを拡大。

 この結果、車重によるBoP調整は現行の『0~60kg』ではなく『-10kg~70kg』の範囲とされ、すべての車両が2019年より20kg増からスタートすることが定められた。最も重い車両は依然としてヒュンダイi30 N TCR、ヒュンダイ・ヴェロスターN TCRのヒュンダイ勢と、Lynk&Co 03 TCRの1325kgとなり、最軽量車種は絶対ユーザー数の少ない初期のプジョー308レーシングカップの1185kgとなっている。

 またレースの戦績により課されるコンペンセーション・ウエイトは0kgで開幕し、各戦ごとに最大40kgまでを加算。これらの数値は、改めて実施予定の2020年TCRシリーズ向けBoP性能調整テストの結果次第で変更の可能性も残されている。