メルセデスのテクニカルディレクターを務めるジェームズ・アリソンは、チームが2020年第1戦オーストリアでW11にアップデートを施す予定であることを明らかにした。
メルセデスはバルセロナでのプレシーズンテストで最速タイムを記録、開幕戦オーストラリアの優勝候補として最有力であるとみられていた。
しかしCOVID-19の影響でオーストラリアGPは金曜朝に中止が決まり、そのままシーズンは休止、各チームはそれぞれのファクトリーを早期に閉鎖することになった。
その後、7月5日のオーストリアでシーズンが開幕することが決定、各チームの準備が本格化している。メルセデスは、ファクトリー閉鎖前に行っていた開発を急ピッチで進め、2020年型マシンW11にアップデートを実施することを目指している。
「我々はまだレースを一度も行っていないが、マシンを発表してからかなり長い時間が経っている」とアリソンはメルセデスのYouTubeチャンネルの動画で説明した。
「ローンチバージョンのマシンを走らせる場所と、その後オーストラリアに運ぶことを考慮し、そのマシンはクリスマスごろに出来上がっていた」
「1月、2月、3月には、マシンをより速くするための作業を風洞およびデザイン部門で行った」
「マシンを速くするための方法についてたくさんのアイデアを得た。そうしたたくさんのアイデアは、9週間前にシャットダウンを余儀なくされる前に、デザインオフィスによって作業が進められていた」
「現在の我々の課題は、1年の4分の1を開発にかけたマシンを、製図板から実物へ素早く入れ込むことにある」
「そうした多くの開発をオーストリアでの最初のレースに持ち込みたいと思っている。残りのレースでももちろん、できるだけ早く次々とマシンに投入していきたい」
アリソンは強制的な休止期間により、ニューマシンが来月レッドブルリンクのコースに戻った時、どれだけのパフォーマンスを発揮できるかという点について期待感が一層増しているという。
「チームがサーキットに戻る日を待ちわびている。これまでの仕事によって全員が興奮し誇りに思えるマシンを作り上げることができたかどうかを知りたいのだ。それが待ちきれない」とアリソンは語った。
「レースに向けて身体的に準備ができているかどうかという点については、9週間仕事から離れて自宅の庭をぶらつき、数カ月ぶりに活動を開始するので、極めて健康で活力に満ちているという感じだ」
「チームの皆やドライバーたちにとっても同様だろうと思う。彼らも身体トレーニングを行う他にやることがなかったのだから」
アリソンは、長期にわたる活動停止により、チームメンバーよりはドライバーの方が大きな影響を受けたのではないかと考えている。
「この待機期間は、精神面ではドライバーの方がチームよりもきつかったと思う」とアリソンは語った。
「ドライバーは感情の振れ幅が大きくなる。気分の良いときはいっそう良い気分に、悪い気分のときはいっそう悪い気分になるのだ。シーズン開幕に向けて準備をした後、メルボルンでああいう形で台無しになるのは、ドライバーにとっては厳しいことだったと思う」
「苛立っている状態から活力のある状態になって仕事に戻ることで、彼らの回復力と競争力が示されるだろう。スタート時点でそうなっている必要がある」
「ルイス(・ハミルトン)とバルテリ(・ボッタス)のふたりが準備万端整えてオーストリアに臨むだろうことに、私は何の懸念も感じていない」