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松本潤が千葉雄大の弁護を担当 『99.9』木村ひさし演出回は小ネタが満載

2020年06月22日 06:01  リアルサウンド

リアルサウンド

『99.9-刑事専門弁護士- SEASON I 特別編』(c)TBS

 『99.9-刑事専門弁護士- SEASON I 特別編』(TBS系)第4夜は、香川照之が「中盤の山場」と評する第5・6話から前編を放送。冒頭5分を観る限りでは何の話かまったくわからないが、謎を解き明かす王道ミステリーに軽妙な演出が絡む『99.9』らしいエピソードとなった。


参考:『失恋ショコラティエ』『99.9』など出演作が続々再放送 松本潤の演技の変遷を辿る


 暴行事件の弁護を担当することになった深山大翔(松本潤)と立花彩乃(榮倉奈々)。会社社長の三枝(平田満)を襲った被疑者の谷繁直樹(千葉雄大)は、接見中に倒れて意識不明の重体となる。被疑者入院によって弁護活動を停止すべきであると主張する佐田篤弘(香川照之)に対して、深山は事実を知ることが大事であると言って事件の調査を開始する。


 暴行の際、谷繁は「お前が殺したんだ」と叫んでいた。谷繁の父・明利(緋田康人)は18年前にビルの屋上から飛び降りて亡くなっており、関係者に聞き込みを続ける中で明利と三枝のつながりが明らかになる。三枝が経営する理白冷蔵は当時経営難に陥っており、明利の経営する朱蓮フーズに融資を申し込んでいた。捜査を担当した刑事は三枝の犯行を疑うが、三枝には同時刻に起きた別の事件を目撃したアリバイがあり、明利は自殺として処理されていた。


 唯一の手がかりと思われたのは明利が残した手帳。事件当日のスケジュールには「PM10バー山本 12」と記されていた。もし明利がバーで会っていたのが三枝なら、三枝が明利を殺害した可能性は高まる。だが三枝は頑強に関与を否定していた。ひとつの暴行事件が18年前に起きた2つの事件につながる複雑な構図が浮かび上がってくる。


 谷繁父子、そして三枝。その場にいない人間が秘密を握るというピースのかけたパズルのような事件を解くカギは数字にあった。と言っても数式を駆使した複雑なトリックではなく、謎解きにもユーモアとウィットがにじみ出るのが『99.9』流。深山がひらめいたきっかけは「いとこんち」に現れた客・武田満(やついいちろう)が昔「ブタマン」と呼ばれていたという会話だった。なぜそれが三枝の犯行に結び付くかは本編をご覧いただきたいのだが、「武田満」という名前が「平田満」とかぶるという役柄と実名のシンクロ具合に『99.9』の演出のユニークさが表れているようだった。


 木村ひさし演出回では小ネタがこれでもかと満載されているのだが、第4夜では立花のプロレスネタとキャストの髪型推しが特に際立っていた。新日本プロレスのオカダ・カズチカ本人がマネージャーでもある外道本人を引き連れて「カレーの雨」を降らせるファンイベントに始まり、プロレス技を模した小道具やグッズ、「トランキーロ」、「ゼア!」、「カブロン」など数々の決めゼリフまで、各所に立花のプロレス愛が爆発していた。


 また、朱蓮フーズ元社員のリーゼントヘアやバーのマスター・山本(モロ師岡)のウィッグ、いとこんちでの店主・坂東(池田貴史)とアフロのコミックバンド「エレキングス」、パラリーガル明石(片桐仁)のアフロ・パーマの4連発など、思わず目が行く画づくりに余念がない。放送前のリモート収録によるメッセージでは片桐の髪型に松本がツッコミを入れており、地味に本編に誘導していたのも見逃せないところだ。


 ほかにも榮倉のくしゃみがそのまま収録されるなど、自由な雰囲気で収録された『99.9』。小ネタの応酬とそれらが本筋の事件解決になだれこむ先の読めない展開は、第6話でいよいよ18年前のもう一つの事件にメスを入れることになる。


■石河コウヘイ
エンタメライター、「じっちゃんの名にかけて」。東京辺境で音楽やドラマについての文章を書いています。