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富田望生が“最強の親友”ポジションに内包する安心感 『美食探偵』で“フッカル”桃子を好演

2020年06月21日 10:01  リアルサウンド

リアルサウンド

富田望生『美食探偵 明智五郎』(c)日本テレビ (c)東村アキコ/集英社

 放送が中断されていた『美食探偵 明智五郎』(日本テレビ系)が放送を再開。物語が佳境に入る中、注目されているのが2号こと、桃子(富田望生)の存在だ。小林苺(小芝風花)の親友である桃子は、本作の中でも特に“グルメ”にまつわるパートを担う重要な存在である。


【写真】ダッシュで給食を運ぶ富田望生


 桃子が初めて登場したのは有名パンケーキ店での食事シーンだ。ポップな髪形とファッションに身を包み、様々な食事を頬張る“食べっぷり”の潔さが魅力である。桃子は実に美味しそうに食事を頬張るのだ。富田の演じる桃子から溢れ出る、食事で得られた「幸せオーラ」は視聴者を満腹の快感へと誘う。桃子にはパンケーキの他にも、チーズダッカルビ、のっけ丼、立ち食いフレンチ、スイーツビュッフェなど様々な食事シーンがあり、登場場面のほとんどが“食べるシーン”となっている。「食」は映画やドラマでも度々主題として描かれる。食事シーンを魅力的に演じることのできる役者は、貴重な存在だ。そんな桃子は、あまりに口いっぱいに頬張りながらしゃべるため、台詞にテロップがつくこともしばしば。こうしたチャーミングな姿もまた、ドラマにとって重要なエッセンスとなっている。


 いわゆる“フッカル”な桃子は絶妙のタイミングで現れては明智やイチゴの窮地を救う。そしてマグダラのマリア(小池栄子)に命を狙われることになってしまった苺を心配するあまり、第5話では苺を危険な目にあわせないために自ら明智の助手役をかってでた。そんな桃子が苺をサポートするのは、事件のことだけではない。明智に恋心を抱く苺のために、恋のサポートにも徹している。出すぎることなく、引きすぎることもなく、絶妙なサジ加減で苺を支える桃子は、まさに「最強の親友」といった存在。余計なことは一切言わずにそっと寄り添う何気ない優しさが醸し出せるのは、富田自身の持つ穏やかで優しそうな雰囲気に役柄がマッチしているという理由もあるだろう。誰にとっても理想の友人と思わせる、暖かさを持った芝居ができる若手女優なのだ。


 富田がこれまで出演してきたドラマ作品は、『3年A組―今から皆さんは、人質です―』(日本テレビ系)、連続テレビ小説『なつぞら』(NHK総合)、『ブスの瞳に恋してる2019』(FOD)など多岐にわたる。『なつぞら』では現在と近しい役でもある、主人公の親友というポジションで活躍。「よっちゃん」と呼ばれ主人公のなつ(広瀬すず)から抱きつかれる姿はまさに、包容力を感じさせるシーンとなった。富田の芝居からはこうした“人と人を繋ぐ暖かさ”が感じられる。しっかり体温を感じさせる表現力がある所以だ。


 一方で、富田は趣味で写真を撮るなど芝居以外でもアーティスティックな一面を持っている。自身の撮影した写真は公式Instagramなどで発信しており、富田の持つ繊細な世界が切り取られ丁寧に並べられる。若干20歳にして安心感を内包するのが富田望生という女優なのだ。


 7月10日にはヒロインを務める映画『私がモテてどうすんだ』が公開される。歌、ダンス、ギャグの盛り込まれたラブコメディとなる本作で、富田がどんな活躍を見せるのかにも注目したい。ヒロインから親友役まで、幅広く演じることのできる富田のパワーからは、元気をもらう視聴者も多いことだろう。今後も富田が羽ばたく様子から目を離すことなく見守っていきたい。


(Nana Numoto)