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佐藤玲×笠松将『ドンテンタウン』予告編&場面写真 今泉力哉ら著名人から絶賛コメントも

2020年06月19日 18:11  リアルサウンド

リアルサウンド

『ドンテンタウン』(c)2019 osampo/MOOSIC LAB

 7月17日に公開される映画『ドンテンタウン』より、予告編と場面写真が公開された。


参考:映像はこちら


 井上康平監督初の長編映画となる本作は、古き良き日本の団地を舞台に描く、つかみどころのない不思議な青春譚。音楽×映画の祭典「MOOSIC LAB 2019」長編部門にて準グランプリを受賞した。


 うまくいかない曲作りから逃れるかのように団地へと引っ越したシンガーソングライターのソラ(佐藤玲)。ある夜、新居の押入れから、前の住人が残した大量のカセットテープが見つかる。テープに吹き込まれていたのは、贋作画家として日銭を稼ぐ青年トキオ(笠松将)の“心の声”だった。見ず知らずのトキオの想いに触れるにつれ、“記憶”と“現実”が交錯していくソラの日常。カセットテープとピアノとアロハシャツと2人分の朝ごはん……。交わることのなかったソラとトキオの一夏の物語が始まる。


 『泣くな赤鬼』『殺さない彼と死なない彼女』『架空OL日記』の佐藤玲がソラ役を務め、『花と雨』『転がるビー玉』の笠松将がトキオを演じる。そのほか、『きみの鳥はうたえる』の山本亜依、『岬の兄妹』の松浦祐也らが出演。ミュージシャンの菅原慎一が映画劇伴を担当する。


 公開された予告編は、ベランダで歯を磨く佐藤と笠松の姿から始まる。浮遊感に満ちた映像表現と音楽がかけ合わさり2人の日々が切り取られている。


 また、本作をいち早く鑑賞したnever young beachの巽啓伍、映画監督の今泉力哉、演出家・脚本家の家城啓之/マンボウやしろらからコメントも到着した。


■コメント一覧
●巽啓伍(never young beach)
“求められる自分“と“本来の自分“との乖離に悩むソラは晴れと雨のどちらにでも転じれる人として其処にいるように見えた。
トキオとの邂逅によって変化していくシークエンスはどれも魅力的で、特にベランダで歯磨きをするとこなんてのは日常の美しい刹那を掬い上げていて、こちらの心のこそばゆいところを刺激してくる。
見えない線をなぞるような彼女らの関係は実像なのか偶像なのかと見る人たちの視点を錯乱させるし、事実と虚構を往来するその様は何を信じるかを選択させているようにも思う。
けれども、僕には初めからその答えがどちらか一方だけでは無いという余白があるような気がした。
曇天の時に晴れを願う人も雨を願う人もいるように。


●今泉力哉(映画監督)
すごく好き。
かわいかったし、泣いちゃった。
どのぐらい好きかと言うとアフタートーク聞かずに映画の余韻に浸りたくて、
すぐ劇場出ちゃったぐらいに。好き。
ずっと見ていたかったな。
テクニックの部分もすごいけど、
テクニックじゃない登場人物の魅力に
こんなにあふれた映画、ひさしぶりかも。


男女の差の描き方や揉め事の見せ方の温度。


すばらしかったな。
かわいかったな。
別れを感じさせる美しいカットで涙を流してしまったな。
映画ってこうやってつくればよかったんだよな。
忘れてた。


難波里奈(純喫茶コレクション)
暮らしたことはないのに、並ぶ団地に魅力を感じてしまうのは単に視覚によるノスタルジーだけではなく、劇中でトキオが呟いた「曇りにも種類がある」ように、様々な人たちの生活があの中にぎっしりとつまっていて、勝手に愛しくなってしまうから。


ずっと変わらないと思っていた「当たり前の日常」が揺らいでしまった2020年。


幻と現を交差する不思議な物語とその上に重なるように流れ出す菅原慎一さんによるやさしい音楽。きっとこの先何度も蓋を開けたくなる忘れたくない風景。


「泣いてもいいよね」


そんな気分で見上げた鈍色の空からは今にも大粒の涙が溢れ出しそうでいつも少しほっとするのだ。


●家城啓之/マンボウやしろ(演出家・脚本家)
井上監督の作品を初めて見て、人物や時代や会話や空間が爽やかにクロスしていく作品だな~と思っておりました。
が、途中から情熱とクレバーがすごい比率で溶け合ってるな~と段々と印象が変わり、見終わった時には「そうかずっと掌で転がらせてもらってたんだ僕は」となりました。
観客の先回り? いや、相当誘導されてた感覚で、
最終的にはかなり洒落てる作品だと感じましたが、もしかしたら監督はとてつもなく悪い人なんじゃないかとも疑ってます(笑)。
脳と心を刺激されまくりの最高の映画でした!!


●久保泉(文筆家)
曇りの日は、どんな気持ちで生きているだろう。
淡々と日々が過ぎていく気がする。それでも、進むしかない。
日々は、どんな天気の日でも、かなしくても、止まりたくても、進んでいくしかない。
けれど、その中で、忘れたくないものがある。残しておきたいものがある。
だから撮る、だから描く、だから歌う、だから眼差す。
そのなかで、自分だけの光を探して、わたしたちは生きていく。
消えない文字、残された声、時刻を腕に刻む、いろんなものを頼りに、わたしたちは息をしている。
やわらかいけれど芯のある音楽とともに物語がはじまっていく。
曇りの日は、この映画をきっと何度も思い出すだろう。そして気持ちは、曇らない、光にであうだろう。


(リアルサウンド編集部)