2020年06月19日 10:11 弁護士ドットコム
新型コロナウイルスにともない、ホテルや飲食業界が大きなダメージを受けている。一方、スーパーなど、外出自粛の影響で売り上げが増えて忙しい業界も。
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こうした業界による雇用の需給ギャップを埋めるため、労働組合「UAゼンセン」が、異業種間の「就労マッチング」に取り組んでいる。
すでにパート社員を中心に40人ほどのマッチングに“成功”。居酒屋店員がスーパーで働きはじめるなどしており、雇用を守る仕組みとして期待されている。
日本最大の産業別組合であるUAゼンセンには、飲食やレジャー、流通、繊維など、さまざまな業種から2300超の組合が加盟している。マッチングはこの幅広いネットワークをいかしたものだ。
もともと、企業が倒産したり、店舗が閉鎖したりしたときに、同種の試みはやっていたそうだが、ここまで大掛かりなものは初めてだという。
スタートは4月で、外食業界やホテル業界、そのほかサービス業界から依頼が届いているという。UAゼンセンは、本人の要望も聞いたうえで、受け入れ希望のある流通業界との橋渡しを担当している。
出向や副業など、具体的な契約形態は企業同士で決める。
異業種での仕事には少なからず不安も伴うはずだが、労働者にとっては収入も確保でき、仕事の幅を増やすチャンスといえる。
飲食業界でこのマッチングを活用している企業の一つが居酒屋チェーンの「ワタミ」だ。同社は従業員の雇用を維持するため人材派遣会社も設立した。現在150人強がスーパーなどに出向しているそうだ。
「ワタミは居酒屋だけでなく、独自の六次産業モデルを展開しており、生産や加工などのグループ事業に行ってもらうこともありえます」(担当者)
異業種で積んだ新しい経験を本業に活かしてもらいたいという狙いもあるという。
UAゼンセンによると、こうしたマッチングの契約は1カ月単位になることが多いようだ。
コロナの状況次第で、本業やマッチング先の需要供給も変化していくことが考えられ、労働者としてもマッチングが決まったからといって完全に安心できるわけではない。
経済の停滞が長期化する恐れもあり、組合内部ではマッチングを恒常的な仕組みにしてほしいとの声もあるという。
現在はパート社員の利用が多いが、正社員のマッチングをどうするか、企業間の需給情報をどうやってスムーズに伝達するかについて模索しているという。