その注目の予選で最速をマークしたのは、2019年にPWR Racingから最高峰シリーズにデビューした2018年TCRヨーロッパ王者のミケル・アズコナで、今回はチームの体制発表前であることからCUPRA Racingのエントリー名で参戦。仮想空間ではあるものの、新型『CUPRA Leon Competición TCR(クプラ・レオン・コンペティションTCR)』での記念すべき初ポールポジション獲得となった。
しかしレース1オープニングラップの1コーナーでは波乱が待ち受けており、そのポールシッターの背後から迫ったCyan Racing Lynk&Coのヤン・エルラシェール(Lynk&Co 03 TCR)が新型クプラにハードヒット。アズコナは早々にリタイアへと追い込まれ、巻き添えのタッシはスピンを喫し、オーレリアン・コンテ(プジョー308 TCR/DG Sport Compétition)やアンディ・プリオール(Lynk&Co 03 TCR/Cyan Performance Lynk&Co)もトラブルを抱える事態に。
これで楽になったのがグエリエリで、事前のeシリーズで現役勢唯一の勝利を飾っていたアルゼンチン出身のマイスターは、マット・オモラ(ヒュンダイi30 N TCR/BRC Racing Team)やベンス・ボルディズ(クプラ・レオン・コンペティションTCR/Zengő Motorsport)らを従え、12分間のレースで一度も首位を譲ることなく快走。
さらにレース最大時間経過直後の“ロスタイム・ファイナルラップ”では、4番手を走っていた現WTCR王者ノルベルト・ミケリス(ヒュンダイi30 N TCR/BRC Hyundai N LUKOIL Squadra Corse)が、シム出身者の意地を見せてボルディズをオーバーテイク。最後の最後で表彰台の一角を獲得してみせた。
その背後では、2周目に入ってミケリスがビョークを捕らえ2番手に浮上。さらに後方では、前戦で苦汁を飲んだアズコナが猛チャージを披露し、3周目にはニールス・ラングフェルド(アウディRS3 LMS/Comtoyou Team Audi Sport)をアウトサイドから豪快にオーバーテイクし、4番手にまで上がってくる。