トップへ

これは目立つぞ! 三輪バイクの新型「カンナムスパイダー RT」に試乗

2020年06月15日 11:22  マイナビニュース

マイナビニュース

画像提供:マイナビニュース
BRPジャパン株式会社は先ごろ、7年ぶりにフルモデルチェンジした「カンナムスパイダー RT」の日本販売を開始した。バイクでもクルマでもない三輪バイクならではの乗り心地を、さっそく試乗で体験してきた。これに乗れば、間違いなく目立てそうだ!

○ユーザーの声を反映して正常進化

他メーカーに先駆け、世界初の前二輪タイプの三輪バイクを2007年に発売したBRP。それまでの主流は市販二輪を改造した後二輪の三輪バイクだったが、BRPの三輪は価格と安全性を売りとし、第3の乗り物として一躍注目を集める存在となった。

近年はヤマハなどバイクメーカーの参入も目立つ三輪バイク市場は、世界的にさらなる伸張が見込まれる有望株だ。「カンナムスパイダー RT」も、AT限定普通自動車運転免許から乗れる手軽さや、クルマと比べて圧倒的に維持費が安いことなどが魅力となり、2013年の日本導入以来、徐々にシェアを拡大している。

その「カンナムスパイダー RT」がこのほど、新型に生まれ変わった。北米で発売以来10年にわたって蓄積してきたユーザーの声を基に作ったという新型は、どんな乗り物になっているのか。
○バイクでもクルマでもない独特の操作性

試乗したのは「カンナムスパイダー RT リミテッド」。まずエクステリアだが、これはもはやバイクの範疇を逸脱している。BRPが手掛けるスノーモービルや水上バイク、オフロードバギーなどに近い印象だ。実際に車体を目にするとイメージしていたよりもサイズが大きく、存在感がハンパなかった。

続いてハンドル周りを見てみると、バイクと同様に右手のスロットルを開閉して加減速する仕組みだということが分かる。一方で、ブレーキレバーは存在せず、ブレーキ操作は右足側にあるフットペダルをクルマのように踏み込んで行う。

収納はフロントラゲッジ、左右のサイドボックス、リアトップケースの4つ。最大177Lまで積載できるというから驚きだ。特にリアトップケースは60Lの大容量を誇る。これなら、ツーリング旅行に出かける場合でも、2人分の荷物を悠々と持ち運べそうだ。

○みなとみらいエリアで試乗に出発!

ここまでのチェックを終え、いよいよ試乗すべくカンナムスパイダーにまたがる。ブレーキを踏みながらスタータースイッチを回すと、ロータックス製の1,330cc・3気筒エンジンが重低音の心地よいサウンドとともに目を覚ました。

スロットルをゆっくりと開ける。その走りはバイクのようにフラつくこともなく、走り出しから安定感抜群だ。シートのクッション性も高く、ライディングポジションも自然な形に収まるので非常に楽に感じられた。これなら、長距離を乗ってもそんなに疲れずに済むのではないだろうか。

ミッションは6速セミATなので、ギアの切り替えはハンドル左側のレバーで行う必要があるが、切り替えタイミングはディスプレイパネルに表示されるので心配無用だ。慣れてくれば、バイクやMT車のように音でも判断できるだろう。

逆に、少し戸惑ったのがコーナリング時だ。三輪であるため、よほどのことがなければ転倒の心配はないのだが、最初のうちは体が外に引っ張られそうになった。バイクと違ってぐっと車体を倒して曲がるわけではなく、クルマのようにただハンドルを切るだけでもない、三輪モーターサイクルならではの操作が必要になってくる。

車格があるので駐輪時の取り回しを心配していたのだが、リバース機能のおかげで意外とスムーズに済ませることができた。バイクのように車体を手で押す必要はなく、クルマ感覚で操作すれば問題はない。ただし、まっすぐ止めたつもりでも少し曲がってしまい、何度かやり直したのはご愛嬌だ。この辺りは慣れが必要なのかもしれない。

そして、何より気になったのが周囲の視線。市街地を走行したこともあり、すれ違う人や信号待ちで並んだライダーから痛いほどの視線を感じた。やはり、かなり目立つ車両なのだろう。

また、今回は試さなかったが、従来装備のグリップヒーターに加えて、フロント、リアともにシートヒーターが新たに搭載されていた。これにより、冬に乗る際の快適性は格段に向上しているはずだ。

普通自動二輪・大型自動二輪運転免許を取得しなくても、普通自動車運転免許があればバイクの爽快なオープンエアーが楽しめる「カンナムスパイダー RT リミテッド」。セカンドカーとして所有しても楽しそうな乗り物だ。

■Can-Am Spyder RT Limited/カンナムスパイダー アールティー リミテッドのスペック
全長×全幅×全高:2,833mm×1,554mm×1,464mm
ホイールベース:1,714mm
シート高:755mm
エンジン:Rotax@水冷4ストローク並列3気筒・1,330cc
最大出力:85.8kW(115hp)/7,250 rpm、最大トルク:130Nm/5,000rpm
タンク容量:26.5L
積載量:177L
価格:350万円

○著者情報:安藤康之(アンドウ・ヤスユキ)
フリーライター/フォトグラファー。編集プロダクション、出版社勤務を経て2018年よりフリーでの活動を開始。クルマやバイク、競馬やグルメなどジャンルを問わず活動中。twitter:@andYSYK。(安藤康之)