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神山智洋が繊細に表現するテツの不器用さ 『正しいロックバンドの作り方』重要な岐路に

2020年06月15日 08:01  リアルサウンド

リアルサウンド

『正しいロックバンドの作り方』(c)NTV・J Storm

 2次審査通過の連絡をもらった「悲しみの向こう側」は、最終審査に向けて気合十分の様子。日本テレビのシンドラ枠で放送中の『正しいロックバンドの作り方』では、順風満帆に見えたバンドにある問題が起こる。


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 4人の絆を深め、着々と審査をこなしてきた「悲しみの向こう側」。それぞれのメンバーはテツ(神山智洋)の存在に関して、もう“就活が決まるまでの期間限定メンバー”ではないと感じていた。しかしシズマ(藤井流星)は、友人らと話しているテツの姿を偶然目撃する。シズマの存在に気づいていないテツは友人に対して「実は、もう内定もらえたから」「僕、やりたい仕事見つけたから」などと将来について話していた。テツに対して、今後も一緒にバンドを続けていくものだと思い込んでいたシズマはショックのあまり立ちすくむ。


 最終審査の日、テツの気持ちを探ろうと3人は様子を伺う。しかし、気まずそうな様子を見せるだけで、具体的な話は聞けずじまいのまま、テツは部屋を出て行ってしまう。そこに、以前のバンドメンバー・キヨヒコ(板橋駿谷)が現れる。キヨヒコはかつて、テツと同じように「俺、バンド辞めるわ。やりたい仕事見つけたから」と言い残し、バンドを去った元ドラム担当のメンバーだ。現在はコーヒー屋になったキヨヒコは、ケータリングを依頼されたため「電撃ロックフェス」の最終審査会場に来ていた。懐かしそうにドラムパッドを叩き、シズマやコバ(吉田健悟)と談笑するキヨヒコ。しかしそこにテツが戻って来てしまい、あらぬ誤解が生まれることに。


 「悲しみの向こう側」が徐々に強い絆で結ばれていく様子が描かれて来たこれまでから一転、テツを巡る想いにメンバーが熱くぶつかり合う。特に第9話で注目すべきは、シズマとテツが兄弟だからこそ“強い言葉”をぶつけ合えることだろう。いつものように熱くなりやすいシズマはつい言いすぎてしまう。一方でクールなテツは周りのメンバーにうまく胸中を吐露できずにいた。


 テツを演じる神山は、そんなテツの繊細で不器用な様子をまばたきや瞳の動きで丁寧に表現する。さらに今回はテツがいつになく感情的になるシーンもあり、怒りや涙など様々な神山の表情がより強調される。今までテツが中途半端な状態でバンドに参加していたことに対して、どんな気持ちを抱えていたのかが現れるとても重要なシーンとなった。


 いつになくピリリとしたムードが漂うメンバーたち。「電撃ロックフェス」の最終審査を目前に「悲しみの向こう側」はいったいどうなるのか。それぞれがバンドを想う熱い眼差しに注目して観て欲しい。


(Nana Numoto)