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『エール』に光石研が帰ってくる 「主役だけでもお芝居はできん」の台詞を体現

2020年06月15日 06:01  リアルサウンド

リアルサウンド

『エール』写真提供=NHK

 『エール』(NHK総合)の第1週で、裕一(窪田正孝)の父・三郎(唐沢寿明)が惜しまれつつもこの世を去ってしまったように、本作の序盤で、音(二階堂ふみ)が幼い頃に亡くなってしまった父・安隆(光石研)。本日から放送される『エール』(NHK総合)では、裕一をとりまく登場人物たちにスポットを当てたオムニバス形式の物語が描かれ、その第56、57回で登場するのが、安隆だ。


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 一泊二日で地上に帰る権利がもらえるあの世の宝くじに当たった安隆は、10年ぶりにこの世に戻ってくる。


 安隆の登場回は、第4回で裕一(石田星空)が音に教会で偶然出会ったとき、そして第7、8回のみで、第9回で、音(清水香帆)が「安隆が子供を助けて電車にはねられた」と知らされて以降、登場することはなかった。


 教会の賛美歌に心惹かれ「歌いたい」と口にした子供の頃の音。安隆は、音の手を優しく離すと「自分で行きなさい、音」と諭した。娘の好奇心を存分に伸ばす安隆だが、彼は決して娘を甘やかすことはない。決断は彼女自身に託し、自分はあくまでも好奇心に沿って行動する彼女を補う支えとなっていた。


「人にはみんな役割がある。誰もが主役をやれるわけじゃない。だけど主役だけでもお芝居はできん。必ず、それを支える人がいるんだ」


 これは、音が学芸会で主役に選ばれずふてくされていたときに安隆が発した台詞だ。光石は公式インタビューで「自分の俳優人生とも重なって、自分に言っている気にもなりました」とこの言葉を振り返り、SNS上でも「光石研にこの台詞を言わせてるの最高すぎる」「光石研さんがおっしゃると、重みが違う」などの声が上がっていた。この後、裕一と出会い、夫の才能を誰よりも信じて叱咤激励する音の心には、この言葉が刻まれているはずだ。


 安隆は必ず、音の思いを聞き入れてから言葉を発していた。頭ごなしに否定したり、言葉を遮ったりするのではなく、まず聞き入れる姿勢を持つ。その姿は、夫を支えながら自らも夢を追い続ける、音の基部にもとても影響しているだろう。


 第11週初日、福島に帰る決断をした裕一に、音は「お父さんに恩返ししたかった」と口にしていた。音たちの心には今でも安隆がいる。それを思えば、大人になった三姉妹と安隆とのやりとりは心温まる物語として映るのではないだろうか。


 彼の早すぎる死に衝撃を受けたのは関内家だけではなく、SNSでは「光石パパに癒されてがんばれてたのに」と惜しむ声も多く、光石が早々に退場したことには悲しみの声が上がっていた。亡くなった安隆が地上に帰ってくる設定には戸惑いの声もあがっているが、再び光石の演技が見られるのだと考えると、期待も高まる。


 制作統括の土屋勝裕氏は「主人公をとりまく人々にもそれぞれドラマがあり、そういう人たちがいてこそ、主人公のドラマがより面白くなる」とコメントしている(参考:『エール』橋本じゅん、井上順、金子ノブアキが出演 土屋CP「主人公のドラマがより面白くなる」)。“主人公をとりまく人々にもそれぞれドラマがある”、これこそまさに「主役だけでもお芝居はできん」なのではないだろうか。第12週は視聴者の心をも打った安隆の台詞が活かされる回になることだろう。(片山香帆)