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『M 愛すべき人がいて』待ちに待った第4話も田中みな実劇場に “博多通りもん”の粋な計らいも

2020年06月14日 13:41  リアルサウンド

リアルサウンド

(c)テレビ朝日/ABEMA

 『M 愛すべき人がいて』(テレビ朝日×ABEMA)第4話が6月13日に放送された。約1カ月ぶりの放送再開。この間、副音声解説が加えられたリミックスver.で何度も物語を復習し、これほどまでに視聴者が心待ちにしていたドラマはあっただろうか?


参考:『M 愛すべき人がいて』登場人物のモデルとなった人物は? 90年代の音楽シーンとともに解説


 第4話の見どころは大きく2つ。「礼香(田中みな実)の眼帯の真相」と「悪魔になるマサ(三浦翔平)」だ。


 その黄色くふっくらした見た目から“通りもん”と呼ばれている礼香の眼帯は、以前からベールに包まれていた。第3話では「私のこの目はあの人に奪われた」と眼帯を外し、アユ(安斉かれん)にその奥を見せつけるシーンもあった。


 事件はマサの結婚式で起こった。飲みすぎてバランスを崩したマサに押され、礼香は階段から落下。持っていたグラスの破片で右目を負傷していたのだ。激怒する礼香の両親に、マサは「礼香さんの目の代わりになります」と土下座しながら誓う。包帯を外し、人差し指を右目に押し当て、「私のここに、マサが入ってくれるんだもんね」と約束するさまは、なかなかのホラーだ。この回想は、礼香との両親を交えた会食のシーンで明らかになるが、父の不自然に長い「かんぱーーーーーい!」や、グイグイとグラスの酒を飲み干す母と、礼香の狂気的な一面は2人からもビンビンと感じさせる。


 また、第4話の名シーンに数えられるのが、アユにただならぬ嫉妬心をあらわにする礼香が、彼女を屋上に閉じ込める場面だ。雪が舞うほどの寒さから童謡の「雪やこんこ」を歌って体を温めようとするアユ。「屋上」と「奥ジョイ(奥のジョイスタジオの略)」を聞き間違えたせいだとアユを責め立てる礼香。「マサの大事な話」として、礼香がアユに耳打ちするのは「マサの好きな食べ物、唐揚げだから」と何もかもがめちゃくちゃ。このことが後にアユの体調不良の原因となって彼女を苦しめることとなるのだが、礼香に対する「え?」というリアクションは、我々視聴者の気持ちそのままである。


 一方のマサは、ダイヤの原石と信じてやまないアユを、10億円かけてプロモーションすると宣言。デビューシングルはオリコン1位、街中にアユが溢れ、視聴率を爆上げするアーティストになるとマサはアユを売り込むが、業界の反応は冷たかった。レコーディングでは思うように声が出ず、撮影では顔が強張るアユ。ライバルグループAxelsへの焦りもあり、マサはチーム・アユ、関係者に悪魔となって怒鳴りつける。「恋煩い」「付き合ってる」と周りから噂される2人。“夢の先”と見据える東京ドームの夜空に虹をかける(2週ぶり!)アユとマサだったが、デビューにもまだ程遠い現実。


 そんなときにアユが書き上げるのが、2ndシングルとしてリリースされることなる「YOU」の歌詞。〈君のその横顔が 悲しい程キレイで 何ひとつ言葉かけられなくて 気付けば涙あふれてる〉という歌い出しは、マサに対して何もできない不甲斐ない自身の感情がこもっている。そして、ついにアユは「あなたが好きです」というずっと押し隠してきた思いを、マサにFAXで告白する。そこに入ってくるのが、ウェディングドレスを着た礼香。マサの奪い合いは、さらに過激な展開へと突入していきそうだ。


 第4話の本軸とは別に、Twitterのトレンドを賑わせた話題がある。それが、「博多通りもん」が番組のスポンサーとなり、CMが『M』で流れたことだ。福岡ではお馴染みのCMが全国放送で流れるのは初。もちろん、礼香の眼帯が“通りもん”と呼ばれていることを受けての、明月堂の粋な計らいによるものだが、実況しながら観るという習慣が定着した『M』との相性の良さもバッチリである。何が起こるか分からない、『M』からこれからも目が離せない。(渡辺彰浩)