2020年06月14日 09:31 弁護士ドットコム
「東京アラート」が6月12日に解除されました。これに伴い、都職員らが木曜・金曜に歌舞伎町などで行っていた「見回り隊」の活動も11日を最後に今後は行われません(都は「東京アラート」が再度発動した場合、活動は検討するとしています)。
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見回りは、「多くの新規感染者との関連が判明している夜の繁華街において、都民への注意喚起」(東京防災のHP)が目的です。小池百合子都知事はとりわけ感染者が多いと歌舞伎町を名指ししてきました。
小池都知事から特に槍玉にされた夜の街で営業する人たちは、この活動を苦々しく思っていたのでしょうか。実は、そんなことはなかったようです。
見回り隊が主に練り歩いたのは、歌舞伎町の入り口「一番街」から「新宿東宝ビル」のあたりでした。
周辺の居酒屋は、やめてほしいと眉間にシワを寄せます。
「店の真ん前で『ソーシャルディスタンス』を連呼されたら、お客さんが逃げてしまいます。ただでさえまだ少ないのに」(店長)
休業要請の段階的緩和を示した都のロードマップでも、キャバクラやホストクラブなど接待を伴う店については、再開の見通しは長らく示されていませんでした。やっと19日からの営業を認める方針が出されたばかりです。
キャバクラ専門の無料案内所によると、歌舞伎町のキャバクラの9割が再開しているそうです(10日時点)。
入店時の消毒・検温を徹底する、あるキャバクラの男性マネージャーは次のように話します。
「5日は看板の照明を消して営業しました。見回り隊が怖い? いやいや。見回り隊にマスコミがくっついてたでしょ。うちの店がニュースに映り込むのが怖かった。なんで開けてるんだと誹謗中傷が殺到します」
世間からの反応を警戒している店は他にもありました。ただ、見回り隊そのものについて、もっとも多かった返答がこちらです。
「見回り隊はキャバクラやホストクラブが並ぶエリアまで来てませんよ」(別のキャバクラの黒服)
歌舞伎町の大手ホストグループ経営者は、見回り隊の活動は都知事の「パフォーマンス」と見ています。
「見回り隊がお店の前に来たら、営業妨害だと感じますよ。でも、店があるエリアでは見ていません。都知事選も控えているので『感染対策に力を入れてますよ』ってPRでしょうね」と話します。
グループからも感染者が出ました。「感染者の出た2店舗については、まだ休業中です。ほか全店は4月7日~4月16日までは休業し、以降の営業は、各店に判断を任せています」
結果、4月下旬には、グループだけではなく、歌舞伎町全体の約250店舗のうち、8割のホストクラブが営業していたそうです。「ホストクラブには経済的支援がほとんどありませんから、生きていけません。感染対策だけはしっかりさせていただいております」
緊急事態宣言のあった4月中は、警棒を手にした警察官が「外出自粛要請」を歌舞伎町で呼びかけるものものしさが話題になりました。
「警察と夜の店が対立しているような伝え方もされますけど、逆です。優しい警察官が多かった印象です。そもそも休業に法的な拘束力はありません。
4月中に見回りにきた警察のかたも我々を不憫に思って『営業停止する権限は警察にない。おまえら大変だな。ここをなんとか乗り越えような』と言ってくれました」
ただ、客足は6月に入っても、通常時の3分の1にも満たないそうです。
「4~5月の売り上げは10分の1未満。地獄みたいな日々でした。6月になって、ようやく再開できるというときに東京アラートやロードマップが発表されました。
ステップ3を超えた先にも、ホストクラブもキャバクラも休業要請は解除されない。愛がないじゃないですか。そういう意味では、東京アラートとセットの見守り隊も嫌いです」
ホストクラブなどへの厳しい対応が変わったのが、都知事と西村康稔経済財政・再生相の6月7日の会談だといいます。
ホストクラブなどの営業に関して、従業員に定期的な検査を促す方針を含む感染対策のガイドラインを取りまとめるとしました。小池氏も「業界とともにやっていくことが重要」と態度を軟化。休業要請の解除の目安を19日としているようです。
「西村さんが都知事に営業を容認させたようです。これで我々もやっと先々の希望を持てました。殺伐としてた街の雰囲気も変わったように感じます」(経営者)