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JR東海N700S、デビュー前に東海道新幹線を走行 - 車内設備も公開

2020年06月13日 11:51  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
JR東海は13日、同社の新幹線車両として13年ぶりにフルモデルチェンジを行い、7月1日から営業運転を開始するN700S量産車の本線走行と車内設備を報道関係者らに公開した。N700S量産車は10時頃、東京駅19番線ホームに入線。10時12分に発車した。

新型車両N700Sは16両編成(14M2T)で乗車定員1,323名(グリーン車200名、普通車1,123名)。「デュアルスプリームウイング形」と呼ばれる先頭形状が特徴で、先頭長は10.7m。最高速度は東海道新幹線285km/h・山陽新幹線300km/h、曲線通過速度(R2500m)は275km/h、起動加速度は2.6km/h/s。これまでに積み上げてきた技術開発の成果を取り入れ、安全性・安定性の向上、異常時対応力の強化、快適性・利便性の向上、さまざまな編成長を容易に構成できる「標準車両」といった特徴を持つ。

グリーン車と一部の普通車にフルアクティブ制振制御装置を搭載したほか、新たなリクライニング機構を備えた座席により、ワンランク上の乗り心地を実現したという。車内に関して、グリーン車(8~10号車)は「ゆとりとプライベート感のある空間」、普通車(1~7号車・11~16号車)は「機能的で快適な空間」をコンセプトとしており、それぞれ快適性・利便性の向上を図った空間となっている。

グリーン車は横4列(2列+2列)の配置で、シートの座席幅は480mm。くるぶしを回転中心としたリクライニング機構を採用し、座面全体が深く沈み込む際、背もたれも連動して傾斜することにより、倒した角度にかかわらず疲れにくい姿勢で座ることができる。普通車は横5列(3列+2列)の配置で、3人掛けのシートの座席幅はA・C席が440mm、B席が460mm。背もたれと座面が連動して動くリクライニング機構を採用しており、より快適に着席できる。

グリーン車・普通車の全席でコンセントを利用でき、全号車で無料Wi-Fi(Shinkansen Free Wi-Fi)を提供。水濡れを検知する新しいシート素材を採用したほか、座席の背面に設置した大型テーブルと傘・小袋等を掛けられる荷物掛けフック、カーテンを下げた状態でも飲料を安定して置ける側窓テーブルなど、座席周りの設備も利便性を高めた。グリーン車の座席に取り付けた読書灯も照射範囲が拡大(従来比+70%)されている。

客室内のドア上部に設置した液晶ディスプレイは大型化(従来比+50%)され、より鮮明な表示で視認性が向上。現在地・目的地がひと目でわかる列車案内を行い、異常時は日本語だけでなく、英語での情報提供も実施する。客室端部に特大荷物スペースが設けられ、事前予約によって大きな荷物を置くことが可能に。11号車は多目的室に加え、客室内に2台分の車いすスペースを設けた。新たに開発した腰掛により、通路幅を最大限確保しつつ、車いす利用者向けのスペースを用意できたという。

車内照明にはLED間接照明を使用。あたたかみのある光が客室全体に均一に降り注ぎ、落ち着いた雰囲気の空間を演出している。荷棚空間は拡大され、手荷物の置忘れ防止をサポートするため、駅停車前に荷棚を照らす調光機能(走行中は減光)を取り入れた。なお、車内の荷棚をはじめ、内装部品の一部は廃車となった新幹線車両700系の構体素材(アルミ合金)を再利用しているとのこと。

客室内の防犯カメラは1両あたり4台または6台に増設。全号車の客室端部に客室通話装置を設け、よりタイムリーに乗務員らと会話できるようにしたほか、防犯カメラ映像の指令所への自動伝送ネットワーク化、指令所から個別の列車に向けて車内放送を行える機能の導入、グループ通話システムの導入などにより、リアルタイムな情報共有と迅速な対応(案内・誘導など)が可能となり、車内セキュリティのレベルが向上した。

異常時の対応能力も向上。大容量のリチウムイオンバッテリを搭載したことにより、停電時の駅間停車やトンネル・橋りょう等での停車が発生しても、バッテリ自走システムで安全な場所まで移動できるようになった。一部の号車で停電時のトイレ使用が可能となり、乗客へのサービス向上にも寄与する。

デビューに先立ち、6月13日に行われた報道公開では、N700S量産車のうち1編成(J3編成)が東海道新幹線を走行した。N700S量産車は7月1日、4編成を投入して営業運転を開始する予定。N700系の置換えとして、2022年度までに計40編成を投入する計画が発表されている。(上新大介)