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「削減されたクラスを返して」大手ヨガスタジオの講師ら仕事ゼロに、休業補償求め

2020年06月12日 18:22  弁護士ドットコム

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全国に23店舗を展開する大手ヨガスタジオ「スタジオ・ヨギー」で働くインストラクターらが6月12日、新型コロナを理由にクラスを減らされ、休業補償もないと会見で訴えた。


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●フリーランス契約だが、実態は…

運営する「ヨギー」(東京都目黒区)と業務委託契約を結ぶインストラクターで作られる労働組合「yoggyインストラクターユニオン」は2019年4月に結成された。



ユニオンは、インストラクターが会社と業務委託契約を結ぶものの、実態は1年契約を継続的に更新し、時間場所、マニュアル等での指揮命令を受けていることから、労働基準法上の労働者であると主張する。



会社は2018年から、有料の講習制度や認定制度についてルールを改変。インストラクターが従わなければ、クラスを持てない仕組みだという。執行委員長の塙さん(45)は「お金を払った人にだけ仕事を与える制度をやめて」と話す。



代理人の川上資人弁護士は「講習を受けろと強制するものについては、会社が逆に対価を払って受けさせなければいけない。金を払わせて受けさせるのは労働法に違反している」と指摘した。



●クラスがゼロに「解雇と同義」

ユニオンは、インストラクターの労働者性を認めさせるとともに、有料制度の強制について、労働契約法上の違法性を指摘し団体交渉を行ってきた。しかし、明確な回答は得られなかったという。



コロナ禍においてスタジオも4月から営業休止したが、6月1日からは段階的ながら全店で再開された。だが、クラス総数は休業前の50%に削減されたという。特に、塙さんをはじめとするユニオンの幹部らはクラスをゼロにされた。



週4回のクラスを受けもっていた塙さんの収入は月換算で7~8万円だった。「子ども2人と夫のいる家族の貴重な収入源がゼロになりました」。これを不当労働行為だとし、事前の相談もなく削減されたことが、業務委託契約書の規約に照らし合わせて契約違反と主張する。



「クラスをゼロにするのは解雇と同義だと思います」(川上弁護士)





●コロナに便乗した?

また、ユニオンは雇用調整助成金を含む休業補償を会社に求めてきたが、現在でも実施されていないという。



ユニオンでは、6月初め、所属インストラクター(組合非加盟者を含む)へのアンケートを実施(回答数80件)。休業前と6月の営業再開時を比較し、担当クラスの減少を聞いた。インストラクターはヨギーのほかに、別の会社のスタジオでも働いている。



「減少なし」としたのは「ヨギー(15%)」、「他社(41.5%)」。「1~6回減少」としたのは「ヨギー(69%)」、「他社(33%)」だった。



副執行委員長の金子さんはこの結果に「ヨギーは他社よりもクラス削減している。業界がコロナの影響を受けた問題とは別。コロナに便乗した単なる営業縮小だと思っています」と語る。



●会社に求めること

そこで、ユニオンは同社に対して、インストラクターの担当クラスの復活や、休業補償とともに、有料の認定制度の停止も求めた。



主要メンバーに仕事が事実上与えられていないことについて、ユニオンは東京都労働委員会に不当労働行為として申請する予定だ。また、7月には提訴も見据える。



会見の内容を伝え、コメントを求めたところ、ヨギー社はメールで以下の見解を示した。



「ユニオンとは昨年5月頃より一年以上にわたり、誠実に交渉を継続しておりましたが、前触れもなくいきなり提訴されるのはまことに遺憾です。訴状を受け取っていないので、その内容についてコメントはいたしかねますが、ご連絡いただいた要約の内容については事実と異なる点もあり、訴訟で明らかにしてまいりたいと考えております」



(会社見解を12日午後7時20分に追記した。編集注・上記見解について、編集部が「まだユニオンは提訴をしていない」と再度の確認を求めたところ、同社は「お送りした内容を弊社の見解としてご理解いただけますようお願いいたします」と回答した。)