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JAXA「いぶき」管制担当の過労自殺に「ようやく決着」…会社側が謝罪、当時の上司の懲戒、解決金支払い

2020年06月11日 18:22  弁護士ドットコム

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JAXA筑波宇宙センター(茨城県つくば市)で、人工衛星「いぶき」の管制業務をしていた佐藤幸信さん(当時31歳)が2016年10月に過労自殺した事件で、遺族の代理人をつとめた川人博弁護士は6月11日、会社側(出向元と出向先の2社)が事実を認めて、謝罪・解決金を支払うことなどで、合意したことを明らかにした。


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川人弁護士によると、出向元の副社長、出向先の副社長、死亡当時の直属の上司の3人が6月4日、合意書締結の場で、遺族と佐藤さんの遺影に対して、頭を下げて謝罪したという。



佐藤さんの自殺をめぐっては、土浦労働基準監督署が2019年4月、長時間労働や上司とのトラブルが原因だったとして、労災認定していた。



●「世の中の時間が全て止まってしまった」

佐藤さんの母、久恵さんは、川人弁護士を通じて、次のようにコメント(6月4日付)をしている。



「合意内容に関しましては、現在の状況を考慮しますと、これが今の会社から引き出せる最善の回答であると判断し、この内容に合意いたしました。息子がこの世を去って、3年7カ月が過ぎ、ようやく決着がつこうとしています。長いようでもありながら、あっという間に過ぎた年月でした」



「初めに息子の急逝を知らされた時には、世の中の時間が全て止まってしまったような気がして、幸信が突然いなくなってしまったこの世の中を、どう生きてゆけばいいのか、途方にくれ混乱するばかりでした」



「息子は社会人としてスタートした最初の会社で、残念ながら命を落とすことになってしまいましたが、この会社が、これからの若者が安心して自分の未来を託すことができる企業へと変わってくれることを、切に願っております」



●謝罪、再発防止、ホームページ掲載、上司の懲戒処分など

佐藤さんは2010年4月、独立系SI企業の株式会社「SCC」(東京都中野区)に入社。2015年10月、グループ会社の「宇宙技術開発株式会社(SED)」(中野区)に出向し、JAXA筑波宇宙センターで温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」の管制業務をしていた。



川人弁護士によると、労基署の労災認定を受けて、出向元のSCC、出向先SEDと交渉を続けてきたところ、このたび以下のような合意が成立した。



・謝罪



SCCおよびSEDは、土浦労働基準監督署の労災認定を厳粛に受け止め、ご遺族に対し、被災者の死亡につき、下記の事実を認め謝罪する



(1)被災者に対して、いぶきの管制業務と人工衛星のスケジュール管理システムのソフトウェア開発(SOE)との兼務および16時間におよぶ夜間長時間勤務後の残業等を課したこと



(2)被災者死亡時の直属の上司が、強い叱責等を被災者に対しておこなったこと



(3)被災者が2016年10月5日~7日まで被災者死亡時の直属の上司およびSOE関係者に対してメール送信したSOEに関する日報等での訴えを、当時、上司らが真剣に受け止めて適切な対処をおこなっておれば、被災者の死亡は避けられた可能性があること



・再発防止



SCCおよびSEDは、被災者の死亡と同様の事態が二度と生じないよう、再発防止策を導入・整備し、再発防止の徹底を図る



・ホームページへの掲載



SCCおよびSEDは、本合意成立後10日以内に、それぞれの会社のホームページに2週間、被災者の労災認定の事実およびご遺族への謝罪、再発防止策を内容とする文書を掲載する(両社ともに6月12日午前9時から掲載予定)



・被災者死亡時の直属の上司の処分



SEDは、本合意成立後速やかに、被災者の死亡に関して当時の直属の上司を懲戒処分する(6月5日実施)



・解決金の支払い



SCCおよびSEDは、連帯して、ご遺族に対して、解決金を支払う



【労災認定時の記事はこちら→JAXA「いぶき」管制、過労自殺を認定 夜勤16時間「達成困難なノルマ」 https://www.bengo4.com/c_5/n_9458/】