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朝ドラ『エール』裕一が故郷を思い、苦悩する 窪田正孝のデレデレな表情も

2020年06月08日 12:01  リアルサウンド

リアルサウンド

『エール』(写真提供=NHK)

 娘の華が生まれ、早4カ月。華にメロメロな裕一(窪田正孝)を見て、音(二階堂ふみ)はあきれ返っているように見えた。NHKの連続テレビ小説『エール』が第11週の初日を迎え、そんな裕一が故郷を思い、苦悩する姿が描かれた。


 「船頭可愛いや」がヒットし、悠々自適な生活が送れるようになっていた裕一は、作曲よりも華に夢中な様子。五線紙に華の似顔絵を描く裕一は周囲に何度も華の自慢をしているようで、保(野間口徹)も恵(仲里依紗)も呆れ気味だ。しかし、喫茶バンブーの常連客が口にした「ご両親もさぞお喜びでしょうな」の一言で、裕一のデレデレした表情がこわばった。彼は故郷を捨てるようにして東京へ出てきたからだ。


【写真】似顔絵と窪田正孝


 その日、恩師である藤堂(森山直太朗)から手紙が届き、裕一は福島の小学校の校歌を作曲することになる。だがそのときも、彼はその作曲依頼に「いや、うれしいけど……ねえ? い……いいのかな?」と戸惑っていた。「福島を忘れたことはない」と鉄男(中村蒼)の作詞で“地方小唄”を作曲したことがある裕一だが、やはり後ろめたさがあるのだ。


 後日、藤堂の手紙とともに、母・まさ(菊池桃子)から手紙が届いたとき、裕一は険しい表情を見せていた。鉄男や藤丸(井上希美)、木枯(野田洋次郎)から「家族を思い出すことがある」と聞いたときも、自分が抱く思いに納得したような表情を見せながらも、眉間にシワを寄せ、帰るべきか否か悩み続けていた。


 窪田の演技から、裕一が家族を思い続けていたことが感じられる。「喜多一」の将来や茂兵衛(風間杜夫)からの養子要請など、自分の夢と家族の思いを天秤にかけなければならなかったとき、裕一は自らの意思で夢を選んだ。だが、心が押しつぶされるようなつらい決断だったに違いない。福島を去った日のことを思い出すシーンでは、三郎(唐沢寿明)と対峙したとき、まさや浩二(佐久本宝)の反対を押し切って立ち去ったときと同じ表情をしていた。古山家で過ごした時間が、あのときで止まったままなのだと感じさせる。


 裕一は故郷へ帰る決断をした。藤堂との再会を喜ぶ裕一だが、家族とはまだ再会できていない。明日以降、どんな「家族のうた」が描かれるのだろうか。


(片山香帆)