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今井翼、『麒麟がくる』で敵将を討つ 『義経』以来の大河ドラマで大役担う

2020年06月08日 06:01  リアルサウンド

リアルサウンド

今井翼『麒麟がくる』(写真提供=NHK)

 日本の歴史を動かす「桶狭間の戦い」が描かれた『麒麟がくる』(NHK総合)の第21回。新型コロナウイルス感染拡大の影響で以降しばらくの間放送が中断されるが、休止前の最後を飾るに相応しい迫力を見せた。


 織田信長(染谷将太)は、今川義元(片岡愛之助)をどうにか討ち取るため策を練る。松平元康(風間俊介)の軍が自分の側につくことがないと知った信長は、籠城すると言い出した。だが、籠城は今川のスパイをだますための建前であり、本当は善照寺砦で今川を討つつもりだという。ここで信長は「敦盛」の舞を披露。「人の世の五十年の歳月は天界の時間と比べれば、夢のように儚くあっという間のもの」という意味であるこの歌を、信長が歌い舞ったという様子は、実際に『信長公記』(織田信長の一代記で、戦国時代から安土桃山時代にかけての史料)に残されている。これについて信長を演じた染谷は本作の公式サイトで「芸能指導の先生と練習を重ね、『麒麟がくる』バージョンの『敦盛』を謡っているので楽しみにしていただけたらうれしいです」と語っており、本作オリジナルの「敦盛」を堂々と披露した。


【写真】討たれた今川義元(片岡愛之助)


 桶狭間ではいよいよ織田軍が今川軍と対峙する。元康は自分たちを駒のように扱う義元に嫌気がさし、織田軍への攻撃に加わることを拒否。さらに、今川軍は信長の策略により分散され、本陣の兵数が減っていた。元康ら味方からも見放された義元は桶狭間で立ち往生をし、そこに織田の軍勢が攻撃を開始する。義元はついに織田勢に見つかり逃げ出すのだが、織田の家臣・毛利新介(今井翼)に討ち果たされてしまう。


 義元が討たれるこのシーンは非常に巧みな演出で、飛びかかる新介を下からのアングルで捉えたかと思うと、次には義元の大きく目を見開いた恐怖の表情がクロースアップになる。そしてその瞳には、迫り来る新介の姿が反射して映っているのであった。新介を演じる今井翼は『義経』以来15年ぶり3回目の大河ドラマ出演となり、今年4月に所属事務所を変え新たなスタートを切ったばかり。敵将を討つという大役で活躍した。


 さらに今回、帰蝶(川口春奈)の元には「天からの預かりもの」が。信長が帰蝶に授けたのは、信長が側室に産ませた男児・奇妙丸であった。信長が今回の戦で死んだらこの奇妙丸を跡取りとして育ててほしいと託したのだ。信長は心の底から帰蝶を信頼しており、十兵衛には帰蝶のことを「帰蝶は何をしても褒める。いつも褒める、あれは母親じゃ」と語り、帰蝶に強い母性を感じていることを明かしている。幼い頃から両親、特に母親の愛情に飢え、“褒められたい”と強く願っていた信長にとって、帰蝶の存在は計り知れないほど心強く、愛しいのだろう。


 次は「美濃を盗って帰蝶を喜ばせる」と信長は語る。愛に飢えるゆえに国を盗る信長と大義で大きな国を作ろうとする光秀、今後の2人の関係はどう描かれるのか。続きが気になるところで惜しくも一時放送休止となる『麒麟がくる』。次の放送ではまた、豪華な面々が素晴らしい活躍を見せてくれることだろう。


(Nana Numoto)