新型コロナウィルス感染拡大の影響で大幅にスケジュールを変更した2020年のNTTインディカー・シリーズ。6月6日にテキサス・モータースピードウェイで無観客で開幕戦を迎えたが、レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングから参戦する佐藤琢磨は決勝レースをスタートできずにレースを終えることとなった。
新型コロナウィルス感染拡大の影響で世界中のスポーツイベントが延期や中止となり、3月上旬セント・ピーターズバーグから開幕を迎える予定だったインディカー・シリーズも大幅にスケジュールの変更を強いられた。
北米では5月中旬には感染拡大のピークを迎えたと判断されNASCARが先駆けてレースイベントを再開。インディカー6月6日にテキサス・モータースピードウェイで無観客のワンデイイベントとして開幕戦を行った。
インディカー参戦11年目を戦う佐藤琢磨は、テキサス・モータースピードウェイで昨年ポールポジションを獲得しており、開幕戦での活躍に期待がかかった。
プラクティスは各車が走行を重ねる中、いちばん最後に走行をスタート。その時点で3番手のスピードを記録する走り出しを見せる。終盤再びスピードを更新し、プラクティス走行は6番手で終えた。
午後3時より行われた予選。琢磨は14番目のアタック順となりトラックへと向かっていく。しかし、ウォームアップ中にバランスを崩し、ターン2の出口でウォールにヒット。マシンにも大きくダメージを負ってしまう。
2時間後のスタートに向けてチームは懸命にマシンを修復させるも、決勝レースへの車検に間に合わすことができず、開幕戦の決勝レースは出走することができずに終えることとなった。
チームのリリースで琢磨は悔しさを語る。
「レースを戦うことができず、すべてのファンのみなさんに申し訳なく思っています。予選でのクラッシュ後、メカニックたちはマシーンの修復に必要なあらゆる作業に取り組んでくれました」
「予選で起きたことについては、まったく信じられませんし理解もできません。アクシデントが起きたのは計測ラップ前のことです。まだウォームアップ中のことで、スピードを徐々に上げながらマシーンの感触を掴もうとしていました」
「ターン1にアプローチしようとしたところ、突然リヤのグリップが失われたのです。もしかすると、よりいいフィーリングを得ようとして本来よりも少しアウト側のラインを走行したのが原因かもしれません」
「今日は路面が恐ろしく滑りやすいことに、このときはまだ気づいていなかったのです。不運にも僕はウォールにクラッシュしました」
「いつもであれば、メカニックたちはレースまでに素早くマシーンを修復してくれたでしょうが、今回はスケジュールを短縮した1デイイベントだったためにレースまでの時間が不十分で間に合いませんでした」
「最後の最後まで懸命の作業を続けてくれたメカニックたちに心からお礼を申し上げます。レースまで8カ月待ち続けて、そこからさらに3週間待たされることになったので、とてもガッカリしています」
「(トラブルのため上位入賞ができなかった)チームメイトのグレアム(レイホール)についても残念に思っています。グレアムが予選で見せた走りは素晴らしく、レースでも激しく戦っていましたが、今日のレースでは2台とも入賞できなかたので、本当に落胆しています」
「今日はかなり落ち込んでいますが、これから3週間は集中力を維持し、より力強くなって第2戦に臨むつもりです」
次戦は7月4日、インディアナポリス・モータースピードウェイのロードコースを使用したインディGPだ。