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大人気「コオロギせんべい」の注意点、「こっそり」食べさせたら“ギルティ”?

2020年06月05日 10:21  弁護士ドットコム

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ネットストアで数量限定発売された「無印良品」の「コオロギせんべい」が注文者のもとに届き始めた。


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弁護士ドットコムニュース編集部も5月20日の予約開始日に注文して、届いたのは6月4日だ。大人気で、現在も商品ページには「ご好評につき現在品切れ」と表示されている。



●実際に食べてみると、えびせん

せんべいには、沖縄などに生息する「フタホシコオロギ」パウダーが使用されている。黒や茶褐色の粒々がコオロギパウダーだろうか。



口に運ぶと、薄い塩味とえびせんのような風味が広がった。後味で雑味も残らない。袋に「コオロギ」と書いていなければ、虫が使われていることには全く気づかないだろう。



ただ、味は大丈夫だと理解していても、どうしても「昆虫が嫌い」で食べることを受け付けない人もいる。



「悪用」の可能性は、発売が発表されたころすでに指摘されていた。「虫嫌いのヤツにこっそり食わせて『実はコオロギでしたー!www』みたいな悪意に使われる予感」(5月13日のツイッター投稿)



さて、虫嫌いの相手に「コオロギせんべい」を食べさせた場合、何か問題はあるのだろうか。コオロギの炒め料理を食べた経験を持つ渡邉優弁護士に聞いた。



●アレルギーの問題も

ーー虫を嫌いな人に商品を食べさせてから、「実はコオロギ入りのせんべい」と告げる行為に問題はありますか



民法上の不法行為に該当しうるといっていいでしょう。重要な点は、「食べさせる側がコオロギ入りのせんべいを美味しい」と思っている点ではなく、「食べる側が虫を嫌っている」という点です。



就業中や職場の暑気払いなどで行われると、ハラスメント行為として、食べさせた従業員が会社から懲戒処分を受けることもありえます。学校などにおいて生徒の間で行われれば、いじめに該当しうるでしょう。



ーーでは、商品の内容を理解している虫嫌いの相手に、無理やり食べさせる行為は?



脅迫や暴行によって、コオロギ入りのせんべいを無理やり食べさせる行為は、民事上の責任のみならず、強要罪(刑法223条1項)に該当し刑事上の責任を負う可能性もあります。



また、食用コオロギは甲殻類アレルギーを引き起こす可能性があります。無印良品も商品ページで「食用コオロギパウダーは、えびやカニなどの甲殻類と類似した成分が含まれています。えびやカニのアレルギーをお持ちの方はお控えください。」と注意しています。





甲殻類アレルギーなどを引き起こさせる行為は、傷害罪(刑法204条)に該当し、亡くなってしまった場合は傷害致死罪(刑法205条)に該当することもあります。



飲食店等が不注意によって、甲殻類アレルギーを持っている客にコオロギ入りのせんべいを提供し、甲殻類アレルギーなどを引き起こさせてしまった場合には、業務上過失致死傷罪(刑法211条1項前段)にあたりえます。



見た目ではコオロギが入っていることが分かりにくい商品のため、好意などで提供する場合でも事前にアレルギーの有無は確認したほうがいいでしょう。




【取材協力弁護士】
渡邉 優(わたなべ・ゆう)弁護士
交通事故・債務整理・相続・企業の法律問題、不動産に関わる問題に特化した法律事務所
事務所名:弁護士法人よつば総合法律事務所
事務所URL:https://yotsubalegal.com/