2020年のNASCARカップシリーズは5月31日、テネシー州ブリストルのブリストル・モーター・スピードウェイでシリーズ9戦目となる“スーパーマーケット・ヒーローズ500”が行われ、チェッカーまで残り2周でトップを奪ったブラッド・ケゼロウスキー(フォード・マスタング)が優勝を飾った。
1周0.533マイル(約800メートル)のコンクリート舗装トラックのブリストルを舞台にした1戦は、現地31日(日)の15時30分に3ステージ合計500周で争われた。
125周目までのステージ1と、250周目までのステージ2は前戦のシャーロットを制したチェイス・エリオット(シボレー・カマロZL1)が支配。2ステージ連続でトップチェッカーを受けて、連勝に向けて勢いをつける。
快走を続けるエリオットはレース残り10周を切った時点でもトップ争いを展開。ジョーイ・ロガーノ(フォード・マスタング)、デニー・ハムリン(トヨタ・カムリ)と三つどもえの優勝争いを繰り広げる。
すると残り6周、先頭を走っていたロガーノがターン4でバランスを崩し、アウト側のウォールに軽くヒット。その衝撃でマシンリヤが振られたところにハムリンがタッチすると、ハムリンのカムリはバランスを崩し、後続車1台を巻き込んでクラッシュしてしまう。
これで優勝争いはエリオットとロガーノの一騎打ちになると、2台はところどころでマシンを軽く接触させながらバトルを展開していく。
しかし、チェッカーまで2周で迎えたターン4、先行するロガーノのイン側に飛び込んだエリオットのライン取りがアウトに膨らみ、2台が接触。そのままウォールにヒットしてしまった。
この接触でエリオットとロガーノが失速している間に、2台を追っていた3番手のケゼロウスキーがトップに浮上すると、そのまま優勝。2位に入ったクリント・ボウヤー(フォード・マスタング)とわずか0.471秒差で2020年シーズン2勝目を遂げた。
優勝目前でクラッシュし、22位フィニッシュに終わったエリオットは「完全に自分のミスだった」とロガーノとの接触についてふり返っている。
「あのタイミングで仕掛けなければと気が焦ってしまった。彼(ジョーイ・ロガーノ)はショートトラックの戦い方が巧みで、あのタイミングで彼の前に出て、抑え込まなくては勝てないと思ったんだ」
「結果として2台ともクラッシュという結末を招いてしまったことは最悪だ」
短いトラック全長とホームストレート、滑りやすいコンクリート舗装という特徴からブリストルでのレースはクラッシュなどのアクシデントが起きやすく、31日のレースではイエローコーションが計17回出され、102周がイエローコーション下で消化された。これは2006年以来最多の数字だった。
また6月1日には同地でNASCARエクスフニティシリーズも開催され、こちらはノア・グラグソン(シボレー・カマロ)が優勝を飾っている。
2020年のNASCARカップシリーズ、次戦は6月7日にジョージア州ハンプトンのアトランタ・モーター・スピードウェイで行われる。