2020年06月01日 17:01 リアルサウンド
メディアミックスプロジェクト『BanG Dream!』(バンドリ!)によるガールズバンド・Poppin’Party(通称:ポピパ)が、2020年2月28日に5周年を迎えた。そして、待望の2ndアルバム『Breakthrough!』の発売が6月24日に控えている。
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ポピパは、2019年に修行期間と題して、名古屋・大阪・札幌・福岡・東京を巡る『Poppin’Party Fan Meeting Tour 2019!』を開催したほか、『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2019』や『阿蘇ロックフェスティバル2019』など、結成から目標に掲げていた音楽フェスにも参加。様々な初挑戦を重ねる中で、メンバーそれぞれが大きく成長した1年を過ごしたという。
そんな挑戦の日々はメンバーにどんな影響をもたらしたのか。2019年の修行期間から5周年への感慨、そして2ndアルバム『Breakthrough!』へ込めた思いとは。メンバーの愛美(戸山香澄役)、大塚紗英(花園たえ役)、西本りみ(牛込りみ役)、大橋彩香(山吹沙綾役)、伊藤彩沙(市ヶ谷有咲役)に話を聞いた。(編集部)
■「ポピパで過ごした時間が濃密すぎて」(愛美)
ーー2020年2月28日でPoppin’Partyが結成5周年を迎えました。みなさんにとって、ポピパとしての5年間の経験はどんなものになっていますか?
伊藤彩沙(以下、伊藤):この5年の日々の中で、Poppin’Partyは私の人生の中ですごく大きな存在になっています。最初はバンドがどういうものなのかもわからなかったのですが、メンバーやスタッフの方々と関わり合いながらバンドとしての関係性を築いて、その中で様々なことに挑戦させていただきました。18歳でポピパの活動を始めてから学ぶこともたくさんありましたし、振り返ると『バンドリ!』と一緒に大人になったという感覚もありますね。
大塚紗英(以下、大塚):私も、この5年は子どもから大人になる時間だったなというふうに感じています。当たり前のことですが、甘い気持ちだけで5年間を過ごしていくことはできなくて、みんなそれぞれの努力を重ねてきました。どうすればポピパという存在に見合える自分になれるのか。自分たちなりにたくさん考えて、常に模索してきました。そんな日々の中で経験してきたことは、それぞれの人生の財産みたいに大切な時間になっていると思います。
大橋彩香(以下、大橋):ポピパでの1年間は、どの年も全部濃厚なんです。普通の人よりもたくさん経験させていただいているから、今5周年と言われても、個人的には「まだ5年なんだ」ってびっくりします。昨年は修行期間もありましたが、特にこの2年間くらいは新しい挑戦がたくさんあって。ポピパじゃないとできないことを、みんなと一緒に実現できた日々でした。
愛美:私も体感としては10年くらいに感じますね、ポピパで過ごした時間が濃密すぎて。この5年間、ポピパのバンドとしての成長はすごく感じているし、環境の変化もたくさんあったけど、個人としてはどこまで成長できたんだろうと考えることもあって。これから先は、私自身の成長をもっと感じていただけるように、頑張っていきたいです。この5周年のタイミングは、そういうふうに自分自身を振り返るきっかけになりました。
西本りみ(以下、西本):私は『バンドリ!』が声優としてのデビュー作になるので、本当にポピパと一緒に成長してきたという思いです。右も左も分からない状態から、がむしゃらに駆け抜けてきた5年間という印象があります。この5年間の経験を糧にして、次は10周年、そしてこれから先にも繋いでいくためにこれからも頑張っていきたいです。
■(ミライトレインは)「有咲の熱い思いが込められた楽曲」(伊藤)
ーー6月には2nd Album『Breakthrough!』が発売されます。1曲目として収録されている表題曲は、ポピパがこれから先もより飛躍していくような姿をイメージさせます。
愛美:今までのポピパの殻を打ち破るという意思表明とあわせて、今年は「Break(ブレイク) 」「through(スルー)」で「ブレイクする」という意味も込められています!
ーーダジャレですか(笑)?
愛美:そうです(笑)。昨年TV番組に出演させて頂いたとき、占い師さんに「ポピパのこれからはどうですか?」と質問したら、「2020年後半にガッと勢いに乗ります」ということを言っていただきまして。このアルバムをきっかけに、ポピパはガッとブレイクするんじゃないか、そうなるように頑張っていければと思っています。
大橋:「Breakthrough!」は、みんなで歌詞に入れて欲しいワードをいくつか中村(航)先生に伝えて、それをもとに作詞していただきました。ポピパに対する思いだったり、『ファンミ』(『Poppin’Party Fan Meeting Tour 2019!』)の思い出にまつわるワードも提案させていただいています。
ーーちなみに、みなさんはどんなワードを提案したんですか?
大橋:『ファンミ』の思い出として「人ではない」って提案したけど、採用されなかった(笑)(※「人ではない」は、『ファンミ』札幌公演の朗読劇にて愛美演じる戸山香澄が言ったセリフ。札幌公演ファンミソングのタイトルにもなった)
愛美:私は自分で何を書いたのかうる覚えで、(中村先生に)「どこに使われてますか?」って確認しちゃいました。みんなが提出したワードも見たかった! きっとこれまでポピパで歌ってきた楽曲の歌詞も入っていると思います。
ーーなるほど、5年を経たみなさんの今の気持ちも反映された曲になっているんですね。あと、個人的には「ミライトレイン」も印象的でした。アニメ本編では、伊藤さん演じる市ヶ谷有咲が作曲、愛美さん演じる戸山香澄が作詞した楽曲になります。
伊藤:アニメ「3rd Season」の有咲は、みんなを引っ張るリーダー的な存在感があったので、そういう彼女の熱い思いが込められた楽曲になっていると感じました。これまでのポピパにも壮大な楽曲はありましたが、それ以上に一体感が伝わる曲になっている思います。アニメでもガールズバンドチャレンジの決勝で披露した曲ということもあって、聴いたときにみんなで「ウォー!」と盛り上がれるような、『ポピパ』のテーマソングみたいな曲になっているなって。
ーー2016年に発売された2nd Single「STAR BEAT!~ホシノコドウ~」(以下スタビ)とのつながりも感じました。「スタビ」から4年経った今だからこそ歌える曲というか。
伊藤:みんなとも「スタビ」のアンサーソングみたいっていう話をしたんですけど、少し立ち位置が似ている曲かもしれません。曲入りもサビもみんなで歌えるようになっているので、ライブでの見せ方を考えるのも、バンドリーマーの方たちがどういう反応をしてくれるのかも楽しみ。いつかライブでやれたらなって思います。
■「『ファンミ』を通してバラエティ力の大事さを実感」(大橋)
ーー2019年5月からスタートした修行期間についても伺います。修行期間として『Poppin’Party Fan Meeting Tour 2019!』や夏のロックフェス出演など、ポピパにとっての初挑戦をたくさん行いましたが、いかがでしたか?
愛美:いろんなことに挑戦して、そこで得たものをバンド活動に還元していければという取り組みでした。
伊藤:始めに新宿アルタビジョンで流す映像(※2019年5月4日、新宿アルタビジョンにて修行開始を宣言する映像を流した)を撮影したのですが、その時はまだ何をするのかも聞いてはいなくて。でも振り返ってみると、こんなにいろんなことを経験させていただけるとは思わなかったです。
大塚:初めてロックフェスにみんなで出演させていただいたり、『ファンミーティング』という形で地方を回るのもポピパとしては初めての経験で。修行期間中は、普段できないことをたくさん実現できたし、みんな成長できたと思います。
ーー『ファンミ』では、ライブはもちろん、その土地柄にあったバラエティ企画にも挑戦しました。観客からワードを集めてその場で作詞した即興ソング作りのような企画もありましたが、振り返ってみていかがですか?
大橋:私は1公演目の名古屋メンバー(大塚紗英・大橋彩香・伊藤彩沙)だったので、スタートダッシュをかけなければいけないと思って、いつもより気合いが入っていたと思います。普段はあいみん(愛美)がリードしてくれるので、そのありがたみを再認識したというか。私自身は、トークを回すのが少し苦手なところもあって、今回の『ファンミ』を通してバラエティ力の大事さを実感しましたね。
ーーたしかに、普段のライブでも愛美さんがトークを回す役割を担ってますもんね。そんな愛美さんは、メンバーの方々の様子を見てどう思いましたか?
愛美:これまでのイベントでは進行を任されることも多かったので、私がいないときはみんなどうやって進めていくんだろうって気になっていました。打ち合わせしている姿も微笑ましくて、「みんな、よくやっとるやん」っていう親のような気持ちにもなりました(笑)。
伊藤:そんなLINEをもらった気がする(笑)。名古屋公演の即興ソングがぶっつけ本番みたいな感じで、初めてだからどうなるかも全然分からなかったんです。尺も決まっているから「ちゃんと進行通りにやらなきゃ」みたいな。もう前日から緊張で胃が痛かった(笑)。でも、バンドリーマーの方々の力も借りて作ってみたら、意外と上手にできて。その日の動画をさえチ(大塚紗英)がみんなに送ってくれたんですけど、あいみんとりみりん(西本りみ)から「お疲れ様!」っていうLINEが来た時はすごくうれしかったです。
大塚:たしかに、即興ソングが一番怖かった。その公演ならではの言葉を入れようっていうルールは決めつつも、それ以外はふわっとしていたので。毎公演を動画に撮って、この企画をどうやって笑いに繋げるのか、各々が即興と向き合って……すごくゆるいコーナーに見せかけて、私たちの方はすごく真面目に取り組んだ企画でした。
伊藤:さえチは演奏担当でもあったもんね。即興ではステージに必要ないろんな感覚を鍛えられたと思う。
大塚:でも、(彩沙は)普段一緒にラジオで即興ソングコーナーやってるから心強かったよ!
愛美:私はそんな様子を見守っている中で、自分の子どもが一人暮らしをするときってこんな気持ちなのかなって……(笑)。
伊藤:そんな心境だったの!?
愛美:つい助言をしたくなっちゃう感じというか、子離れできない親の心境かな。今回を機に、親として子どもを見送るスキルを手に入れたと思います(笑)。
大塚:いや、まだまだだよ! だからこれからも引き続きよろしくお願いします(笑)。
大橋:そうか、『ファンミ』の時に私が感じていた不安は、初めて一人暮らしをする時の気持ちだったのか(笑)!
■「メンバーが何を考えているのかすぐに分かるようになった」(西本)
ーーツアーとして各都市を回ったことも初めてだと思います。それぞれの土地のバンドリーマーの様子はいかがでしたか?
西本:みんな、「地元に来てくれてありがとう」って言ってくれました。私も地方出身だから、特に学生の頃の東京に行きたくても行けない気持ちがすごくわかるんです。バンドリーマーの方々は年齢層も広いんですけど、学生さんから「普段なかなか会いに行けないから、来てくれて嬉しかった」という言葉をいただいたり、喜んでいる反応を肌で感じられたのは本当に嬉しかった。私たちも普段行きたくてもなかなか行く機会が無かったりするので、今回は5カ所でしたけど、これからもっと色んな場所にいけたらなって思います。
大橋:私自身、バンドリ!はもちろん、関東以外でのライブもあまり経験したことがなかったから、各都市のバンドリーマーさんに会いに行けたのは嬉しかったです。でも、その土地土地に色はあるんですけど、やっぱりみんな『バンドリ!』が大好きという熱い気持ちは共通していて。その熱量を身をもって体感できたのは感動しました。
愛美:即興ソングで上がってくるワードも各地域で個性があって面白いんですよ。それに大阪公演でやった新喜劇のパロディは、関西じゃなきゃあそこまでウケなかったと思います。ああいう挑戦も、地方ならではなのかなって。
ーー愛美さん、西本さん、伊藤さんによる新喜劇のパロディは、綿密にリハーサルを重ねて臨んだそうですね。
伊藤:ポピパでお笑いやお芝居をやったことがなかったので、かなり真剣に取り組みました。お客さんの反響も良くて、「こういう可能性もあるんだな」というひとつの扉が開けた感覚もあったし、もっと他にもチャレンジできることがあるかもしれないと思える経験になりました。
西本:新喜劇は台本があったんですけど、他の公演でやったエチュード(即興劇)はその場で考えてやったので、起きたことにすぐ対応する反射神経は身についたかも。公演ごとに、メンバーが何を考えているのかすぐに分かるようになってきたのも修行の成果ですね。
■「もう一度『ロッキン』のステージに立ちたい」(大塚)
ーーあと、『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2019(以下、ロッキン)』への初出演をはじめ、『COUNTDOWN JAPAN 19/20(以下、CDJ)』や『阿蘇ロックフェスティバル2019』(愛美・大塚紗英・西本りみのみ出演)など、ロックフェスへの参加も思い出深いのではないでしょうか?
大塚:私は昔からロックバンドの音楽が好きで、学生時代の時からよく『ロッキン』にも行っていたので、すごく印象に残るステージになりました。たくさん練習して臨んだんですけど、振り返るとそのときのパフォーマンスはやっぱり悔しくて。
ーーどういう部分に悔しさを感じましたか?
大塚:私たちはバンド未経験からスタートとして、これまでも常に成長し続けてこれたと思っています。だからこそ「今だったらもっとできることがあるのに」、「今の方がギターをうまく弾けるのに」とかはすごく思うので、時間が経てば経つほど悔しくなるというか。だからこそリベンジではないですが、もう一度あのステージに立ちたいとは強く思います。
ーー愛美さんは、『ロッキン』で最後に「キズナミュージック♪」を歌唱した際に涙を流したというのをSNSで拝見しました。その時はどんな感情でしたか?
愛美:『ロッキン』は結成時からいつかは立ちたいとみんなが思っていた憧れのステージで、また次回も呼んで頂くためには良い演奏を披露したいという気持ちも強くて、すごく熱くなってしまいました。口に出している夢はたくさんあるんですけど、全部が叶えられることは難しいし、逆に他のバンドさんが叶えてうらやましいと思うこともありました。そんな中で、憧れのロックフェス出演をポピパとして叶えることができた。そういう嬉しさ以外にも、いろんな思いが巡って感極まって流した涙なんだと思います。
ーー結成当初からの念願が叶った。その喜びの涙だったんですね。
愛美:声優がバンドをやること自体が、ファンの方々にとっては嬉しいことだと思うんです。私たちとしても、自分たちの夢を叶えるため、ファンの方々に楽しんでいただくために、たくさん練習してバンドとして良いものを届けられるよう努力を重ねてきました。そういう日々の頑張りが、フェスへの出演で認められた気がしてすごく嬉しかったというのもあります。
■「なによりバンドリーマーの皆さんに恩返しがしたい」(愛美)
ーーいわゆるロックバンドが多数出演するフェスはポピパにとってアウェイな現場に思いますが、逆に他のバンドにはない魅力も備えているように思います。例えば、楽曲に関してもポップスの要素が強いですし、サウンドのレンジも広いですよね。
愛美:そうですね。初見の人でも引き込めるノリの良い曲もあるし、逆にエモーショナルに聴かせるような楽曲もある。『バンドリ!』にはいろんなバンドがいるけど、いろんな場所に対応できるマルチさはポピパが一番だと思います。
ーー『CDJ』のリハではサークル(オーディエンスが円状になって全力疾走する盛り上がり方)が起こっていたり、ロックバンドさながらの盛り上がりも見せていましたね。
西本:『ロッキン』も『CDJ』も、記憶が飛ぶくらい全力で演奏して、すべてやり切ってステージを降りるような感覚でした。正直、振り返るとどんな演奏をしていたのかも曖昧で。とにかく聴いてくれている方々の胸に何か残したいと、がむしゃらに演奏した記憶しかないです。
大塚:でも、『阿蘇ロックフェスティバル2019』の時は、「りみりんのベース、キテる!」って思った。私とあいみんとりみりんの弦楽器3人でPoppin’Party Stringsとして出演して、サポートの方も入っていただいていたんですけど、基本的にはシンプルな音だったので、いつも以上にりみりんのベースを聴いて演奏したんです。そのときのベースはすごくゴリゴリしてた。
西本:なんでだろう。やっぱり、もともとあるロックの野心みたいなものが……(笑)。
ーー西本さんのロックマインドが爆発したのかもしれないですね。では、最後にそんな2019年を経て、今後はどういう活動を目指していきますか?
愛美:修行期間を経て、私も含めメンバー自身が演奏やバラエティ面で成長することができました。そこで得たものを力に変えて2020年もみんなで頑張っていきたいなと思います。今までお待たせしていた分、ライブでは精いっぱいその期待に応えていきたいですし、なによりポピパを好きだと思ってくれているバンドリーマーの皆さんに恩返しがしたい。2019年の経験を、恩返しできる力に変えて、これからさらにブレイクできるように頑張りたいと思います!(泉夏音)