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『エール』柴咲コウが二階堂ふみを激励 憧れの歌手への道を突き進む

2020年06月01日 12:12  リアルサウンド

リアルサウンド

『エール』(写真提供=NHK)

 裕一(窪田正孝)の初めてのレコード「福島行進曲」は全く売れず、裕一は廿日市(古田新太)の小言を思い出して渋い顔をしていた。そんな中、鉄男(中村蒼)が裕一を訪れる。NHKの連続テレビ小説『エール』が第10週の初日を迎え、夢に向かって進み始めた音(二階堂ふみ)と鉄男の姿が描かれた。


【写真】歌唱中の二階堂ふみ


 まずは鉄男。鉄男は会社を辞めて東京へやってきた。「この機会にやりてえことをやろうと思ったんだ」と話す鉄男はさっそく、裕一にコロンブスレコードに紹介してもらえないかと投げかける。詩人になる夢に踏み出した鉄男のたくましい行動力、イキイキとした表情は見ていて清々しい。


 鉄男は裕一とともにコロンブスレコードへ行くも、廿日市から「福島行進曲」の詩をこきおろされた鉄男は思わず食ってかかってしまった。コロンブスレコードへの紹介は失敗に終わるが、木枯(野田洋次郎)が現れた途端、鉄男は感激していた。廿日市への怒りが消え失せ、言動がガラリと変わることから憧れの作曲家だと分かる。木枯から「いい歌詞ですよね~。しみました」と言われた鉄男はとても嬉しそうだった。


 おでん屋の店主(花王おさむ)に「この先どうなることやら」と先行きの見えない現状に不安をこぼすシーンもあったが、鉄男の顔つきはこれまでと違い、自分の行動を前向きに捉えているように見える。一皮むけた鉄男の今後に期待が高まる。


 一方、記念公演の主役の座を勝ち取った音も夢に踏み出した。音が双浦環(柴咲コウ)に「私、頑張ります」と改めて意気込みを伝えると、彼女は「かなり頑張らないと厳しいでしょうね」と言った。双浦は決して優しい言葉をかけない。それは指導者として、彼女の可能性に期待しているからこそだろう。音の歌には人の心を揺さぶる何かがあった、と話す双浦は「あなたに足りない技術をこれから死ぬ気で磨きなさい」と激励する。


 二階堂の演技からは、憧れの歌手を前にした音の緊張感が伝わってきた。立ち去る双浦を追う目の動きやこわばった口元、力の入った肩、音を演じる二階堂の体全体から、双浦への尊敬と畏怖の念が感じられる。だからこそ、自宅や学校で自主練習に励む音の懸命さが際立つ。裕一から「運動選手みたいだね」と言われるほどのストイックさは彼女の魅力だ。彼女の熱意が実を結ぶことを願いたい。


(片山香帆)