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横田真悠が語る、SHE’Sの楽曲に惹かれる理由「いつでも味方でいてくれているような感覚」

2020年05月30日 12:31  リアルサウンド

リアルサウンド

横田真悠

 SHE’Sの楽曲「Masquerade」「Letter」「Your Song」の“MV3部作”に出演している横田真悠。モデル・女優として活躍している彼女は、MV出演以前からSHE’Sのライブに足を運び、SHE’Sの楽曲を歌唱する動画をSNSでアップ、さらにお気に入りの楽曲でプレイリストを作るなど、ふだんからSHE’Sの音楽に親しんでいる。リアルサウンドでは、横田真悠にインタビュー。彼女の言葉を通し、SHE’Sの魅力を掘り下げてみたい。


(関連:SHE’S「Letter」“あつまれ どうぶつの森”CMソング起用で再注目 時代性ともリンクした優しい響き


 「ミスセブンティーン2014」のグランプリに選ばれ、同誌の専属モデルを務めている横田真悠。昨年放送のドラマ『3年A組-今から皆さんは、人質です-』で女優デビューを果たし、今年に入ってからもドラマ『病室で念仏を唱えないでください』『ホームルーム』(このドラマのオープニング主題歌はSHE’Sの「Unforgive」)に出演するなど、モデル・女優として活躍の場を広げている。


 1999年生まれの彼女は高校時代、音楽好きの友達に影響を受け、様々な音楽を聴くようになったという。SHE’Sとの出会いも「友達の間で流行っていて聴いたことがきっかけ」だったとか。そのときのハマり具合は、高校3年のときの「SHE’Sをきいてるけど、LIVEにいきたすぎる」というツイートからも感じられる。


 実際にSHE’Sのライブに参加した際には、涙なしには観ることができないというほど、彼らの音楽とライブパフォーマンスには横田の琴線に触れるものがあるようだ。


「SHE’Sの中で好きな曲はたくさんありますが、『Seventeen』モデルの先輩である岡本夏美さんが出演している『White』のMVを観て、泣いてしまったことは今でも鮮明に覚えていますね」


 ライブに足を運んだり、SHE’Sの楽曲について頻繁にSNSにアップするなど、プライベートで彼らの音楽に親しんでいた彼女は、昨年リリースされた「Masquerade」「Letter」「Your Song」の“MV3部作”に出演。ここで改めて、この3曲の魅力を紹介しておきたい。


 まずは「Masquerade」。アイリッシュの香りが漂うストリングス、心地よく飛び跳ねるバンドグルーヴとともに、憂いを帯びたメロディラインが響くナンバーだ。“仮面”や“虚栄心”をモチーフにしながら、信頼できる人との出会い、仮面を取る瞬間の解放感を描いた歌詞も心に残る。空虚な雰囲気のパーティを抜け出し、煌びやかな夜の街へと駆け出す男女を主人公にしたMVは、映像作家の山部修平が担当。周囲の空気に合わせるための“仮面”を取り、自分自身の感情に素直になっていく横田の演技も鮮烈だ。


 「『Masquerade』という曲は、今までのSHE’Sさんの雰囲気とは少し違って、この曲を聞いてさらにファンになりました。朝までの撮影でしたが、その年初の花火をしたり、街中を駆け抜けたり、楽しくてあっという間でした!」という当時のコメントからもSHE’SのMVに参加できた喜びが伝わってくる。


 続く「Letter」は、繊細で美しいピアノの旋律、浮遊感とダイナミズムを共存させたアンサンブルを軸にしたミディアムナンバー。ささやくような優しいボーカル、大切な人との距離感に迷い、傷つきながら関係を積み重ねる姿を綴った歌詞には、ソングライターである井上竜馬の個性が表れている。


〈僕らは大切な人から順番に傷つけてしまっては後悔を重ねていく〉という歌詞にインスパイアされたという「Letter」のMVの舞台は、江の島。幸せいっぱいのデートの日と、二人の最後の日が交互に描かれ、感情のコントラストを映し出すエモーショナルな映像に仕上がっている(「Letter」は「あつまれ どうぶつの森 × Nintendo Switch Lite」 2020春CM内でも使用され話題を集めた)。


 3部作の最後となる「Your Song」は、このタイトルが示唆する通り、“あなたの歌(声)”をテーマにした楽曲。重厚感のあるサウンド、力強いメロディライン、そして、〈この目に映っている世界が 不安で満たされていても たった1人だとしても 僕らの好きな歌を 口ずさんで行こう〉というフレーズが一つになったパワーソングに仕上がっている。


 MVでは、「Letter」で描かれた“最後の1日”の数年後、社会に出て、葛藤や悩みを抱えながら、自分自身と向き合い進んでいく姿が映し出されている。MVのラスト、イヤホンを付けた横田が後ろ振り返ろうとし、一瞬だけ横顔が見えるシーンも大きな見どころだ。


 SHE’Sの3部作MVに出演したことについて横田は、「大好きなSHE’SさんのMVに出演させていただけるだけで嬉しいのに、3部作なんて夢みたいでした。SHE’Sさんの楽曲を事前に聴かせていただいて、演じるうえで“2人の過ごした時間”がみなさんにしっかり届くようにしないと! と思いました」とコメント。特に印象に残っているシーンとして「Letter」の江の島デートのシーンを挙げ、「過去と現在の2人の感情のコントラストが切なくてたまらなかったですね。あとは、水族館の幻想的なところも好きです」と語った。


 7月1日にはニューアルバム『Tragicomedy』をリリースするSHE’S。「Masquerade」「Letter」「Your Song」を含む本作のテーマは、“悲喜劇”。ともすれば悲劇的でもあり、喜劇的でもある人間という存在をより深く描きながら、洋楽的なエッセンスをたっぷり踏んだメロディ、そして、ピアノロックを中心にギターロック、EDMなどを融合させたバンドサウンドによって、極上のポップミュージックへと昇華させている。


 今回のアルバムのもう一つのポイントは、井上竜馬が(バンドという枠を意識し過ぎすることなく)、彼自身の感情と向き合いながら曲作りを進めたこと。その結果として本作は、これまで以上にリスナーの心に寄り添い、根本から励ましてくれるような楽曲が中心となった。


 一足先にアルバム『Tragicomedy』を聴いた横田は、「楽曲を聴いているとずっと一緒に、隣にいてくれているような気がします。1曲1曲聴き入ってしまって“一番の理解者がここに!?”という感じです」と、その印象を語る。この率直は感想は、SHE’Sの楽曲が持つ“リスナーに寄り添い、共感を生み出す力”を示していると思う。


 タイトルトラックの「Tragicomedy」も素晴らしい。ピアノと歌を中心としたアレンジ、曲が進むにつれてエモーショナルに広がるメロディ、そして、絡まってしまった二人の感情を解きほぐし、“この先も君と生きていたい”という真っ直ぐな思いを綴った歌詞。この曲がアルバムを象徴する曲の一つであることは、間違いないだろう。


 横田も「〈どんな悲劇も終わりを迎えるよ 今はまだ君も信じられないだろうけど〉。ここを聴いたときは自然と涙が出ました、歌詞も曲調もツボで、永遠にリピートできます」と、その魅力に惹かれているようだ。


 SHE’Sに惹かれる理由について横田は、「どの曲にもどこか心地良さがあるように感じます。言葉で説明するのは難しいんですけど、「私のために書いてくれてるんじゃないのかな?」みたいな、いつでも私の味方でいてくれているような感覚です」と説明。この言葉に“そう!”と納得するファンも多いのではないだろうか。特に10代、20代の若いリスナーにとって、SHE’Sの楽曲に含まれる優しさ、感情に寄り添い、フックアップしてくれる力強さは、大きな魅力になっているようだ。


 人間が持つ弱さや迷い、痛みを包み込み、大らかに解き放ってくれるアルバム『Tragicomedy』によって、SHE’Sの魅力はさらに幅広いリスナーに届くはず。「Masquerade」「Letter」「Your Song」のMVをリピートしつつ、アルバムのリリースを待っていてほしい。(森朋之)