2020年05月27日 11:11 弁護士ドットコム
駐車場に駐車していた車に女性(20代・接客業)を押し込み、監禁した疑いで、男性が埼玉県警浦和署に逮捕された。
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埼玉新聞(5月25日)によると、男性は自ら「女性が詐欺を働き、100万円をだまし取られた」と110番。男性は女性が勤務する職場の客で「プレゼントしたものを返してもらおうと思った」と供述しているという。
交際相手やホスト・キャバ嬢などに多額の金銭を使ったり、プレゼントをしたりしたのに、期待していた通りにならなければショックも大きいだろう。中には「裏切られた」などとして、相手に金銭やプレゼントを返してもらいたいと考える人もいる。
そもそも、プレゼントをもらった側に「返す義務」はあるのだろうか。大久保誠弁護士は「プレゼントをあげる行為は、法的には『贈与』となります」と説明する。
「たとえば、男性が女性のために商品を購入して渡したり、食事の費用を負担したりしたとしても、これらは書面によらない贈与であり、すでに履行行為の終了したものです。男性は贈与契約を撤回することはできません(民法550条)。
したがって、女性がもらったプレゼントを返還する義務はありませんし、かかった費用を返還する義務もありません」
プレゼントを返してもらうために行き過ぎた言動をおこなえば、今回のように刑事事件に発展してしまう可能性もある。今回の事件で、男性は女性を車に監禁した疑いが持たれているが、しつこく返還を請求した場合も「犯罪」にあたりうる。
大久保弁護士は、次のように語る。
「しつこく返還請求をする場合には、その言動如何によっては、脅迫によって人に義務なき行為をおこなわせたとして強要罪(刑法223条1項)が成立する可能性があります。また、強要罪は未遂も処罰されます(同条3項)。
あまりにもしつこい場合は、強要罪にあたるとして警察に被害届を提出することや警告文を発することなども対策として考えられます」