緊急事態宣言が5月25日に全面解除されたのを受け、富士通は同日、今後も社員の原則在宅勤務を基本にした上で、出社を必要最低限にとどめることを発表した。オフィスでの業務については出勤率を最大25%程度に抑えながら、段階的に再開していくという。
同社はまた、海外をはじめ国内遠方への出張も原則禁止とし、ウェブ会議を最大限活用する方針。リモートでの面談が難しい場合は、対面での着座を避ける、ドアを開放する、マスクを着用する――などの対策を講じながら実施するとしている。
「新しい価値観に基づくニューノーマルの世界が始まった」
同社は2月中旬以降、妊娠中の女性社員ら一部社員を対象に在宅勤務を強く推奨。3月には首都圏勤務の社員、4月には自治体から外出自粛要請が出ている地域勤務の社員を対象に、原則在宅勤務に切り替えていた。
今回は、国内グループ会社で働く全社員約8万5000人が対象となる。だが、同社によると、製造工場で働く社員など一部には出社せざるを得ない社員もおり、こうした社員に対しては感染対策を講じながら稼働を続けていくという。
同社の広報担当者は、キャリコネニュースの取材に対して「新しい働き方を見据えていくことが決定の背景にある」と説明。根底には「これまで1000人が働いていたオフィスで、今後も1000人が出社を続けることはない」という考えがあるという。
時田隆仁社長は5月25日、全社員に向けたメッセージを発信。新型コロナウイルスの影響で、生活様式や価値観が大きく変化したことから「新しい価値観に基づくニューノーマルの世界が始まった」「感染が抑止された後も、以前の形に戻ることはないと認識している」などと前置きした上で、
「以前は当たり前となっていた出張や集合型のイベント、慣習的に行っていた会議などについては、まずはゼロベースとし、オンライン前提で考えるようにしてください」
と呼び掛けた。さらに、固定的なオフィスや通勤の在り方を見直すとともに、制度やプロセス、社内システムについてもオンライン業務を前提としたものに変えていくという。