2020年05月25日 17:51 弁護士ドットコム
プロレスラーの木村花さんが5月23日、22歳の若さで亡くなった。木村さんは恋愛リアリティー番組「テラスハウス」に出演中だったが、ツイッターなどで誹謗中傷を受けていた。
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現在、木村さんのツイートのリプライ欄には、「削除されたアカウントによるツイートです」、「このツイートは表示できません」、「このアカウントの所有者はツイートを表示できるアカウントを制限しています」などの表示が多くみられる。
アカウントやリプライを消したり、ツイートを非公開にしたりした場合にこうした表示がされるが、誹謗中傷の一部のリプライが「ツイ消し」されているようだ。
誹謗中傷するツイッターのつぶやきやアカウントが消えた場合、法的責任は問えるのだろうか。清水陽平弁護士に聞いた。
ーー被害者は、誹謗中傷するつぶやきやアカウントが消された場合、発信者を特定できるのでしょうか。
前提として、投稿者を特定するための手続きをする場合、特定をしたいと考える側(被害者側)が、「どこに(URL)」、「どのような」投稿をされたのかを証拠として提示する必要があります。
つまり、紙やPDFで出力して保存しておく、写真に撮っておく、キャプチャを取っておくといったことが必要になります。
このような証拠が残っているようであれば、アカウントが削除されていても開示請求をしていくことは可能です。
ーー期間の制限はありますか。
いつまでも可能かというとそうではなく、アクセスログが保存されている期間にする必要があります。
ツイッターの場合には、アカウントが削除されても1カ月間はアクセスログが保存されているため、その間に請求ができれば、投稿者を特定できる余地があります。
ーーひとまず誹謗中傷されたら、証拠を確保しておくことが大事ということですね。
いくら「こういう投稿があった」と言っても、そのことを客観的に示す証拠がないのであれば、裁判では投稿があったとは認定してくれません。
そのため、のちに法的措置を取るためにもっとも重要なことは、問題があると思う投稿をされた場合には、その投稿を即座に保存して証拠を確保しておくことです。
なお、開示請求はあくまでも被害者が行使することができる権利ですが、この件では被害者が亡くなってしまっています。
遺族が請求することもあり得ると思いますが、遺族が開示請求をする場合は名誉毀損等を理由とすることは難しく、判例上認められている「敬愛追慕(けいあいついぼ)の情」が侵害されていることを理由に請求をしていくことになります。
【取材協力弁護士】
清水 陽平(しみず・ようへい)弁護士
インターネット上で行われる誹謗中傷の削除、投稿者の特定について注力しており、Twitter、Facebookに対する開示請求でともに日本第1号事案を担当し、2018年3月、Instagramに対する開示請求の日本第1号事案も担当。2020年1月14日には、「サイト別ネット中傷・炎上対応マニュアル第3版(弘文堂)」が出版されている。
事務所名:法律事務所アルシエン
事務所URL:http://www.alcien.jp