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MAN WITH A MISSIONが2作連続でチャート首位に リミックスで堪能するダンスミュージックとしてのマンウィズ

2020年05月23日 14:41  リアルサウンド

リアルサウンド

MAN WITH A MISSION『MAN WITH A “REMIX” MISSION』

 コロナ禍の影響で、CDショップに立ち寄れない、オンライン注文しても物流が滞りがちな日々。先週のチャート記事で宗像明将さんも指摘されていますが、それでも1週間で1万枚以上、少なくとも数千枚単位のCDが売れ続けているのは、むしろ驚くべきことかもしれません。ミュージシャンのオンラインセッションや無観客ライブなどを楽しみながらも、音楽ファンは「確かに所持すること」の喜びを決して捨てていない。これは作品を作るアーティストにとって、何より希望になる話だと思います。


 さて、今週のチャート。全体的に数字が低いのは致し方ない話ですが、そのなかで1,7万枚のセールス叩き出したのが首位のMAN WITH A MISSION『MAN WITH A “REMIX” MISSION』。彼ら(というかオオカミたち)が1位を獲得したのはこれが二度目で、4月にリリースした『MAN WITH A “B-SIDE&COVERS” MISSION』(初週2.0万枚)での首位に続き、2作連続の1位だそう。リミックス集やB面集は、通常のオリジナル盤よりも需要の劣るものであり、第一マンウィズはサブスク解禁アーティストです。それでもフィジカルパッケージを求めるファンが2万人近くもいるのだから、これを氷山の一角と考えれば、マンウィズの普及率は推して知るべし、ですね。


 最初こそ“頭はオオカミ、身体は人間、究極の生命体5匹”なるコンセプトを面白がって飛びついた人も多かったと思いますが、結成10年目となる今、我々はあのアーティスト写真にもすっかり慣れてしまいました。慣れるどころか、前作のカバー選曲に和田アキ子の「あの鐘を鳴らすのはあなた」が入っていても、そこまで驚いたりしない。マンウィズ、いろいろやってるなぁ、マンウィズだから何でもやれるなぁ、という感じです。強烈なオオカミの看板がある限り、音楽的にどれだけ冒険をしても「イメージと違う」と言われることがない。これは実は、彼らの最もクレバーかつ有利なところだと思います。


 今回のリミックスも、何でもやれるんだなぁ、という感じで楽しませてもらいました。一発目を飾るのはAA=、上田剛士による新たなリミックス「Take Me Under」。まさに上田剛士以外の何者でもないデジタルビートが炸裂していますが、メロディの良さが逆に引き立っており、新たな発見も多数。ポップだけど明るすぎない、変な作為や引っ掛かりもない、ごく自然に流れていくメロディが多いんですね。あとは繰り返しが多いからテクノミュージックとの相性もいい。ロックに明るくない人も楽しめる、ダンスミュージックとしてのマンウィズが堪能できます。


 ちなみにリミキサー陣はKen Ishiiに石野卓球、KasabianやOasisのリミックスで有名なUKのジャグズ・クーナー、あとはフューチャーベースの神童と言われるスラッシーなど。これだけのDJを一気に集めてしまえるのも、マンウィズだから何でもやれる所以でしょう。


 なお、10周年のマンウィズは、4月のBサイド&カバー集、今回のリミックス集に続き、このあと代表曲をまとめた『MAN WITH A “BEST” MISSION』のリリースを控えています。こちらはさらに売れる予感。それまでにコロナが収束に向かっていることを祈るばかりです。(石井恵梨子)