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Apple Glassの全容が明らかに? “ジョブズのメガネ”オマージュのモデルも発売か

2020年05月23日 13:01  リアルサウンド

リアルサウンド

MacRumors「'Apple Glass' Rumored to Start at $499, Support Prescription Lenses, and More」より

 断続的にリーク情報が流れていたAppleが開発するARメガネに関して、あの新進気鋭のリーカーがその全容をリークした。新たなリーク情報には、Appleの創業者をオマージュしたスペシャルモデルの存在も含まれている。


(参考:『ポケモンGO』がARグラスでプレイ可能に? AR時代の本格的幕開けは2020年代半ばか


・サプライヤーの動向も確認
 Apple製品専門ニュースメディア『MacRumors』は19日、Appleが開発するARメガネに関するリーク情報を報じた。このリーク情報の情報源は、今ではすっかりトップリーカーとなったJon Prosser氏だ。同氏が運営するYouTubeチャンネル「FRONT PAGE TECH」で明らかにされたApple製ARメガネに関する情報をまとめると、以下のようになる。


・製品名は「Apple Glass」。
・価格は499ドル(約54,000円)。追加料金を支払えば、度つきレンズに交換できる。
・メガネの両方のレンズがスクリーンのように機能し、ジェスチャーで操作する。
・最新のiPad Proに実装されているLiDARスキャナを実装し、ワイヤレス充電に対応。
・Appleの当初の予定では2020年秋の製品発表会の「One More Thing」として、同メガネを発表するはずだった。しかし、コロナ禍によりメディアを集めた発表会が困難なので、2021年3月に発表時期をずらすようだ。
・同メガネは2021年後半から2022年前半のあいだにリリースされる予定。


 さらにMacRumorsは21日、台湾のテック系英字メディア『DigiTimes』によるApple Glass関連情報を報じた。DigiTimesは台湾にあるサプライチェーン拠点に関する情報に定評があり、Appleのサプライチェーンに関する動向も報じてきた。そんなDigiTimesによると、Appleは2021年にApple Glassをリリースすることを計画しており、同社傘下のサプライヤーは今年の前半にも(つまり間もなく)同メガネの実験的な少量生産を開始する、とのこと。


 Prosser氏のリークとDigitimesの報道は、辻褄が合う。それゆえ、「Apple Glass 2021年リリース説」は無視できるものではない、と言えるだろう。


・「ジョブズのメガネ」をオマージュ
 Prosser氏のリークは、さらに続く。テック系メディア『Tom’s Guide』の22日付の記事によると、同氏はポッドキャスト「VypDrive」のライブ収録に関するYouTube動画において、Apple Glassのオーディオ機能について話した。同氏が言うには、同メガネには一切のオーディオ機能が実装されない。オーディオ機能を使いたい時は、外部のオーディオ機器とペアリングする必要がある。ペアリングが推奨されるオーディオ機器は、もちろんAppleのイヤフォンであるAirPodsシリーズだ。


 Apple Glassの使用に際してはiPhoneとのペアリングが必須とされること、またAirPodsとのペアリングが推奨されていることから、Appleは同メガネを単独の製品カテゴリーというよりはiPhoneのアクセサリ製品と位置づけようとしていることがうかがえる。こうした位置づけは、Apple製品のエコシステムをより強固にすることだろう。


 Prosser氏は、Apples製品専門ニュースメディア『Cult of Mac』にもApple Glassのリーク情報を話している。同氏の発言を報じた同メディアの21日付の記事によると、同メガネのリリース時には「Steve Jobs Heritage Edition」(Heritageは「遺産」を意味する英単語)もラインナップに加わる、というのだ。この特別モデルは、ちょうど初代Apple Watchのリリース時にラインナップされた18金を採用したApple Watch Editionに相当するようなもの、とも同氏は語っている。同モデルのデザインは、スティーブ・ジョブズが身につけていたメガネのように丸いレンズが採用されるようだ。


・AppleだけではないARメガネ市場
 ARメガネを開発している企業は、Appleだけではない。ARメガネを開発している企業のなかで、もっとも注目すべきは『ポケモンGO』を運営・開発するNianticだろう。既報のように、同社はチップメーカーのQualcommと共同してARグラス開発を進めている。今年3月には、3D空間マッピングを強みとしているスタートアップ6D.aiを買収し、地球規模のAR体験の実現を目指している。


 昨年9月には、アメリカ大手メディアCNBCがFacebookのARメガネ開発動向を報じた。同社は、コードネーム「Orion」という名のもとにメガネメーカーのRay-Banの親会社Luxotticaと共同して開発を進めている。2023年から2025年のリリースを目指している、とのこと。


 忘れてならないのがGoogleだ。同社はかつて、一般消費者向けにARメガネ「Google Glass」を実験的にリリースした。この実験は失敗に終わったが、実のところ、同メガネは法人・開発者向けに現在でも販売されている。テック系メディア『The Verge』が今年2月に報じたところによると、同社はGoogle Glass Enterprise Edition 2の直売を開始した。Google Glassで得たノウハウを生かして、同社が改めて一般消費者向けARメガネを開発していたとしても意外ではないだろう。


 以上のようにARメガネ市場の動向を確認していくと、もしApple Glassに関する一連の噂が本当だとしたら、同市場はAppleのひとり勝ちになるかも知れない。そして、噂の真偽は1年以内に明らかになるだろう。


(吉本幸記)