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HiHi JetsのYouTubeはなぜ面白い? ポイントはメンバーの個性と“クセの強さ”にあり

2020年05月23日 07:01  リアルサウンド

リアルサウンド

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 HiHi JetsのYouTube動画が、クセが強めで面白い。HiHi Jetsとは、ジャニーズJr.の人気ユニット。公式チャンネル『ジャニーズJr.チャンネル』にて、日曜日に動画をアップしているのだが、いつも一捻り効かせた企画力で視聴者を楽しませている。


(参考:HiHi Jets、5人での活動再開! 橋本涼&作間龍斗の復帰動画から期待する“伝説のグループ”への成長


 これまでも公衆電話やサービス終了間際のポケベルを使ってメンバーと街で会えるかを試したり、ガラケーで送られてきた漢字1文字だけのショートメールを頼りに見知らぬ土地でゴールを目指したりと、懐かしいガジェットをも遊ぶ術に変えてきた彼ら。


 さらに、人物やキャラクターを特定するプログラムエンジン『Akinator』をそのまま使うのではなく、その面白さを自分たちで再現。質問をし合って楽しむ「自力アキネイター」で盛り上がる。また、大人気の人狼ゲームも“人狼がいないかもしれない“というルールにしてみるなど、ちょっとした工夫で自分たちなりに楽しめるゲームを生み出すのが実にうまい。


 その理由は、メンバーキャラクターのバランスの良さにある。まず、脳に汗をかくタイプの動画で輝くのは猪狩蒼弥だ。例えば「あるなしクイズ」で「ある」に金指一世(美 少年)が挙がると、瞬時に「金→色」「指→身体の部位」「一→数字」と、いくつもの候補が視点で分析。あとは続く「ある」の条件と照らし合わせて、消去法で回答を導くという余裕っぷり。あまりのひらめき力に、井上瑞稀と髙橋優斗が2人がかりで挑んだ回があるほど。また頭の回転の速さに加えて、勘も冴えるという強運の持ち主。クセが強めの動画も、彼がグイグイとリードすることでテンポよく成功するといっても過言ではない。


 そんなクールに解決していく猪狩に対して、ガムシャラ派なのが髙橋優斗。街に出れば、なぜかいつも最後は大激走することになる。どんなに追い込まれても笑顔で乗り切ろうとする持ち前の朗らかさが、真剣勝負の動画に安心感をくれる。さらに、メリハリをつけるのは男気が垣間見える橋本涼の攻めっぷりと、フワフワ発言で笑いを誘う作間龍斗の天然さ。そして、巻き込まれ型の井上瑞稀。個性豊かなメンバーに翻弄される井上を、最終的にはメンバーが助けずにはいられないため、井上はファンから「姫」と呼ばれることも。引っ張る猪狩、広げる髙橋、切り込む橋本、かき乱す作間、そしてオチを輝かせる井上というバランスが、Hiチューブ動画ならではの空気感だ。


 だが、5月17日にアップされた動画『【摩訶不思議な日常】ほぼ事実の…フィクションです!?』では、初っ端から井上の少し様子がおかしい。カメラが映し出すのはHiHi Jetsの楽屋の様子。彼らはYouTubeの『ジャニーズJr.チャンネル』のほかに、公式エンタメサイト『ISLAND TV』でも動画コンテンツを配信中。YouTubeでの撮影前に、自撮り棒を用いて『ISLAND TV』用の動画を撮るなどそれぞれが思い思いに過ごす中、井上はひとり鏡の前でヘアアイロンでセットを続ける。しかし、熱心に整えたのにソファで寝落ちしてしまうのだ。“待ってました“と言わんばかりに、寝起きドッキリ動画で井上をイジるメンバーたち。ぐしゃぐしゃになった髪を井上が再びセットする……という流れなのだが、そこで「おわかりいただけただろうか」というナレーションが。


 そう、この動画はHiHi Jetsが、心霊番組でお決まりのフレーズ「おわかりいただけただろうか」を言いたいだけの動画。そして、またその動画に井上が巻き込まれているという形になっている。真実とフェイクが交差する3つのストーリー。井上を取り巻く様々な違和感に、なぜか気づいてはいけないような気持ちになる。そして終始、真面目なトーンで続ける作間のナレーションも実にシュールだ。なのに、猪狩が見せるトランプマジックは本当にすごくて驚かされる。そして、スタッフも彼らに巻き込まれて楽しんでいるのが伝わってくる凝った編集。まったく、何に集中していいのかわからなくなる動画だ。


 だが、これこそYouTube動画の大きな魅力。洗練され過ぎていないところにこそ、発信したい側の欲求を強く感じる。クセのある企画であればあるほど、“面白い“と思うものが同じ人と巡り会えた喜びを味わえる。撮ってみると意外と難しかったと語りながらも、「定期的にこういうのもできたらいいよね」と笑う一同。自由に、HiHi Jetsらしく、Hiレベルな「ニヤリ」を届けてくれる動画を楽しみにしている。


(佐藤結衣)