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安斉かれん「私、マジで普通ですから(笑)」 『M』主演女優の等身大の素顔と音楽遍歴に迫る

2020年05月22日 20:41  リアルサウンド

リアルサウンド

安斉かれん(C)テレビ朝日/AbemaTV,Inc.

 ドラマ『M 愛すべき人がいて』(テレビ朝日系)で主人公・アユ役を演じ、一躍注目を集める存在となった安斉かれん。彼女は元号が平成から令和へと変わった2019年5月1日、“ポス(ポストミレニアル)ギャル”≒“新世代ギャル”というコンセプトと共に「世界の全て敵に感じて孤独さえ愛していた」で歌手デビューを飾った、現在20歳のシンガーだ。


参考:浜崎あゆみが綴る、相手への思いが色濃く表れた歌詞 ドラマ『M 愛すべき人がいて』に反映されたフレーズにも注目


 歌手活動においては、近未来SF的なMVやビジュアルも相まってミステリアスな雰囲気を放っていた安斉かれんだが、話を聞いてみると等身大の言葉と表情で気さくに受け答えしていたのが印象的だった。今回インタビューでは、幼い頃から音楽や楽器に触れてきた彼女がどのようなきっかけで歌手を目指したのか。そして、初めての演技経験から表現者として学んだものとは。様々な角度から彼女のパーソナリティーを紐解いてみた。(編集部)


■(ドラマの現場は)見るもの全てが勉強になっています


ーードラマ『M 愛すべき人がいて』、毎週楽しく見させてもらっています。


安斉かれん(以下、安斉):ありがとうございます!


ーーSNSのタイムラインにはオンエア中からドラマ関連のワードが溢れ、Twitterの世界トレンドにもランクインするなど大きな話題となっています。安斉さんの耳にもいろんな反響が届いているんじゃないですか?


安斉:そうですね。毎回放送が終わると友達や家族から「見たよー」ってLINEがいっぱい来て、みんな「すごく面白い」と言ってくれます。特にLINEが早くて内容が独特なのはお父さん。2話でアユが肩を脱臼するシーンがあった時は「肩大丈夫? 痛くない?」って(笑)。


ーーあははは。お父さん、かわいい(笑)。


安斉:楽しんで見てくれてるみたいでうれしいです。


ーードラマの注目度と比例して、現在、安斉さんのSNSのフォロワー数も急増中ですね。


安斉:「ドラマを見てファンになりました」と言ってくださる方がたくさんいて、すごくありがたいなって。ドラマの感想コメントもみんな優しいんですよ。うれしいからとりあえず全部“いいね”しちゃいます。


ーー今作が演技初挑戦ということですが、ドラマの現場を体験した感想はいかがですか?


安斉:本当に楽しいです。いつもワイワイしてて。実は最初、俳優さんや女優さんって現場でどんなテンションなんだろう? 私はどんな感じで行けばいいんだろう? というのが分からなくて不安だったんです。普段、自分の周りの音楽をやっている人たちは「Love&Peace!」みたいなフランクなノリが多いんですけど、それとは絶対違うだろうなとか考えちゃって……。


ーーそうだったんですね。


安斉:はい。だから皆さんがすごく優しくて親切で、和気あいあいと過ごされているのを見てホッとしました。カメラが回った瞬間にパッと切り替えて役に入るところもすごいなって思うし、何もかも初めての私にとっては見るもの全てが勉強になっています。


■アユの負けない心や芯の強さを表現したい


ーーではアユの役作りで意識していることは?


安斉:田舎から上京してきた少女が、一人の男性と出会い、スターへの階段を駆け上がっていく……。そういう中でのアユの負けない心や芯の強さというものは原作を読んでもすごく感じたし、ブレないように表現したいと思っています。


ーー確かにそこはアユというキャラクターの肝ですよね。


安斉:はい。常に真ん中に持っていないといけないなって。今回、撮影が順撮りじゃないんですよ。初々しい時期からトップスターの時までをバラバラに撮っているので、そういう一貫したものがなおさら必要になるなって思います。


ーー順撮りじゃないと聞いて、今すごく驚きました。初ドラマにしてかなりハードルの高いことをやっていますね。


安斉:演じる時間軸が長いので、「今はどのアユ?」ってたまに分からなくなります(笑)。


ーー特に序盤は、“うまくできない”演技をしなきゃいけないのも難しそうだなって。2話でニューヨークへ行き、鬼トレーナーからレッスンを受けるも最初はダメダメだったりとか。


安斉:そうですね。2話はアユの成長の段階を付けていくのが本当に大変でした。でも自分を信じて、手探りながらもその場その場で切り替えて。現場では監督にいっぱい相談していて、まずは自分なりに考えたお芝居をやって、「それでいこう」とか「もうちょっとこうして」というアドバイスをいただきながら進めています。


ーーちなみに、これまでで最も気持ちが入ったシーンというと?


安斉:私もアユと同じでおばあちゃんっ子なんです。だからおばあちゃんが出てくると自然と心が安らぐなって。演技は本当にまだまだなんですけど、そういうシーンはちょっとだけ役に“入れた”感じがありました。


ーードラマは今後、アユとマックス・マサ(三浦翔平)の仕事を超えた関係性にも注目が集まります。アユの恋愛に関してはどんな印象がありですか?


安斉:うーん、スケールが大きすぎてちょっとピンと来ないです(笑)。あんなふうな人生を変えちゃう出会いって、なかなか経験できないじゃないですか。相手を全力で信じて愛して突き進む……っていうのもすごいと思うし。


ーー共感できるところはある?


安斉:自分とは別世界のシンデレラストーリーという感じです。素敵だな、憧れるなって。


ーーじゃあ、いつかはアユのような大恋愛をしてみたい?


安斉:そうですねぇ、いつかは。でも、したらしたでそっちにのめり込んじゃいそうだし……。ほら、恋愛って大変じゃないですか?(笑) いろいろと。でも、人を好きになることで書ける歌詞もあると思いますし、難しいところです(笑)。


ーー今回のお芝居経験が自身のアーティスト活動に生きそうなことはありますか?


安斉:それはいっぱいあると思います。歌は自分を表現して、お芝居はキャラクターを演じるっていう真逆のものかもしれませんが、目線の配り方やカメラに自分がどう映るかっていうのは今回改めて勉強になっていることが多くて、それが今後の音楽パフォーマンスやMVの表現に生きそうだなって。自分ではちゃんとやっているつもりでもモニターを見ると全然できていない……とか、日々気付きにあふれています。


■純粋に音楽が好きでこの世界に進んだ


ーーここからは、安斉さんの音楽遍歴やパーソナルなお話も聞かせてください。子供の頃からエレクトーンやサックスといった楽器に触れていたそうですね。


安斉:エレクトーンは小学校で習い始めて、サックスは中学入学前後にお父さんと一緒に見に行った The Rolling Stonesのライブがきっかけ。バンドのメンバーがいろいろな楽器を演奏する中、サックスを吹いている人がすごくカッコよくて憧れたんです。それで中学の吹奏楽部に入ってアルトサックスを担当したんですが、部活のために学校に行ってるってくらいサックスが好きでした。


ーー当時、普段からお父さんが好きな曲を一緒に聴いていたんですか?


安斉:お父さんの車に乗ると、いつも The Rolling StonesやHanoi Rocksがかかっていて。私も自然と好きになったし、基本、洋楽ロックを聴いて育った感じです。


ーー周りの同級生のように流行りのJ-POPは聴かず?


安斉:あ、そういうのももちろん聴いてました。ただ、昔のロックって、音はシンプルだけどカッコいいサウンドが多くて魅力的だなって。聴きやすい、弾きやすい、ノリやすいっていうところに私は惹かれました。今も聴くのはほぼ洋楽。最近はR&Bの曲をずっとランダムに流しています。


ーーそういう中で、徐々に音楽に関わる仕事に興味を持ったんですか?


安斉:はい。何かしら楽器に携わる仕事がしたいと思い、最初はサックスのインストラクターを目指しました。ただ、エレクトーン、サックス、家ではお父さんの趣味のギターにも触れたりする中でふと「喉もひとつの楽器だな」と気付いて。歌にも興味が湧いたんです。それで高1からエイベックス・アーティストアカデミーのボーカルレッスンに通い始めました。当時は「楽器も弾けて歌えたらカッコいいな」くらいの趣味感覚だったんですけど。


ーーその後、どのように歌手デビューのチャンスを掴んだんですか?


安斉:アカデミーに通っていたことで、たまたまそういうありがたいお話をいただいて。ずっと貪欲にプロを目指していたわけではないけど、これもご縁だなと思い、「じゃあ頑張ってみよう」って感じで今に至ります。


ーー華やかなルックスの安斉さんですが、昔から人前に立つのが好きとか、絶対に芸能界に入りたい! というわけではなかったんですか?


安斉:人前に出るのはあまり好きじゃなかったですね。地元のお祭りでは友達とカラオケを歌ったりしていたけど、それは一人じゃなかったから。「目立つのが好きだから芸能界」ではなく、純粋に音楽が好きでこの世界に進んだ感じです。


ーーCDデビューは約1年前。シングル「世界の全て敵に感じて孤独さえ愛していた」(5月1日配信)、「誰かの来世の夢でもいい」(7月1日配信)、「人生は戦場だ」(10月1日配信)は“デビュー3部作”と名付けられ、「CGでは?」と疑われるほど完璧なビジュアルや謎めいたプロモーションも相まって一躍話題となりました。当時の気持ちはいかがでしたか?


安斉:不安やプレッシャーは感じ始めたらキリがないので、ネガティブなことは一切考えずに。自分が今できることを全力でやろう! と思っていました。


ーーこれまで全ての作詞を安斉さんが手掛けていますが、自分で希望したことなんですか?


安斉:えっと、歌うなら自分の歌詞がいいかなって思っていたら、いつの間にか自分で書いてました。歌のレッスンを始めた頃から歌詞は書き溜めていたし、なんとなく、その流れは必然だったのかなって。「世界の全て敵に感じて孤独さえ愛していた」も16歳くらいの時に書いた曲なんですよ。


ーー歌詞は、思いついたらスマホにメモするスタイルですか?


安斉:そうですね。思ったことがあればメモするっていうのがもう習慣的になっています。いつもその時々の等身大を残したいと思っているので、今読むと当時の感情が蘇ってくるし、今じゃ絶対書けない歌詞もたくさんあるなって。ときどき日記を見返すような感覚で昔の歌詞を振り返ったりもします。


ーー今のお話にもあったように、“その時しか書けないもの”を落とし込んだリアルな歌詞は主に若い世代から多くの共感を得ています。作詞をする際に意識していることはありますか?


安斉:それが特になくて。普段から感じたことや見たものをただ正直にメモしてるだけだし、歌詞にするときはそういう言葉の断片を組み合わせて広げていく感じ。“リアル”も意識しているわけではなくて、実体験もあれば友達の話、映画からインスパイアを受けたことや妄想もあるので。モチーフは本当にいろいろで、シンプルに書きたいものを書いてる感じです。


ーーでは言葉で吐き出すことで自分のメンタルバランスを保っているとか、そういう実感はありますか?


安斉:私、基本的に悩みがあっても人に相談しないんです。悩みは自分で解決するものって、どこか思っているところがあるので。だからそういうのは歌詞に落とし込んでいるかもしれない。歌詞にすることで溜めているものが爆発しないで済むっていう。


ーー書いてスッキリする感じ?


安斉:そうですね。ストレスフリー!!(笑)


■興味のないことには無関心だけど、好きなことは絶対曲げない


安斉かれん / 「誰かの来世の夢でもいい (Prod.by Carpainter)」
ーーなるほど(笑)。実はさっきから、そういう安斉さんの飾らない正直な話し方が素敵だなと思っていたんです。それこそ近未来的でCGのように美しいアー写やジャケ写とはギャップがあるというか……。


安斉:あはははは。私、超普通ですよ? でも確かに、今までSNSでは笑った顔を出していなかったし、ラジオに出たりするとよく驚かれます。「イメージと違う」とか「笑うんじゃん」って。


ーーすみません、私も同じです(笑)。ケタケタ笑う親しみやすい女の子なんだなって。


安斉:地元の友達と遊んでいる時とか、私、マジで普通ですから(笑)。インドア派なんで基本は家にいるんですけど。


ーー最近のおうち時間はどんなことをして過ごしていますか?


安斉:(Nintendo)SwitchをやるかNetflixの動画を見るか、ワンちゃんと遊ぶか。あとはインスタ(Instagram)で簡単レシピを検索してお菓子を作っています。普段は料理をやらないんですけど、こういう時なんで挑戦してみようかなって。


ーー充実してますね。


安斉:めちゃめちゃ楽しいです。おうち最高! いつ寝てもいいし(笑)。


ーー(笑)。ドラマの話はもちろん、安斉さんの素の部分もたくさん知れたのですが、ご自身では自分の性格はどのように捉えていますか?


安斉:いい意味で適当だけど、ブレない。興味のないことには無関心なんですけど、好きなことは絶対曲げないです。とことんのめり込みます。


ーー白黒はっきりしているんですね。没頭しやすい性格でもある?


安斉:そうですね。特に食べ物。ひとつにハマるとずっとそればっか食べちゃう。


ーーちなみに今までどんなものにハマりました?


安斉:ちょっと前がサーティワン(アイスクリーム)で、その次は蒙古タンメン。毎日食べてました。今はセブン-イレブンの牛乳寒天がブームです。


ーー最後に今後のアーティスト活動についてですが、何か挑戦したいことはありますか?


安斉:音楽のジャンルをもっと広げていきたいです。今はJ-POPがメインなんですけど、R&Bが好きなので、そういう曲も歌っていけたらなって。あとは作曲に挑戦したい。いずれ本格的にチャレンジできたらなと思っています。


ーー期待しています。


安斉:ありがとうございます。先のことを考えると不安がないわけではないけど、ワクワクすることも多いし、毎日すごく楽しい。いつもとにかく楽しめばいい! をモットーに、“今”を頑張って生きていきたいです。(川倉由起子)