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編集部の週末オススメ番外編 『攻殻機動隊SAC_2045』はシリーズファン必見の一作!

2020年05月22日 20:11  リアルサウンド

リアルサウンド

『攻殻機動隊 SAC_2045』(c)士郎正宗・Production I.G/講談社・攻殻機動隊2045製作委員会

 毎週末に編集スタッフが週替りでオススメ映画・特集上映を紹介する「週末映画館でこれ観よう!」番外編。今週もオススメの配信作品をご紹介いたします。


 今週は、自粛期間に身の回りのガジェットがどんどんと増えていく安田が、Netflixオリジナルアニメシリーズ『攻殻機動隊SAC_2045』をプッシュします。


参考:『攻殻機動隊 SAC_2045』草薙素子が危機に直面する本編映像公開 シーズン2の制作も決定


■『攻殻機動隊SAC_2045』


 『攻殻機動隊』というシリーズは改めて語るまでもないでしょう。押井守監督による『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』をはじめ、様々なアニメーションシリーズが制作され、さらにはスカーレット・ヨハンソン主演でハリウッド実写映画にまでなりました。まさに日本が誇る作品です。


 そんな『攻殻機動隊』の全編フル3DCGによる最新作が配信されました。監督は『STAND ALONE COMPLEX』シリーズの神山健治、そして『APPLESEED』シリーズの荒牧伸志。その第一報が発表されたのは、2018年末のころ。Netflixはその年のはじめに湯浅政明監督作『DEVILMAN crybaby』を配信し、存在感を増していた時期でした。


 この発表に心踊った方は、私を含めたくさんいたのではないでしょうか。『SAC_2045』というタイトルも、2018年秋に公開された『ブレードランナー 2049』を彷彿とさせ、SF熱に浮かれていた自分には、祭りの続きを見せられているようにも感じました。


 計画的且つ持続可能な戦争“サスティナブル・ウォー”へと突⼊した世界で、再結成した公安9課が、正体不明の存在“ポスト・ヒューマン”に立ち向かう本作。やはり特筆すべきは、フル3DGで製作されたという映像です。


 正直自分はビジュアルの段階では、このデザインに関して懐疑的でした。『バースデー・ワンダーランド』のイリヤ・クブシノブさんが手がけた草薙素子は、どこか幼さを見せていますし、3DCGで美しく蘇った風景は、ゴミひとつ落ちておらず、理路整然としていて、かつてアニメで観ていた退廃的な世界観に対抗しているような印象すら感じさせたのです。


 しかし、そんな不安は第1話を観て吹き飛びました。第1話冒頭では、いきなり荒野でカーチェイス。爆発と銃弾が飛び交う迫力満点のシーンで、早速人気キャラ、タチコマが疾走し戦いに参加します。『SAC』シリーズの人気キャラとあって、登場し声を発するだけで感慨深いものを感じますが、本質はその“動き”にありました。タチコマが滑り銃を放ち、追いつ追われるのカーチェイスといったアクションシーンが、3DCGと見事マッチしています。


 手書き作画で描かれたケレン味溢れるアクションシーンももちろん魅力的なのですが、本作に関していえば、そういったアクションシーンにリアルな説得性が生まれています。実際に草薙素子という人物がスタントをしているような、どこか実写的な雰囲気すら獲得しているのです。そんな説得性を持ち合わせた本作は、確かにアニメーション『SAC』の延長線上にあるのですが、それと同時に実写版『ゴースト・イン・ザ・シェル』の身体性を拡張させ、アップデートさせた作品のようにも感じます。


 今回のヴィランであるポスト・ヒューマンも、“人形遣い”や“笑い男”といった往年の強敵に匹敵するような強力なインパクトを秘めたキャラクターに仕上がっており、見どころ満載。間違いなく、映像作品としての『攻殻機動隊』を更新する1本になっています。


(リアルサウンド編集部)