2020年05月22日 10:02 弁護士ドットコム
「まさかゲームでつながるなんて…」弁護士ドットコムニュースのLINEで、読者から「不倫された体験」を募ったところ、多くの情報が寄せられた。
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今回、体験談を寄せてくれたのは千葉県に住む40代後半の女性・柏木めぐみさん(仮名)。元夫が四国に住む女性と不倫したために、3年前に離婚した。略奪愛が成立したきっかけはスマホのオンラインゲームだった。
柏木さんは、上場企業で働く3つ歳下の元夫と6年前に結婚。千葉にある元夫名義のマンションで、柏木さんの連れ子の娘(当時中学生)と3人仲良く暮らしていた。
しかし、いつまでも幸せな日々は続かない。崩壊の兆しを柏木さんも感じていたようだ。
「主人は外で私と手をつなぐのを避けるようになったり、私と同じ携帯電話でファミリー割引をしていたのに別の携帯会社に勝手に変えたりしました」
趣味のパチンコからの帰宅時間がいつもよりも遅くなることもあれば、タバコ臭いパチンコ屋からの帰りでも全く臭くないということに気づいた。「他に女でも作って遊んでいるのでは?」 そんな疑念がいつしかよぎるようになる。
見て見ぬフリをしてきたものの、ついに見過ごせない「事実」が転がり込んできた。
「私のパートの仕事がお休みで、平日のお昼に家事をしていました。掃除機をかけている時に、主人のプライベート用の鞄にぶつけてしまって、何枚かの紙が飛び出しました。
かがんで手にしてみると、『光熱費の領収書』だったんです。主人名義の知らないアパートの。全身がぶるぶる震えました」
このときまだ午後1時。胸騒ぎをおさえつけるように冷静に家事を済ませて、乗り込んだ車のナビにアパートの住所を入力した。あらかじめ連絡を入れておいた2人の女友達も途中でピックアップし、アパートの前で張り込みを開始。
日が落ちかけてきても、柏木さんの目は、公共料金に書かれていた部屋番号のドアを凝視し続ける。そしてドアが開くと。。
「部屋からやっと女が出てきました。たるんだお腹のオバサン体型で冴えない女だったんです。不倫の事実が決定づけられたのもショックでした。
けど、かわいくて若い女の子ならもう少しショックが小さかったかもしれません。なんで? よりによって、あんな女なの? と思ったことを痛烈に覚えています」
車で待つ間、なんと柏木さんたちは相手の素性まで突き止めていた。
「夫のバッグには、宅配便の伝票の控えもありました。女の名前、実家のある四国の住所、電話番号が書いてありました。その情報をもとに検索して、女が理容師だということもわかっていました」
不倫相手の顔を網膜に焼き付けた柏木さんは、そのまま相談のために弁護士事務所に向かうのだった。
帰宅後、元夫から思いがけない言葉が飛び出てきた。
「主人から『離婚したい』と言われました。『性格の不一致』や『これからは1人で生きていきたい』と理由をつけていましたが、真に受けるわけもありません。
私は家事も完璧で、金券ショップのパートで働いていました。愛嬌たっぷり、いつも笑顔ですから、私が離婚の原因なんてことはありえません。『不倫女のところに行きたいんだな』と内心で思いながらも、何ひとつ問い詰めず、『絶対別れないよ』と言いました」
「オバサン体型の女」に負けたくないという気持ちがあったのかもしれない。
柏木さんは離婚に向けて万全に備えようと考えていた。弁護士からは様々なアドバイスをもらったという。
「配偶者の不倫を理由に離婚するときも、密室に2人で入る写真がなければ、不倫の証拠にはならない」
探偵を雇うことも提案されたが、金銭面で折り合いがつかず、別の策を講じることに。
元夫から受けた暴言などの「モラハラ」と、ケンカしたときに手を出されてできたアザの写真や、病院の診断書も用意した。
それから1カ月もしないうちに、夫婦の関係は見る見るうちに悪化し、元夫は自分のマンションから飛び出て行くと同時に、弁護士を雇って離婚の話し合いを求めてきた。
柏木さんは元夫に不倫を認めさせようとしたが、決定的な証拠がないために、不倫の慰謝料は完全には認められず。「そのかわり、暴力、モラハラ、風俗通いの事実を慰謝料として求めました」
柏木さんは不倫のショックで精神的に追い詰められたことから、働けなくなっていた。そこで、通院していた心療内科の治療費と、別居期間中の娘との月7万円の生活費も要求した。
元夫の裏の顔は風俗狂い。会社の同僚たちに「常連だから店のマネージャーとは仲良しだ」など自慢する様子も柏木さんの耳に届いていた。また、柏木さんの友人からは、風俗店に出入りする元夫の目撃談も寄せられていた。
「いつか使えるかもしれないと思って、主人が店に入る様子を撮影していました。その写真を保管していたんです」
慰謝料の金額交渉は500万円からスタート。
元夫は当初、50万円しか払えないと首を振ったが、最終的には250万円で決着がついた。
「こちらは裁判まで行っても構いませんと主張していました。揉め事が長びけば、生活費の支払いが高くつきます。早く終わらせたい気持ちがあったのでしょうね」
慰謝料を受け取った柏木さんはアパートを借りて生活を始め、入れ替わりで元夫は自分のマンションに戻った。
離婚に向け、書類の最終準備を進める中、ひとつだけ柏木さんには気になることがあった。元夫と不倫相手がどこで知り合ったのかまだわかっていなかったのだ。そんなとき。。
「役所で主人とバッタリ再会しました。一緒にごはんを食べて、そのときにすべてを聞きました。『暇つぶしで始めたスマホのオンラインゲームで相手と知り合った』。『千葉にアパートを借りて、香川から呼び寄せた』と。
スマホのゲームが理由だなんて。なにか急に脱力して、今まで感じたこともない感情があふれてきました。それと同時に、もっとお金を取らなくてはいけないと決めたんです」
柏木さんは元夫にこんな提案を投げかける。
「私が住んでいたアパートの近所に変な人がいて、つきまといなどの迷惑行為に悩んでいました。これは事実です。『困っているから助けてほしい。家事は私がやるから、また一緒に住んでほしい。もちろん、四国の女性とお付き合いを続けてくれて大丈夫だから』」
根が優しい元夫の性格を熟知していただけに、無茶にも思える提案は意外にも受け入れられたという。再び、マンションで元夫との同居が始まった。
「家庭内別居ですけど、一緒に住んでいれば情けみたいなのは出るじゃないですか。なし崩しに、離婚の成立は延ばせるだけ延ばしました。その間に、私の車の車検代や、ペットの猫の手術代などを引き出しました」
あれも欲しい。これも買って。ペット代が必要なのーー。柏木さんの無邪気な「おねだり攻撃」に、元夫は嫌な顔一つせずに応じた。すでに千葉のアパートは引き払い、不倫相手は四国に帰郷済み。不倫相手の家と柏木さんと暮らす家を行き来する生活に後ろめたさがあったのかもしれない。
そのうち、元夫が柏木さんのために支払ったもろもろの費用は500万円にのぼる。当初の慰謝料250万円とあわせると、750万円だ。「目標金額」を達成したこともあり、2人は正式に離婚することになった。
「これで主人とは本当に離婚してあげたし、家も出て行きましたよ。今は主人に恨みもありません。お金を取れたことで、つらさを時給に換算したと思えるようになりました」
柏木さんは「自分には男を見る目がなかった」と反省している。
「スマホですぐに誰かと出会えて、連絡できる世の中になり、便利ですが、不倫には最高の社会になったと思います。それでも、まさかゲームで出会うなんて! 本当に怖いです。主人は四国の女とまだ付き合っています」
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