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「新しい生活様式」で住まい選びはどう変わる?

2020年05月21日 19:52  マイナビニュース

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画像提供:マイナビニュース
新型コロナウィルス感染拡大の防止に向けて、政府と専門家会議は「新しい生活様式」を呼びかけています。

今までは「不要不急の外出を控える」「家で過ごす」段階でしたが、「新型コロナウィルス」を抑制しながら、どのように暮らすのかという段階となりました。新しい生活様式をふまえ、今後私たちの住まい探しはどのように変わるのか、という点にしぼって解説していきましょう。
○テレワーク・時差出勤が定着。郊外に再注目?

5月に発表された専門家会議の「新しい生活様式」でさまざまな提案がなされていますが、住まいまわりで注目したいのは「テレワーク」や「時差出勤」です。今までもテレワークは提唱されてきましたが、今回、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、はじめてチャレンジした人も多いことでしょう。

現在、さまざまな調査が行われていますが、このテレワークは、今後も働き方のひとつとして定着すると予想する人が多いようです。ただ、週5日間のフルリモートワークではなく、週2回、3回と出勤し、残りは家庭でというのが多くの人の理想のようです。

そのため、住まいではリモートしやすい住環境が求められることでしょう。特にこの10年、15年は夫婦共働きが主流となり、「駅近至上主義」「とにかく都心に住む」という動きが顕著で、郊外、それも都心から50キロ離れたようなエリアでは人口減少が進んできました。

ただ、自宅で仕事をすることが前提となり、出社が毎日のことでないのであれば、郊外の広い家に暮らすという選択も見直されることでしょう。郊外では中古住宅のストックがあり、若い世代を呼び込もうと行政や鉄道事業者がさまざまな施策をしています。上手に活用すれば子育て世代にぴったりの広い住まいが手頃な価格で手に入ることもあります。こうした流れは日本のみならず、フランスやイギリスなどの海外でも起きていて、都市部を脱出して「郊外・田舎暮らし」を選ぶ人が出てきているようです。
○郊外でも医療・教育環境・公園の整備などがまち選びの基準に

ただ、郊外であればどこでもよいというわけではありません。新型コロナウイルスでは、病院のベッド数をはじめとした、医療体制が充実している地域とそうでない地域がはっきりとわかれました。実は病院のベッド数などは、全国の自治体ごとにもばらつきがあります。都市部に暮らしていれば意識しないかもしれませんが、郊外になるとより顕著になります。今後、こうした医療体制が脆弱な自治体は、敬遠されることが予想されます。

また共働きが当たり前の今、保育園の整備に注力していない自治体、たとえば第二子以降を妊娠・育休を取得した場合に、すでに保育園に通っている子どもが退園させられる「育休退園制度」があるなどの「働く親にやさしくない自治体」も避けられるのではないでしょうか。もちろん、保育園だけでなく、公立学校のオンライン授業をはじめとした整備、教育環境の整っていない地域は、若い世代に選ばれることは少なくなるでしょう。

また、テレワークが普及することで、公園や緑地の整備なども注目されると思います。今回のテレワークでは、多くの人が運動不足を実感したはず。テレワークがライフスタイルとして定着するのであれば、ジョギングやサイクリング、フットサルなど、屋外で運動が身近にできる環境かどうかもまち選び・住まい選びの要素になるかもしれません。
○家づくりでは、アウトドアリビング・フレキシブルが主流に

家選び・家づくりの面で考えると、「緑」と「多目的」がキーワードになりそうです。これまでも、家にいながらにして「緑」や「庭」を感じられる工夫はさまざまありましたが、外出自粛が続いたからこそ、デッキやテラスのように屋内の空間と一体化したアウトドアリビング、グランピングリゾートのような「屋内だけど外を感じられる」住まいづくりがトレンドになるのではないでしょうか。

また、家で仕事・食事・くつろぎ・運動・オンラインで飲み会などが行われるようになると、「多目的に使える」スペースが必要になります。リビングをより広くとってフレキシブルに使う、屋根裏や地下空間を設ける、大きな和室をつくるなど、方法はさまざまありますが、用途を「食事」や「くつろぎ」「眠る」に限定せず、「多目的に使える空間」が必要になるかもしれません。

今回、かつてないほど家で過ごす時間が増えたことで、家の価値を再度、考え直した人も多いはず。家計の一側面だけ見れば、家を買う・つくることは「借金」「負債」となりますが、一方で充足した時間を過ごすには必要な「投資」であり「お金をかける価値」のあるものであることは間違いありません。新型コロナウイルスをきっかけに、今後も新しい「住まい方」が登場するかもしれません。(回遊舎)