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「民主政治を踏みにじる犯罪だ」 有志の弁護士ら662人、安倍首相を刑事告発 「桜を見る会」めぐり

2020年05月21日 17:02  弁護士ドットコム

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安倍晋三首相の後援会が主催する「桜を見る会」前夜に開かれた夕食会をめぐり、全国の弁護士や法学者662人が5月21日、公職選挙法と政治資金規正法に違反した疑いで、安倍首相と後援会幹部の計3人に対する告発状を東京地方検察庁に提出した。


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告発状の提出後に開かれた会見で、元最高裁判所判事の濱田邦夫弁護士らは東京地検に対し、「政権に忖度することなく、徹底した捜査、真相の究明と刑事責任の追及を迅速におこなうことを強く求める」とした。



●公職選挙法、政治資金規正法違反の疑い

告発状によると、夕食会は2018年4月、ホテルニューオータニ東京で開かれた。参加費は1人5000円、安倍首相の支援者である後援会員約800人が参加していた。



しかし、1人あたりの飲食代は少なくとも1万1000円程度はするにも関わらず、5000円のみを徴収していることから、1人あたり6000円相当を無償で寄付したとされ、公職選挙法(寄付行為)違反の疑いがあるとしている。



また、後援会の2018年分の収支報告書(2019年5月27日に提出)に夕食会に関する収入および支出を記載しなかったとして、政治資金規正法違反の疑いがあるとしている。



弁護士有志は今年2月に「『桜を見る会』を追及する法律家の会」を結成。告発の賛同者を募っていた。



●「公正で厳正な徹底した捜査を」

事務局長をつとめる小野寺義象弁護士は「安倍首相は説明責任を果たしていない」と批判。「法律家として究明・責任追及したい」とした。



小野寺弁護士は「桜を見る会」についても、「一生懸命子どもを育てているシングルマザーや病気や怪我で収入がない人など、さまざまな状況の人がいます。税金で飲み食いをさせるということがあってよいのか。それが国民の声だと思います」と指摘した。



また、米倉洋子弁護士は「国の最高権力者である内閣総理大臣による民主政治を踏みにじる犯罪は許されない。捜査当局による公正で厳正な徹底した捜査に期待したい」とした。



告発人には、元最高裁判所判事の濱田邦夫弁護士も名を連ねた。



濱田弁護士は「わが国の国民が生き延びるためには、政権を保持する政治家たちにその使命を再認識してもらう必要がある。政治のあるべき姿というものは、国民の一部の者の富を増大させるというものではなく、国民全体の公平性と生命・生活の安全性と安定性を増大させることにある」とコメントした。



小野寺弁護士によると、賛同者は今後も増える見込みだという。