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『あつ森』オンライン飲み会、仮想イベント……人と人の交流で生まれる“無限大の遊び”

2020年05月20日 10:11  リアルサウンド

リアルサウンド

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 新型コロナウイルスの影響で、友人と気軽に会うことが難しくなった現在、「ZOOM」のようなチャットを使用した「オンライン飲み会」「オンライン帰省」が話題となった。


 『どうぶつの森』シリーズ最新作『あつまれ どうぶつの森』(通称『あつ森』)もまた、そんな人々の「交流の場」として楽しまれている。


(参考:『あつまれ どうぶつの森』で「海に入れたり、段差の三段目に登れる」バグが見つかる


・親しい友人と『あつ森』でオンライン飲み
 『あつ森』では、自分の島でのんびり生活を楽しむだけでなく、他人と島を行き来して「交流」する要素がある。「Nintendo Switch Online」に加入すれば、インターネットを介して遠く離れた別プレイヤーの島を訪れて、島の滞在中にスマホアプリでボイスチャットをすることも可能だ。


 筆者も親しい友人と『あつ森』を舞台に「オンライン飲み会」を開催した。


 雰囲気を出すために、会場は「ダイナーな〇〇」を熱心に収集していた友人の部屋。あえて派手めな服を身に付けて、クラッカーやタンバリンを持ち寄る。おみやげのアイテムを渡し合って、パーティーの様子を撮影して、食事やスイーツをつつきながら近況を語り合う。


 こちらに来てほしいと声をかければ、ゲーム内のアバターが反応する。面白い話題があれば、アバターも笑ってみせる。


 バーチャルな画面の中にいるのは、いつも通りの気のいい友人たちであった。


 友人とはLINEなどでチャットを日々交わしているし、お互いの島を行き来したこともすでに何度もあった。しかし、「飲み会」という形式を設定して『あつ森』の世界に集まることは、少し違った形で気分を高揚させてくれた。


 「Zoom飲み」ならぬ、「あつ森飲み」。「ビデオを切ったZoomに、個性あふれるアバター、インテリア、写真撮影、そして魚釣り等のゲーム要素まで盛り込んだチャットツール」……と表現してみると、「Zoom飲み」に負けず劣らずの可能性を感じてしまう。


 そんな友人とのゆるい集まりを超えて、現実世界で行われるはずだったイベントを『あつ森』内で開催する人も増えている。結婚式や卒業式といった王道イベントを開く人は多く、工夫を凝らした配置や演出がSNSで話題となることも。


 多種多様なイベントの再現を可能にしているのは、多彩な家具や自分でデザインした絵柄を配置できる『あつ森』の自由度の高さ。そして、離れた場所にいる人と同じ時間・空間を共有できるシステムが、この箱庭を「仮想イベント」へと昇華させている。


 こういった投稿を見て、自分も仮想イベントを開催してみたいと考える人も多いだろう。筆者もまた、友人の誕生日や結婚式を、個人的に祝えないかと構想するようになった。


 そして、仮想イベントを行うからには、それらしい会場を作りたい。(前述の「あつ森飲み会」をそれらしく楽しめたのも、インテリアの力が大きいだろう)


 手持ちの家具を配置しただけでは、ちぐはぐな雰囲気になってまう。それらしいテーブルとイスを見つけても、1点ずつでは心もとない。「1日5点まで」というたぬきショッピングの制限の中で、毎日コツコツそろえていく。


 花も、種類も色もバラバラではパッとしない。例えばピンク色をベースにした会場を作るなら、ピンク色のアネモネやチューリップを咲かせるべく、イベントを決行する日まで、花の交配に熱心に取り組むことになる。


 せっかくのハレの日、ゲーム内でも「映え」を意識したい。現実の空間で集まれない分、ゲーム空間の雰囲気を大事にしたい。


 こうして、のんびり無人島ライフに、新たな”目標”が生まれることとなる。


・人との交流を軸に、ゲームに新たな”目標”が設定される
 公式からもうたわれているように、『あつ森』の楽しみ方は無限大だ。しかし、自由度が高すぎると迷いも生まれる。とたけけを島に呼んでエンドロールが流れた後、「次は何をすればいいんだろう」と、一度手を止めてしまったプレイヤーも多いのではないだろうか。


 全アイテムのコンプリートはちょっと遠すぎる目標。SNSで見かけるアイディア満載の島にも憧れるが、どうやって作ったらいいのか分からない。住民とのんびり交流して、「たぬきマイレージ」をぼちぼち貯めながら、毎日カブ価をチェックする……。


 そんな島ライフを過ごしていた人も、『あつ森』を舞台に仮想イベントを行おうと思った瞬間、ゲームの遊び方が変わるはずだ。仮想イベントを行う期日までに、アイテムを集めて配置する。そんな“期間限定クエスト”を、プレイヤー自身が作り出すのである。


 仮想イベントの会場を設営する見込みが立ったら、次はスケジュールを決めて、出席するプレイヤーを集めて、当日の流れを決める。余裕があれば、『あつ森』のシステムを活用した余興を用意してもいいかもしれない。アイテムを穴に埋めて掘り出す、鬼ごっこをする、迷路を作るなど、SNSでは遊びのアイディアが沢山シェアされている。


 誰かのためにプレゼントを考えたり、余興を企画したりしたことはある人は、その体験と重なる部分があるかもしれない。あるいは、文化祭の支度にも似ているかもしれない。


 場所をゲーム内の島に移した“仮想イベント”でも、物事の本質は同じである。


 目標があると、日々の生活に張り合いが出るというもの。現実の世界、『あつ森』の世界で心ときめく出来事が足りないと感じている人は、ぜひ自ら“仮想イベント”を設定して、その日までの“期間限定クエスト”を楽しんでみてはどうだろうか。


(宮崎栞)