フェラーリF1のチーム代表を務めるマッティア・ビノットは、若きシャルル・ルクレールとカルロス・サインツJr.にチームの命運を託すことは大きな賭けではあると認めた。しかしチームの将来を考えた時に、セバスチャン・ベッテルの代わりにサインツを選んだことは正しい判断だったと考えている。
フェラーリが若いドライバーのラインアップを選ぶことはまれであり、1968年にクリス・エイモンとジャッキー・イクスの20代半ばのふたりを走らせて以来といっていいかもしれない。
2019年にルクレールを起用するまでは、フェラーリは若いドライバーの起用を避けてきた。この25年間のなかで、2007年のキミ・ライコネンとフェリペ・マッサのペア以外、常にF1チャンピオン経験者を走らせてきたのだ。
しかしながらビノットは将来に向けて集中するため、過去のそうした例には従わず、4度の世界チャンピオンであるベッテルとの契約を更新しないことを決めた。
「今こういう時期であるため、我々には熟考し、検討する時間があった。そうしてこの結論にたどり着いた。自分たちの選択に満足している」とビノットは『Sky Sports Italia』に語った。
「この期間に世界は変わった。我々はF1の将来を、違う観点で見なければならなくなったのだ」
「我々には全員で取り組まなければならない新たな挑戦がある。チームを完全なものにするために、適切な人材を選んだと信じている」
「カルロス・サインツJr.は若いドライバーであり、フェラーリは50年にわたり、ここまで若いドライバーのペアを採用したことがなかった。我々にとっては大きな賭けになる。しかし喜んでこの挑戦に立ち向かう。我々は新しいサイクルを始めたいのだ」
「厳しい道のりになるだろう。だが、ドライバーだけでなくメカニックに関しても、若者を信頼することが、新たなサイクルに向けた取り組みとなる」
「サインツは賢く、とても良い男だ。真のチームプレーヤーであり、懸命に仕事に取り組む。シャルルの側に彼を置くことはプラスになる」
「この5シーズン、彼はいい仕事をしてきた。ほとんどの場合、完走を果たし、それによってチームに多くのポイントをもたらした」
■「ベッテルに引退する意思はない」とビノット代表
ビノットは最近、フェラーリとベッテルの目標が短期的にも長期的にも異なっていることが分かり、そのために関係を解消することを決めたと述べた。契約を延長しない理由については、お互いが理解しており、互いの関係は今も良好だという。
「彼と我々の双方にとって、正しいことだったと思う。これからどうするかはセブ(ベッテル)だけが知っていることだ。彼は素晴らしいドライバーだ。適切な判断を下すだろう」とビノット。
「彼はフェラーリで6年間を過ごした。我々のチームは彼の心の特別な部分を占めている。今も彼とはいい関係を保っている。それは、袂を分かつ者たちにとって、当たり前のことではない」
「この変更の背景にある理由に関しては、互いに理解している」
32歳のベッテルがF1を引退すると予想したマクラーレンCEOを務めるザク・ブラウンとは対照的に、ビノットはベッテルが現役を続行するだけの情熱を今も持っていると考えている。
「彼は今もF1に大きな情熱を持っていると思う。これからいろいろなことを考える必要があるのだろうが、最終的には戻ってくることを望むだろう」とビノットは言う。
「彼は極めてプロフェッショナルなドライバーなので、今年もいい仕事をしてくれるはずだ。我々も彼に敬意を払っている」
「ドライバーたちが最高のパフォーマンスを発揮できるよう、チームは理想的なマシンを用意しなければならない」