メルセデスのチーム代表であるトト・ウォルフは、2021年に向けてセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)を起用することを“検討中”であると認め、ベッテルがチームにとって良いマーケティングの機会をもたらしてくれるだろうと認めている。
今シーズン末でのベッテルのフェラーリ離脱は、彼のF1キャリアの終わりとなる可能性がある。4度のF1世界チャンピオンであるベッテルにとって、選択肢は限られている。ルノーはダニエル・リカルドの後任を探しているが、ベッテルが2021年に勝利のチャンスがほぼないようなチームでレースをするというオファーに気を引かれるだろうと考える人はそういない。
メルセデスはまだルイス・ハミルトンとバルテリ・ボッタスに新契約のオファーを提示していないので、理論上メルセデスはベッテルに飛びつくこともあり得る。ウォルフはそのような筋書きを否定はしていないが、明らかに優先順位を明らかにしようとはしていない。
「もちろんドイツ人ドライバーがドイツのマシンをドライブするのは素晴らしいマーケティングストーリーだ」とウォルフはオーストリアの放送局『ORF』に語った。
「しかしながらメルセデスでは純粋に成功に焦点を定めている。セバスチャンはもちろんだが、非常に優れている人物だ」
「それこそ、我々がジョージ・ラッセル(ウイリアムズ)の進路をどうしようかと自問している理由だ。そしてベッテルももちろん検討中の選択肢だ」
「だがそれは今のところ議題の一番上にあるわけではない。なぜなら我々はまず今のドライバーについて集中したいからだ」
2021年のF1に向けたつむじ風のような変化は、開幕が遅れている2020年シーズンの最初のレースが始まる前から話題をさらってしまった。そのためにあるチームにとっては不快な状況に繋がるかもしれないとウォルフは語る。
「我々自身をそのような立場に置くつもりはまったくない。1年在籍した後に、次の年にはライバルチームでドライブするドライバーをどうにか管理するのは少々難しいことだ」
「ドライバーが、次の年に敵チームで革新的技術や知識を我々に対して利用できると分かっていたら、どうするだろう?」
「これがドライバーの入れ替わりを急遽発表したチームすべてが難しい状況に陥る理由だ。我々はそのような状況は避けたいと思う」
マクラーレン・レーシングのCEOを務めるザク・ブラウンとは対照的に、ウォルフはベッテルがF1キャリアを終わりにすると確信していない。
「すべてを操っているのはセバスチャンだ。やめるか、他のチームに加入するか、彼自身が決めることができる。他にも興味深い行き先が今もある」