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なぜYouTuberへのプライバシー侵害相次ぐ? ヒカキン、はじめしゃちょーなどの事例から考察

2020年05月19日 11:51  リアルサウンド

リアルサウンド

動画サムネイルより

 YouTuberの魅力のひとつに、「親近感」がある。登録者数が数百万人いても、コメント欄をみると、「近所の面白いお兄さん」的な距離感で接するファンが多いのも、それをあらわしているように思う。精神的な距離が近いのは結構なことだが、それを物理的な距離の近さだと勘違いしてしまったら、YouTuberへのプライバシー侵害となってしまいかねない。


(参考:はじめしゃちょー、外出自粛中にまたも自宅押しかけ被害 子どもをけしかける親の姿も


 緊急事態発令により、YouTuberも例外なく自宅で過ごす生活が続いている。それを見越してか、人気YouTuberの家に押しかける視聴者(野次馬?)も発生。5月15日にHIKAKINは近所のコンビニから自宅まで怪しい女性につきまとわれたと動画で告発し、はじめしゃちょーも、GW中に自宅に押しかける家族や業者に対して動画で怒りをあらわにした。


 HIKAKINは、過去にも様々なつきまといに遭ったと動画で告白していたり、自宅がバレて引っ越していたり、はじめしゃちょーも悪質なストーカーに遭ったりした経験がある(なお、このストーカーは、東海オンエア・てつやへのストーカー行為により一度逮捕されている)。


 YouTuberなどのネット配信者は、自宅で撮影することが多いため、ふとしたことで個人情報流出するリスクがある。自室にあるいくつかの特長から、住んでいる物件を割り出す「特定班」も存在し、そういった情報は真偽はともかく、すぐにまとめサイトに掲載されてしまう。これを避けるには、引っ越す前に物件の間取りを変更するなど、大きなコストをYouTuber側が強いられてしまう。


 セキュリティのしっかりしたマンションに住んでいても、ヒカルのように「同じマンションに変なファンがいた」となると、引っ越さざるをえない。


 さらに、炎上目的で有名YouTuberのプライバシーを暴く者もいるので、話は厄介になってくる。


 人気急上昇中のぼっち系大学生YouTuber・パーカーも、炎上目的で有名YouTuberに突撃する配信者に自宅近辺でつきまとわれ、その模様が動画に公開されたことにより、多くの視聴者に住所がバレてしまったという。


 なお、YouTuberはなんでもネタにしがちなところも、野次馬やストーカーをつけあがらせてしまうのかもしれない。東海オンエアのてつやのストーカー事件において、水溜りボンドのカンタが裁判に潜入する動画もあったが、加害者の承認欲求を刺激することも否定できない。現にてつやのストーカーは、その後「はじめしゃちょーに乗り換える」とSNSで宣言し、再度ストーカーで逮捕されている。


 さらに、ストーカーを家に招き入れホームパーティーを行ったカルマのような者もいる。自分の身を襲う危険すらネタにしまうと、別の事件にエスカレートしてしまう可能性もあるのではないだろうか(この件に関しては、むしろ「やらせ」であればいいのだが)。


 住所が特定されたことを逆手にとり、自ら住所を歌詞にして拡散した結果、自宅の鍵穴にアロンアルファを流し込まれ、引っ越しを余儀なくされたゆゆうた。5月14日にはまた自宅住所が発覚してしまい、「明日は我が身」と注意喚起した。正直、歌詞によって住所が広く知れ渡ったことは自業自得とはいえ、自宅まで押しかけるのは犯罪であることは強調しておきたい。


 過去には歌い手の鋼兵など、プライバシー侵害を理由に活動を引退した者もいる。今人気のYouTuberも、誰かのちょっとした野次馬根性で活動を辞めてしまうこともあるかもしれない。「親近感」はあくまで「感」であり、実際にはYouTuberは視聴者の友達ではない。プライバシーの侵害をする者たちは、一度自分のやったこと、やろうとしたことを考えてほしい……っていうか、そもそも他人の家に勝手に入るのは犯罪だからね! マジで!


(藤谷千明)