2020年05月16日 09:01 弁護士ドットコム
在宅勤務などで在宅時間が増えたことにより、個人投資家による株取引が活発化していると報道されている。日本経済新聞(5月8日)によると、FXの取引数量は前年同月比で約4割増加したという。
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ネット上には「在宅勤務になってから、株取引を始めた」「自粛始まってから株始めたけどおもしろい」などの投稿が複数上がっている。在宅勤務の休憩時間を使って、株取引をしている人もいるようだ。
そもそも、休憩時間中は何をしてもよいのだろうか。半田望弁護士は、次のように説明する。
「休憩時間は労働からの解放を保障する時間であると一般に理解されていますので、原則として労働者は休憩時間は自由に行動できます。そのため、プライベートな用事を休憩時間に行ったとしても、原則として何の問題もありません」
ただし、あらゆる行動を自由にしてもよいというわけではないようだ。
「判例では、企業秩序維持のための必要かつ合理的な制約は、休憩時間にも及ぶとされています。
判例で問題となったのは、日本電信電話公社の従業員が休憩時間中にベトナム戦争反対のビラ配布をした事例です。
この裁判では、『ほかの職員の休憩時間の自由利用を妨げ、ひいてはその後の作業能率を低下させるおそれがある』ため、企業秩序維持のために制限することは適法と判断されました。これが一つの判断基準になるでしょう」
在宅勤務中であれば、ほかの従業員の迷惑になる行為は避けられるだろう。
半田弁護士によると、株取引も私物のスマホやパソコンでおこなうのであれば問題はないという。在宅勤務にかぎらず、出社している場合も同様だ。
しかし、会社のパソコンを使って株取引などをおこなうことについて、半田弁護士は警鐘を鳴らす。
「会社のパソコンは、あくまでも業務のために使用を認めているものです。そのため、これを私用につかうことは、会社が私用を認めていない限り、問題になると考えます。
休憩時間は原則として自由に行動できるといっても、会社の備品はあくまで仕事のためにしか用いることができません。休憩時間に何かする場合には、私物を利用する必要があるでしょう」
【取材協力弁護士】
半田 望(はんだ・のぞむ)弁護士
佐賀県小城市出身。交通事故や消費者被害などの民事事件のほか、刑事弁護にも取り組む。日本弁護士連合会・接見交通権確立実行委員会の委員をつとめ、接見交通の問題に力を入れている。
事務所名:半田法律事務所
事務所URL:http://www.handa-law.jp/