トップへ

米高級百貨店「ニーマン・マーカス」破綻、債権者がサックス・フィフス・アヴェニューとの統合を提案

2020年05月14日 17:42  Fashionsnap.com

Fashionsnap.com

ニーマン・マーカス公式サイトより
5月7日に米連邦破産法第11章(日本の民事再生法に相当)の適用を申請したアメリカの高級百貨店「ニーマン・マーカス(Neiman Marcus)」の負債の一部を保有するヘッジファンド Mudrick Capital Management LP(以下、Mudric)が、競合同業者である「サックス・フィフス・アヴェニュー(Saks Fifth Avenue)」との統合を提案したとロイター通信が報じた。

 ニーマン・マーカスは、テキサス州ダラスで1907年に創業。アメリカ国内の新型コロナウイルス感染拡大を受けて今年に入ってから43店舗を臨時休業したことにより資金繰りが悪化し、3月末の段階で43億ドル(約4,800億円、1ドル=107円)の債務を抱えていた。ニーマン・マーカスは米連邦破産法第11章の適用申請とともに、DIPファイナンス(事業再生融資)として6億7,500万ドル(約722億円)を確保し、営業を継続する方針を発表した。
【もっとくわしく】米高級百貨店「ニーマン・マーカス」が経営破綻、新型コロナによる休業で資金繰り悪化
 ロイター通信によると、ニーマン・マーカスは40億ドル(約4,240億円)の債務放棄の見返りとして返済順位が高い債権者に経営権を譲る計画について債権者と交渉を進めているが、Mudrickは書簡で「サックス・フィフス・アヴェニューへの売却または統合を行うことは、債権者への経営譲渡による再建計画に比べ、債権者がより多くの資金を回収できる」と指摘。会社更生手続きを経て、ニーマン・マーカスがサックス・フィフス・アヴェニューと重複するエリアにある少なくとも22店舗を閉店して2社が統合することで、28億ドル~47億ドル(約2,999億円~約5,022億円)相当の価値を生み出せるという。サックス・フィフス・アヴェニューは2017年にもニーマン・マーカスの買収を検討したことがあり、今回も関心を示しているが、まだ正式な入札には至っていない。
 なお、サックス・フィフス・アヴェニューは昨年、競合他社である「バーニーズ・ニューヨーク(Barneys New York)」のブランド使用権を獲得。バーニーズ・ニューヨークは昨年8月に破産を申請し、競売にかけられたのちファッションライセンス事業を行うオーセンティック・ブランズ・グループ(Authentic Brands Group、以下ABG)に売却された。ABGがサックス・フィフス・アヴェニューにバーニーズ・ニューヨークのブランド使用権を譲渡したことで、サックス・フィフス・アヴェニューの昨年末から公式オンラインショップ内で「Barneys at Saks」を展開している。
【あわせて読みたい】J.クルーが破産法申請、米大手小売でコロナ禍の経営破綻は初