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「毎月一律10万円支給して」 新型コロナ、学生にしわ寄せ…バイト休業で生活苦

2020年05月14日 16:41  弁護士ドットコム

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新型コロナウイルス感染拡大の影響で、アルバイト先が休業し、給料が大幅に削減されたため、今後の生活を維持できない――。学生中心の労働組合「学生ユニオン」は5月14日、4月下旬に実施した電話相談の結果を公表した。立場の弱い学生アルバイトにしわ寄せがきている実態が浮き彫りになった。


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●ひとり暮らしの生活費をすべてバイトでまかなっていたが・・・

学生ユニオンは4月25日、26日の2日間、学生アルバイト向けの電話相談を実施した。アクセス数は96件あり、このうち学生からの相談数は75件あった(非学生11件など除く)。次のような内容の相談があったという。



「ひとり暮らしで家賃、光熱費、食費、交通費をすべてバイト収入でまかなっている。バイト代は平均で月15万円程度だった。バイト先が休業し、休業手当は出さないと言われ、収入ゼロになるから今後生活を維持できない」



「3月まで自立援助施設に住みながら学校に通っていたが、3月からはひとり暮らしで、月13~14万円を自分で稼いでいる。3月中旬から持病でシフトに入っていなかったため貯金を切り崩して生活した。4月から店舗が休業すると言われ、まったく入れなかった。



6割の休業手当が支払われるそうだが、3月は勤務回数が少ないから金額が半分になる。親とはもう縁が切れていて、施設も頼れない。4月はまだ家賃と光熱費は払えるが、それ以降は食費も難しい。生活に全然先行きがみえない」



●祖母がいるため実家に帰れない

「飲食店でバイトをしているが、コロナの影響で週7日1日6時間から週2日1日2時間くらいにシフトを減らされた。休業しているわけではないが、営業時間の短縮などがある。月収が5万円ほど減る。店長に2回休業手当について聞いているが、出ないとしか言われてない。



コロナの影響で親の収入も半減してしまって、生活が苦しい。シングルマザーで母親が個人事業主で、学費を払ってくれているが、今年度は奨学金を受けざるを得ない。奨学金を借りても生活の見通しが大変。休業手当はどうしたらもらえるのか」



「店舗の売り上げが下がっていて、シフトカット。月6万円くらいだったのが、半分くらいに減ってしまった。4月の給料支払いが遅れると言われている。所持金も少なく、光熱費・家賃の支払いに困っている状態。



実家から、当面の家賃分は親に借りたが、生活は厳しい。親からは実家に帰ってくるように言われているが、祖母がいるため感染させるわけにはいかずできない。休業補償の話は今のところなし」



●学生バイトが雇用保険に加入できるように

このような結果から、学生ユニオンはこの日、学生のための生活保障制度に欠陥があるとして、厚生労働省と文部科学省に対して、次のような内容を要請した。



(1)アルバイト先の休業により収入が激減した学生の状況は失業とみなすことができます。しかし、学生労働者には失業保障がなされておりません。そのため、失業扶助として毎月一律10万円を支給することを要請します。また、雇用保険からの学生排除を是正し、労働時間の条件を満たしている学生労働者が雇用保険に加入できるよう制度改正を要望します。



(2)給付型奨学金の大幅制度拡張を要請します。収入要件を緩和すると同時に「学業成績に係る基準」を撤廃し収入要件を充たせば、学生がだれでも給付型奨学金を利用できるよう制度拡張を要請します。



(3)企業による学生労働者への休業補償義務は果たされておりません。企業に対するリーフレットに加筆し、雇用調整助成金は学生アルバイトについても申請可能であることを周知徹底し、企業に制度活用と学生アルバイトの休業補償を義務付けるよう要請します。