画像提供:マイナビニュース 「毎日のように怒ってしまう」「言うことを聞いてくれなくて困る」「夫(妻)と育児方針がかみ合わない」……などなど、育児に悩みは尽きません。特に、毎日忙しく過ごしている共働き夫婦なら尚更でしょう。
ここでは、育児中のマイナビニュース会員に"育児の悩み"についてアンケートを実施。寄せられたお悩みに対して"どのようにすべきか"を、NHKの育児番組でキャスターを務めた経験を持ち、現在は育児のセミナー講師や書籍執筆なども行っている天野ひかりさんに、アドバイスしてもらいます。
誰しも先行きが見えないと不安になります。コロナの終わりが見えない今、予定も立てられず、頑張っても意味があるのかと、イライラしたり落ち込んだりしてしまいがち。特に、真面目で一生懸命なお父さんお母さんほどそう感じる方が多いように思います。
そこで今回は、コロナの影響で、家で仕事も子育てもこなさないといけないお母さんからの、「頑張っている私にエールを送ってほしい」というご相談に、親子コミュニケーションアドバイザーがお答えします。
○コロナの影響でお母さんの負担が増加
小さなお子さんを持つお母さんは、いまの状況下で本当に頑張っていると思います。年度始めで1番忙しい時に自粛要請が発令され、どうしても出社しなければならない日は、子どもを夫婦で交代してみられるように予定を立てなければなりません。
在宅ワーク中では、まとわりつく子どもをうまくいなしながら、なるべく叱らないように仕事を進めます。そして家族がみんな家にいるので、朝ごはんを作り、食べさせ、後片付けをして、すぐにお昼ご飯、おやつ、夕食、と続きます。
つまり、保育士・家事代行・お母さん・会社員・妻……と女性は1人でたくさんの役をこなしています。しかも自分の時間は入っていないのですから、相当頑張っています。いえ、頑張りすぎていますね。
期限付きで頑張れていたことも、長期戦になることが分かると話は別です。役割全てをこなすことはできません。では、どうしたらよいのか、少し考え方を変えてみましょう。
○仕事と子育てをうまくこなすには
以前、子どもにイライラして当たってしまうとのご相談をいただいたお母さんに、自分の時間軸を子どもの時間軸に変えることの大切さをお話しさせていただきました。
次の日に実践したところ、子どもから「お母さん、今日はとても優しい」と言われてびっくりしたと同時に、もう少し頑張れそうと思ったとのご連絡をいただきました。
自分の予定で進めるのではなく、子どもの目線になって生活を見直してみると、気持ちがゆったりできます。反対に子どもからすると、自分のことをわかってくれたと感じるようで”優しい”という印象になったようです。
つまり、保育士さんのように、子どもの視点に立って会話し、子どもの時間の流れを読んでそこにのかってみましょう。そうすれば、子ども自身が自ら行動するようになり、お母さんも楽になりますよ。
別のお母さんから、「天野先生は、仕事と子育ての両立をどうやって乗り切ったのですか?」と質問されたことがあります。
私は、当時は仕事を断ってお母さんであることを選んだ話をしました。すると次の日、「仕事はしたくなった時にできるけど、子育ては待ってくれないという話が心に刺さった」とご連絡があり、少し仕事を減らして、余裕のあるお母さんになることにしたそうです。
この方はフリーランスだったのですぐに決断できたのかもしれません。同じ話をしても、受け止める方の状況によってそれぞれです。
仕事も子育ても頑張りたいタイミングがあるので、正解は1つではなく、その時の自分に正直になってもいいのかなと思います。
○便利なサービスを利用し、夫の協力も仰ぐ
また別のお母さんは、買い物に出かける手間を減らすために食材の宅配サービスを開始したそうです。はじめは家にいるのに宅配することに抵抗もあったそうですが、「緊急事態なのだから」と期間限定で試してみたところ、今はうまく使いこなしていると言います。
このお母さんは、献立を考え買い物をし、料理して食べさせる、という時間を、子どもと向き合う時間に充てられることで、気持ちに余裕ができたそうです。また、料理を少し手抜きしているという後ろめたさも手伝って、子どもに優しくできるとおっしゃっていました。
他の方にとっては当たり前のことや、自分では取り入れられなかったことがあれば、こうした緊急事態をきっかけにマインドを変化し、うまく活用していきましょう。
ご相談者のお母さんたちは、皆さん「妻」である部分を1番おろそかにしているわ、と笑っていました。なぜならこれは、夫の協力なくしては成り立ちません。
他の役割を少しでも夫が代わってくれることで、取り戻せるのではないでしょうか。そして、頑張りを認めることと感謝を忘れずにいられる夫婦でありたいと思います。
こんな時だからこそ、1番大切なものは何か、1番守りたいものは何かを考えて、自分を大切にしましょう。
まずは、頑張っている自分を客観的に捉えることが、次の第1歩に繋がります。自分の役割の中で、少し荷を下ろして誰かにその役割を変わってもらってもいいのではないでしょうか。そして、頑張ったら、ご褒美を用意しましょう。
コロナが収束したら、何が残っているのか、何を守れたのか、何をしたいのか、どんな自分になっていたいのかを想像しながら、この状況を笑顔で乗り切れるといいですね。「なりたい自分になる」というゴールを自分で決めましょう。
○執筆者プロフィール :天野 ひかり
・親子コミュニケーションアドバイザー
・NPO法人親子コミュニケーションラボ代表理事
上智大卒。テレビ局アナウンサーを経てフリーに。
NHK「すくすく子育て」キャスターとしての経験を生かし、全国の親子に寄り添いながら、講演会や講座、シンポジウム、企業セミナー講師などを実施。
自身が立ち上げたNPO法人でも、子どもの自己肯定感を育てる親子のコミュニケーションを学ぶ教室「ことばでおやこみゅ教室」を主宰する。
■HP: h I k a r i a m a n o
■著書
・Amazon子育てランキング1位のロングセラー
「子どもが聴いてくれて話してくれる会話のコツ」サンクチュアリ出版
・最新刊
「賢い子を育てる夫婦の会話」あさ出版 ほか。(天野ひかり)