2020年05月13日 10:41 弁護士ドットコム
外出自粛生活が続く中、Zoomなどを使ったオンライン飲み会が流行しています。メリットの1つは、自宅から参加できて、終電の時間を気にすることなく楽しく飲めることです。しかし、あまり飲みすぎると、取り返しのつかない失敗も…。
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あるIT企業に勤める女性は週末、同僚たちとのオンライン飲み会に参加しました。ところが、翌朝目覚めてみたら、全裸になっていたそうです。
「酔っ払って暑くなってしまったことまでは覚えていたのですが、みんなに裸を見せてしまったのではないかと心配しています」と話します。同僚たちに聞くに聞けず、悩んでいるそうです。
SNSでは、ほかにも女性と同じように「朝、気づいたら全裸だった」という人や、あえて「男性だけで全裸で飲み会をしてみた」という人の報告があります。こうした行為は、普通の飲食店だった場合は、公然わいせつ罪などに問われる可能性があります。
しかし、限られた参加者しかいないネット空間では、どうでしょうか。奥村徹弁護士に聞きました。
オンライン飲み会で、うっかり全裸になってしまったら?
「公然わいせつ罪(刑法174条)が検討されます。
『公然』とは、不特定または多数人が認識しうる状態をいいます。不特定少数であっても、特定多数であっても、『公然』と評価される可能性があります。
実際に何名くらいで、どういう関係であれば『公然』になるかについて明確な基準はありませんが、公然性が否定された古典的な事例としては、
というものがあります。
ただし、最近1対1で行われるツーショットチャットでの陰部露出行為について、次のように公然性をみとめた高裁判決も出ていますので、注意が必要です。
『(利用者=警察官の背後にさらに数人の警察官が控えていた事案)利用者側が映像を受けるかどうかは利用者の意思に委ねられているし、女性側はチャットの相手方が誰だかわからなくて入れ替わってもわからないし、利用者が増えてもわからないから 不特定又は多数の者が試聴する可能性を排除できないので、公然である』(東京高裁・平成23年3月2日)」
お酒を飲みすぎて、覚えていないような場合は?
「酩酊の度合いによっては、心神喪失・心神耗弱(刑法39条)にあたることもあるでしょうし、そうでない場合でも責任減少として情状として考慮されるでしょう」
では、「全員が全裸で参加」などのルールで行われるオンライン飲み会に法的問題は?
「公然性がある場合、全員について、公然わいせつ罪の共謀共同正犯を問われる可能性があります」
【取材協力弁護士】
奥村 徹(おくむら・とおる)弁護士
大阪弁護士会。大阪弁護士会刑事弁護委員。日本刑法学会、法とコンピューター学会、情報ネットワーク法学会、安心ネットづくり促進協議会特別会員。
事務所名:奥村&田中法律事務所
事務所URL:http://okumuraosaka.hatenadiary.jp/