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『鬼滅の刃』の次は『呪術廻戦』がブレイク? バトル漫画としてのポテンシャルを考察

2020年05月13日 08:01  リアルサウンド

リアルサウンド

『呪術廻戦(1)』

 『週刊少年ジャンプ』にて連載中の芥見下々『呪術廻戦』が、ネクストブレイク漫画として注目されている。2019年におこなわれた「みんなが選ぶTSUTAYAコミックス大賞」では、TSUTAYAネクストブレイク大賞にかがやいた。また、「書店員の選ぶ『鬼滅の刃』の次にくる漫画」としてお昼のワイドショーでも取り上げられている。


参考:『鬼滅の刃』善逸&伊之助コンビが見せた友情の力 涙の決意表明を振り返る


 本作は、人間社会に蔓延する呪霊を、呪力をもつ人間が祓うオカルトバトル漫画。いうなれば、毒を以て毒を制すのだ。本稿では、そんな『呪術廻戦』のポテンシャルを考察していきたい。


■ロジカルな駆け引きが魅力のバトル


 『呪術廻戦』の魅力としてまず挙げられるのは、バトルの面白さだ。登場する呪術師や呪詛師は、それぞれ個性的な“呪力”を持っていて、お互いのスペックという制限のなかで戦う。ロジカルな駆け引きがサスペンスを生み出し、さらに躍動感にみちた描写が、つぎつぎと繰り広げられるのが魅力だ。


 例えば、主人公の虎杖悠仁は持ち前の常人離れした運動神経に加えて、身体に宿した特級呪物「両面宿儺」の呪力を合わせた肉弾戦を得意としている。通常の2.5乗の威力となる「黒閃」を、いかに相手に打ち込めるかが勝利の鍵だ。


 一方、虎杖悠仁の師匠であり、”最強の呪術師”五条悟のバトル描写は、スピード感やスペクタクルだけでなく緩急にみちており、読んでいて痛快。また、哲学的・数学的モチーフを利用しつつのハッタリで押し切る攻撃は、SFファンなどにもウケそうだ。


 そうしたキャラごとの攻撃特性に加えて、「領域展開」と呼ばれるシステムがあるのも、『呪術廻戦』のバトルをいっそう奥深いものにしている。領域展開をすると呪術師のステータスが上昇し「領域内で発動した術式は絶対に当たる」とされているため、大きな駆け引きが発生するのだ。


 また、渋谷の街中など、現実世界を舞台にしているのもポイントである。呪術師ごとの能力、領域展開、地形など、あらゆる設定が影響するなかでの戦闘は非常にスリリングである。


■登場人物たちの魅力


 本作の登場人物たちの性格やキャラクターデザインも、みな個性的で魅力にあふれている。


 主人公の虎杖悠仁は、不良っぽい見た目や腕っぷしの強さから肉弾戦が得意なタイプではあるが、心優しく繊細な一面もある。呪術の高等専門学校で悠仁の同級生である伏黒恵は、クールで、相手との距離やその他様々な戦況を見すえた頭脳戦を得意とするが、元々はヤンキー気質だ。


 悠仁と恵の担任である五条悟は、“最強”とは思えぬほどに飄々としており、一見テキトーなノリでふざけているように思える。しかし、生徒への愛情には並々ならぬものがあり、その核心にも「腐った呪術師界をリセットするため、聡い仲間が必要だ」との熱い想いがある。


 特に男性キャラクターはビジュアルも魅力的なので、それぞれ熱狂的なファンを獲得しそうだ。


■単行本では丁寧な解説も


 『呪術廻戦』は本誌で追う楽しみももちろんあるが、単行本にも注目したいところだ。


 本作にかぎらず、『週刊少年ジャンプ』掲載漫画を本誌で追う醍醐味は、リアルタイムでの盛り上がりを実感できるところだ。本作特有のダークな展開、サスペンスフルなバトル、それを生み出すスピード感やスペクタクルなども、リアルタイムの楽しみに拍車をかけるのはまちがいない。


 しかし、本作であつかう能力の「呪力」「術力」「術式」「領域展開」などの仕組みや、その他さまざまな用語を、1回読んだだけで理解するのは難しい。単行本では作者による懇切丁寧な解説があるので、そういったルールに関してはそちらを参照すると良いだろう。


 まとめて振り返りながら読むと、リアルタイムでの楽しみ方も倍増するはずだ。


■TVアニメ化でブレイク確実か


 本作はTVアニメ化も決定している。放送日は未定で、TOHO animationチャンネルのティザーではまだ動画が公開されていないが、上述の魅力を考えれば期待したいところだ。


 昨今は『鬼滅の刃』に限らず、アニメ化したことでブレイクする作品は少なくない。『呪術廻戦』の作風はアニメでもきっと映えるはずなので、今からチェックしておいて損はないだろう。