プジョーは新型コロナウイルスのパンデミックの影響で自動車メーカーを取り巻く経済状況が一変するなか、2022年のWEC世界耐久選手権デビューに向けて順調に計画を進めている。
しかし、フランスのメーカーは当初予定していたLMHル・マン・ハイパーカー規定のクルマを製造するのか、それとも新たに設定されたLMDhル・マン・デイトナh規定を採用したクルマを使用するのかを明らかにしていない。
PSAモータースポーツ責任者のジャン-マルク・フィノーはSportscar365のインタビューに応え、サプライチェーンの問題でカスタマーレーシング車両の生産を一時停止しているのもかかわらず同社がここ数カ月、ワークスWECプログラムの開発を継続していると説明した。
フィノーによればプジョーの開発は現在、“計算”と“コンピューター設計”による設計段階にあり、リモートワーク期間内にうまく適合しているという。
「ロックダウンの間も我々の耐久レースプロジェクトは正しい方向に進んでいる」と彼は述べた。
「皆、在宅勤務となっているにもかかわらずスタッフ全員が一緒に勉強し、モチベーションを保っているんだ」
「PSAグループが提供している接続手段のおかげでR&D(研究開発)は自宅で続けられている。我々の設計スケジュールに関する健康危機の影響は現在、分析段階にある」
「私たちの目標は、2022年までにそこ(WECのグリッド)に存在することだ」
■新型コロナによる経済危機で予算削減は避けられない
プジョーは2022年からWECとIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の両シリーズで利用可能となる、LMHとLMDhのどちらのプラットフォームを採用するか宣言していないが、フィノーは新型コロナウイルスの感染拡大による経済危機によって同社の予算はこれまでになく厳しく精査されるだろうと強調した。
「WECに関しては他の選手権と同様に、プロモーター、主催者および連盟がマーケティングコストの効率が高まることを認めている」とフィノー。
「経済危機解消後のモータースポーツは、より大きな社会的・環境的責任を示さねばならず、そのためのコストは大幅に削減させなければならない」
フィノーは、LMDh規則が確認されたことをACOフランス西部自動車クラブ、IMSA国際モータースポーツ協会およびWECの「成功」であり、同時にそのパラメーターは技術的に「非常に興味深い」と説明し、同プラットフォームへの潜在的なコミットメントを示唆している。
「我々はLMDh規則の進化と、同規則とLMHのルールとの間で行われた収束に大きな関心を持った」
「私たちはACO、IMSA、WECの発表に満足している。特にBoP(バランス・オブ・パフォーマンス)に関連する技術的な問題が確認されたことはその最たるものだ。これにより両方のカテゴリー間の公平性が保証されるだろう」
「車両重量、パワートレインの出力、エアロダイナミクスなどのパラメーターに関する共同ルールが不可欠だったが、これは達成された」
「最後の経済指標はすぐに利用可能になるはずなので、私たちはまもなく100%の包括的なレビューを行うことができるだろう」